★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

虚実の皮膜――御嶽海圧倒的優勝

2022-01-23 23:46:01 | ニュース


御嶽海、横綱に勝って優勝。

大関になれば雷電以来の長野県出身大関の誕生である。雷電は、254勝10敗、勝率.962、197センチメートルという、たぶんわたくしとは違う生物という人で、あまりに強かったため横綱になれなかったとかいう噂があるが、江戸相撲にあらずんば相撲にあらずみたいな、いまの大相撲一極集中の基を築いたのであった。引退しても、半引退状態で40代終わりまでやっていたとウィキペディアに書いてあった。相撲は、たぶん、歌舞伎のようなものに近いものであった。最近まで野球ですらそういう芝居がかったものであった。

そういうことが分からない文化が明治に入ってきて、裸体禁止令まででたのはよく知られていよう。相撲を裸体とは認識しないのが我々の文化であるが、はっ、よくみたら裸ではないか、というわけである。しかし、その裸体レスリングが好きなのが明治天皇で、天覧試合を盛り上げた結果、いまの大相撲が出来上がった。考えてみたら、いまのプロ野球も、長嶋・王が天覧試合で活躍してから独特のオーラをまとい、歌舞伎的な何かを取り戻した。

今日御嶽海のつけていた化粧まわしは、上松町元気会のものだと思うが、――寝覚ノ床で浦島太郎が鯛を釣り上げている。従って、どうみても木曾には海があるのではないだろうか。したがって御嶽海の名前は嘘ではない。こういう虚実の狂った世界で成り立っている世界が文化なのである。

静岡では、水が吹き出して山梨県に流れちゃうとかの件で、リニアの工事がもめていると聞いたが、恵那山=アマテラスの胞衣を傷つけたりするから天罰が下ったと言へよう。――と考えた人間はけっこういたはずである。ナンセンスだが、結局、リニア要るのかそれ?という常識を無視してことを進めるとアマテラスまで出現するのである。つまり、理不尽が怪物的な何かを呼び出すのである。しかし、呼び出したものによって我々の心は、やたらいけない隣人や為政者を殺して泥仕合が出現するのを避けているのである。相撲もその一種である。ちなみに、マルクスの言うように「共産主義」もその一種である。

雷電の出現は、言動が半分外国人であるような?御嶽海に対する人々の気持ちをなんとなく鎮めるであろう。こういうのは、道徳的な説教で鎮まるものではない。


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