これも花・あれも花

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を募集中

お花の生徒さん

2004-11-19 | お花・お教室
彼女は、地域で由緒有るお寺の跡継ぎ修行中の身。

三姉妹の長女。長女としてのプレッシャーが何かと彼女を苦しめてきた。
数年前の彼女は、どちらかといえば自由奔放、夜は飲み会、カラオケ、海外旅行と、今風の若者。
しかし時には、チラチラと長女としての責任感を言葉にすることも有った。
その頃、お寺を継いでくれる婿殿を募集中だった。

ところが、父上が急に脳梗塞で倒れた。
彼女は人が変わったように、介護に奔走した。必死の介護と薬石の効有ってか、奇跡的な回復。
しかし体の麻痺はのこり、言葉は不自由。由緒ある住職としての勤めは?

「私が継ぐしか、寺と家族を守る方法が無い、比叡山に修行に行ってきます」と、比叡山に彼女は行った。

あの、わがまま一杯に育った彼女、お稽古中に私に叱られ、むくれたことも、家族と衝突して不機嫌な顔でお稽古に来ることもあった彼女が、「まさか」と思った。

今時の女の子が、家のため、家族のため、頭を丸める。剃髪だ。
しかし、悲壮感はない。泰然と構えている。その潔さに教わることが多い。

修行が終わり、教室に再び出席するという。
彼女は帽子を被りジーンズ姿で、にこやかに現れた。一皮剥けた爽やかさを感じた。みんなの要請に帽子を取って見せてくれた。思わず頭に手を当ててしまう。青く剃った頭皮を通して、私の手から胸に暖かいものがず~んと伝わってきた。

現在、仏教の歴史を学びに二部大学に通っている。その傍ら、法事や、檀家周りなど、どんどん役割を広げ、経験を積んでいる。彼女の笑顔はさわやかだ。

彼女が私の生徒でいてくれる事に、大きな喜びと、誇りを感じている。
                            (彼女の許可の下に記載します)