石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

後藤新平フェスティバル

2007-11-02 23:57:39 | 雑談
昼から夜まで、有楽町マリオン「生誕150年・後藤新平フェスティバル」へ。

 大正から昭和にかけて、驚くべき構想力で駆け抜けた政治家・後藤の人物に迫る講演とシンポジウム。

 第1部の講師は、御厨貴、岡田治恵、藤森照信、小林英夫、橋本五郎

 第2部の講師は、佐藤優、小倉和夫、大宅映子、塩川正十郎、粕谷一希

 佐藤一彦さんによる映像ドキュメント、そして、弁士・神田紅によるアニメ「映画演説・政治の倫理化」いずれも秀逸。

 見えてきた後藤新平の人物像は、コミュニケーションに関わる新しいこと、他人のやらないことに、ひとり果敢に挑んだ政治家だった。

「ひとり」という意味は、徒党を組まず、党派の後ろ盾を借りず、という意味である。思想家というより、経営者に近い。理念で消耗しない、めげない、プラグマディズムの人。

 その活躍ジャンルは、教育、マスメディア、鉄道、医療、司法、通貨など多岐にわたった。70歳を超えてはボーイスカウトの服装に身を固めて少年たちと相まみれ、好奇心の固まりの生涯だった。

 息子の武蔵さん、孫の章子さんも会場に見えた。壇上と会場に陣取った人々が血縁でもないのに、後藤の志を我がことのように語った。これは一体どういう事態であろうか。彼は80年も昔に亡くなった人である。

 人の世話にならぬよう
 人のお世話をするよう
 そして、報いを求めぬよう

 という後藤の「自治三則」は、佐藤優さんが語った通り「未だ達成されていない理念」だが、不思議な魅力をたたえたメッセージである。 

 終わって、佐藤一彦さん、学生二人と、妻と、八重洲地下街で食事する。