9月の末から、ずっと気にかかっていた総選挙がやっと終った。終ったが、終ったなりにイロイロと新たな問題が噴出し始め、キリがない。それより、カラオケバトルの年間チャンピオン決定戦が重なって、こちらは偉大な収穫があった。カラオケが始まったのは、私の記憶では1970年代の後半である。当時、私は音楽業界の裏方志望だった。周囲のプロたちはカラオケの歌唱の《型》にはまりきれない、未熟なアマチュア(素人)性を嫌っていた。・・それから40年もの歳月が過ぎ去り、まだ10代のカラオケ《超おたく》たちの歌声に聞き惚れている。席巻されていると言っていい。そこでは歌唱に止まらない、俳句を含む《定型性》の全体の隅々まで【うた・こえ】が浸透しているからだ。謂わば自分とは違う声が出ている。彼女たちの表現(カラオケ)空間をくまなく埋め尽くす肉体を持った言語の一言一句に、定型の死としての《俳句》の日常を生きる自分自身を密やかにぶつけてみる。その痛みがなぜか痛快ですらある。・・・《続く》
竹野留里(高二) 『LOVE IS OVER』 2016