鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

4-1以降の本試験の問題形式の推移

2009年01月14日 | 三点セット3 過去問

 14-3以降現在までの問題形式は、現在販売されている過去問集で分かります。以前私も記事にしました。それ以前の問題形式を4-1から振り返ってみます。

 満点が200点であり、読み問題が1問1点であることはずっと同じです。また、書き取りは、現在と同じく1問2点のことが多いのですが、1問1点もありその場合だけ付記します。また、意味については、14-2までは現在と異なり1問1点です。

  現在販売されている問題集の中には、現在の出題形式を反映しておらず、14-2以前の出題形式に則っているものがあります。昔出版されたものが、全く改訂されていないためです。過去問の出題形式と比較することで、いつ頃の問題に準拠して出版されたか、即ち、問題集の当初の出版時期がある程度推測できると思います。

 また、まあち様のブログに、4-1以降の合格者数・受験者数・合格率が纏められていますので一部引用いたしました。まあち様ありがとうございます。問題文を見る限り、漢検協会は、草創期は、受験者数と合格率を睨みながら問題形式を変えてきたのではないかと思いますので、私の勝手な推測も付記します。尚、私はこの頃は漢検に全く興味がなかったので、あくまでも問題文を見ただけの感想です。

 国会図書館の蔵書検索などにより、一部推測になりますが、漢検協会の1級関連出版物の発売時期なども付記してみます。あまり買いたくなかったのですが、漢検の歴史が載っている「12字の漢字が示す曲がり角の日本」(株式会社オーク社発行)も参考にします。

4-1の前に、「一級漢字必携」が発売

 国会図書館の蔵書検索では見当たりませんが、1級の配当漢字が分かっていないと学習のしようがないでしょうから、4-1の前に発売されたのでしょう。

4-1(第1回 70人/1199人  5.8%)

(一)(30点)読み 音読み20問、訓読み10問
(二)(30点)動物名10問、植物名10問(殆ど、熟字訓・当て字だが、一部音・訓読みがある)、外国の地名・国名10問の読み
(三)(10点)国字の書き取り10問(1問1点)
(四)(30点)四字熟語の書き取り10問、意味10問(選択肢も10個)
(五)(20点)旧字体の書き取り 二字熟語10問、20漢字を全て旧字体に。 

 但し、配点内訳が記載されておらず、「捷径」には問題用紙も載っていないため、二字熟語の一つだけ正解したばあいに、1点だったか0点だったか不明。

(六)(30点)故事・諺の書き取り15問 問題文は12文。現在と異なり、一文の中に、複数の書き取りをさせるものがある。
(七)(50点)文章題 読み10問、書き取り20問


5-1(第2回 68人/887人 7.7%)

(一)(30点)読み 音読み15問、訓読み15問.。

  この頃の読み問題は今ほど難しくはないが、訓読みを増やしたのは、音読み熟語よりも取っつきやすいからかなあ。

(二)~(五)(計90点)は、4-1と同じ
(六)(30点)故事・諺の書き取り12問(6文)。意味6問 4-1で故事諺が難しかったため、意味問題を付けてヒント代わりにしたのかな。

(七)(50点)文章題 読み20問、書き取り15問
 4-1の文章題の書き取りは、以前少しだけ記事にしましたが、難しいと思います。書き取りを減らして読みを増やしたのは少しでも簡単にしたのかな。合格率は約2%上昇。

5-2(第3回57人   995人  5.7%)

(一)(30点)読み 5-1と同じ
(二)(20点)動物名10問、植物名10問の読み

(解答は、全て熟字訓となっているが、問題文はただ、読みとあるだけ。螽斯(きりぎりすを8-2Y 19-2Yの(一)で出題されたように音読みでしゅうしと解答しても許容されたのかなあ。)

(三)(30点)四字熟語 4-1の(四)と同じ
(四)(20点)国字の書き取り10問(1問2点に)
(五)(20点)旧字体の書き取り

 二字熟語5問、10漢字を全て旧字体に(1問2点に)。解答用紙には、2×10とあるから、1漢字毎に2点であることが分かる。

(六)(30点)故事・諺 4-1の(六)と同じ。意味はなくなる
(七)(50点)文章題 4-1の(七)と同じ。

 受験生も増えたから、問題形式を4-1に戻して難しくした印象。合格率も4-1と略同じに戻っています。ただ、旧字体の書き取りの配点を1字2点に増加しています。また、外国地名・国名の当て字の読みをなくし、其の分国字の書き取りの配点を増やしています。国字よりも、外国地名・国名の当て字の方が分量がずっと多いでしょうからこれは簡単にしてバランスをとったのでしょう。ただ、4-1、5-1と二回連続して、外国地名・国名の当て字が10問出題されていて、受験生は準備していたでしょうから、いきなり出題されなくなって腹が立ったのでしょうね。


6-1(第4回 38人/686人  5.5%)

(一)(30点)読み 5-1と同じ
(二)(20点)動植物名(15問)、外国国名・地名(5問)の読み 
 外国国名・地名の読みが復活。
(三)(20点)国字 5-2の(四)と同じ
(四)(20点)旧字体の書き取り 二字熟語10問。
 二字熟語のどちらかの一字を旧字体に改めるという問題に。
(五)(30点)四字熟語 4-1の(四)と同じ
(六)(40点)故事・成語・諺 20問
(七)(40点)文章題 訓読み10問、書き取り15問

 故事・諺を5問増やして、文章題の書き取りを5問減らしています。文章題の書き取りは難しいから、多少学習し易くしたのでしょうか。しかし、合格率は漸減。


6-2(第5回 58人/826人  7.0%)

(一)(30点)読み 5-1と同じ
(二)(20点)動植物名(17問)、外国国名・地名(3問)の読み
(三)~(七)(計150点) 6-1と同じ

(二)だけ微調整というところです。

6-3(第6回 44人/595人  7.4%)

(一)(30点)読み 5-1と同じ
(二)(20点)動植物名(15問)、外国国名・地名(5問)の読み
(三)~(六)(計110点) 6-1から同じ
(七)(40点)文章題 読み10問、書き取り15問は6-1,6-2と同じですが、読みは音訓とも出題されています。

 なお、この回は、受験者が激減し、過去最低数字ですが、初めて年3回になったことが影響しているのかなあ。

H7.3.1「漢検1級への近道 1級合格のための合格捷径」(533頁)初版発売。
 4-1~6-3の過去問の他、当て字(熟字訓)276選も載っています。

7-1(第7回 29人/781人  3.7%)

(一)(30点)読み 5-1から同じ
(二)(20点)書き取り10問。
 純粋な書き取り問題はこのときが最初です。
(三)、(四)(計40点) 6-1から同じ。
(五)(10点)熟字訓(当て字)の読み

 外国国名・地名は出題されませんでした。その代わり、動植物名とは別の熟字訓 紙撚(こより)、雀斑(そばかすが初めて出題されました。いずれも直前に出版jされた「捷径」に載っていました。尤も、動植物名の熟字訓8問の内、「捷径」に載っていたのは、3問だけ、従って、「捷径」の「当て字(熟字訓)276選」だけでは5割しか取れませんでした。熟字訓の学習方法はこの頃も難しかっただろうなと思います。

(六)(30点)四字熟語 4-1から同じ
(七)(30点)故事・成語・諺 15問に減少
(八)(40点)文章題 6-3と同じ

  この回に受験生が増えたのは、「捷径」の発売の影響が大きかったように思う。ただ、「捷径」で学習した人ならお分かりのとおり、「捷径」は近道でもなんでもない。合格率は過去最低。

7-2(第8回 85人/758人 11.2%)

(一)~(四)(計90点) 7-1と同じ
(五)(10点)(計10点)熟字訓(当て字)の読み
  外国国名・地名の読み3問復活
(六)~(七)(計60点) 7-1と同じ
(八)(40点)文章題 読み書きの問題数は同じですが、読みは全て訓読み。

 合格率は過去最高。問題が簡単だったのかなあ。

7-3(第9回 145人/837人 17.3%)
 問題形式は、7-2と全く同じ。受験生増加、合格率も更に上がる。

H8.2「新漢字必携」発売

8-1(第10回 128人/855人 15.0%)

(一)~(七)(計160点) 7-3と同じ。
(八)(40点)文章題 読み書きの問題数は同じですが、読みは音訓ともあり。

H8.10、「捷径」第2刷発売。5-2~7-3の過去問収録。(大岡様のリスト参照)

8-2(第11回 47人/864人  5.4%)

(一)~(五)(計100点) 8-1と同じ
(六)(30点)四字熟語 書き取り10問、意味10問は同じだが、意味の選択肢が、10個から12個に増加。
(七)(30点)故事成語・諺 8-1と同じ
(八)(40点)文章題 読み書きの問題数は同じですが、読みは一問は音、他は訓と明記あり。

あまり問題形式は変わっていないのに、合格率が激減しています。

8-3(第12回 67人/976人  6.9%)

(一)~(七)(計160点) 8-2と同じ
(八)(40点)文章題 読み書きの問題数は同じですが、読みは注記無く音訓とも出題。

H9.3 「四字熟語」発売
H9.4 「捷径」第3刷発売。4-1~7-3までの過去問収録。当て字(熟字訓)は、4つ増えて280選に。

9-1(第13回 38人/1039人  3.7%)

(一)~(五)(計100点) 8-3と同じ
(六)(20点)四字熟語 書き取り10問だけ。意味問題がなくなる。
(七)(20点)同音訓異義語の書き取り 10問
(八)(20点)故事成語・諺 10問に減少。
(九)(40点)文章題 8-3と同じ

 合格率の減少は、同音訓異義語の登場で面食らったからでしょうか。

9-2(第14回 69人/985人  7.0%)

(一)~(八)(計160点) 9-1と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は8-3と同じ。但し、読みは全て訓読み。合格率増加。


9-3(第15回 41人/986人  4.2%)

(一)~(八)(計160点) 9-2と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は8-3と同じ。但し、読みは一問だけ音読み。他は訓読み。

10.5 「1級」公式問題集. 平成6-9年度(6-1~9-3)発売

10-1(第16回 74人/999人  7.4%)

(一)~(三)(計70点) 9-3と同じ
(四)(10点)旧字体の書き取り 二字熟語のどちらかの一字を旧字体に改めるという問題は以前と同じだが二字熟語5問に。
(五)(10点)熟字訓・当て字の読み 3問は国名、地名 7-2(五)から同じ
(六)(20点)同音訓異義語の書き取り 10問 9-1(七)と同じ
(七)(20点)故事・成語・諺の書き取り 10問 9-1(八)と同じ
(八)(30点)四字熟語 書き取り10問 意味10問 選択肢12個 8-2や8-3と同じに戻る。
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は9-3と同じ。但し、読みは注記無く音訓とも出題。8-3や9-1と同じ。


10-2(第17回)~11-1(第19回) 10-1と同じ


11-2(第20回 146人/1151人  12.7%)

(一)~(八)(計160点) 10-1と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は9-3と同じ。但し、読みは全て訓読み。

11-3(第21回 90人/933人  9.6%)

(一)~(八)(計160点) 10-1と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は9-3と同じ。但し、読みは一問は音読み、他は全て訓読み。

H12.3 1級過去問題集. 平成12年度版発売(8-1~11-3所収)

12-1(第22回 152人/1106人  13.7%)

(一)~(八)(計160点) 10-1と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は9-3と同じ。但し、読みは注記無く音訓とも出題。

12-2(第23回)~12-3(第24回) 12-1と同じ

H13.3 「辞典」発売
H13.4日本漢字能力検定1・準1級過去問題集. 平成13年度版(12-1~12-3)発売。この年から、準一級と合冊となり、過去1年分だけ所収。以後毎年発売
H13.4.30 「必携」改訂版発売

13-1(第25回 208人/1064人  19.5% 今までで最高の合格率)

(一)~(八)(計160点) 10-1と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は9-3と同じ。但し、読みは全て訓読み。


13-2(第26回 118人/962人  12.3%)

(一)~(八)(計160点) 10-1と同じ
(九)(40点)文章題 読み書きの配分は9-3と同じ。但し、読みは注記無く音訓とも出題。


13-3(第27回)~14-2(第29回) 13-2と同じ

14-3(第30回 137人/942人  14.5%)

 現在の問題形式に変化。14-2までとの違いは
(一)(30点)読み 音読みが20問に増加し、訓読みが10問に減少 4-1と同じに
(二)(30点)書き取り 15問 内、2問が同音異義語、2問が同訓異義語
(三)(10点)国字の書き取り 5問に減少
(五)(30点)四字熟語の書き取り 意味が5問、一問2点に
(六)(10点)熟字訓・当て字の読み 外国の国名、地名は出題されなくなる
(十)(30点)文章題 書き取りが10問に減少

旧字体の書き取りがなくなり、その代わり、
(四)(10点)語選択書き取り
(七)(10点)音訓読み 
(八)(20点)対義語・類義語の書き取り

が登場。(九)(20点)故事・成語・諺の書き取りだけは変化無し

 4-1~7-2までは、毎回問題形式が変わっており、協会も試行錯誤をしています。7-3~14-2までは、大きな変化は9-1の同音訓異義語の書き取りの登場くらいであとは細かな変更です。14-3の大変更は、かつてなかったものでした。



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2 コメント

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過去問について (マニア)
2009-01-14 17:19:48
漢字検定2級 3級 平成4年から平成10年までの本とか古本でどこかありますか?
1級はほとんどありますけど
返信する
此処は1級専門なんだけど・・ (白魚一寸)
2009-01-14 22:46:13
>漢字検定2級 3級 平成4年から平成10年までの本とか古本でどこかありますか?

2級については大岡様がamazonでリストを作っておられます。結構売っているようです。
http://www.amazon.co.jp/%E6%BC%A2%E5%AD%97%E6%A4%9C%E5%AE%9A%EF%BC%92%E7%B4%9A%E3%83%BB%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E9%A1%8C%E9%9B%86%E5%85%A8%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88/lm/R31CYKITRFUP3/ref=cm_lm_byauthor_full
3級はわかりません。悪しからず。
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