私が俳句に入門したのは1979年でした。まだ20歳代の頃、それからというもの数年間は結社に止まらず句会や総合誌に投稿しまくっていた。1985年頃だったか、突然句作そのものをドタキャンしてしまった。1980年代という時代の闇に足をとられて避けようも無く転倒して、その痛みを引き擦りながら28年もの間俳句表現の領域では起ち上がることは出来なかった。2013年10月にブログで俳句そのものを再開して7年以上経ったが、そこには見たことも無い俳句の妖怪たちが跋扈していた。そのケタ違いの深い闇の底で何が蠢いていたか・・それは意外にも相変わらずのストイックで安らぎに満ちた定型詩の現在形の薄暮の風景だった。
なまはげを襖外して迎えをり (作者未詳)
この作者は当結社の男性の新鋭の中でも断トツの存在である。2019年度新人賞作家で、NHK俳句でも活躍中とか。40歳前後で、俳句の既成の【定型性の毒牙】を逆手に取って自己のオリジナルの領域を慎重に手探りしてゆくような作風である。いかにも21世紀の俳句形式の在り様に相応しい。あの「なまはげ」を「襖外して」迎え入れるという離れ業を毎回見せてくれている。昨日、句会結果が送られて来たので、他の句も紹介したい。・・・《続く》
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