Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

チャカポコチャカポコ

2006年03月11日 23時56分25秒 | 趣味
タイトルだけで今日のテーマが分かった人は、ちょっと異常です。
 ヒント : 『ドグラ・マグラ』

3月11日は、作家・夢野久作の命日(1936年没)です。久作は、
私の母校の前身、旧制中学修猷館の卒業生でもあります。
修猷館は九州では名の知れた学校で、著名人も大勢輩出して
いるようですが、私が誇れるのは久作と、中野正剛くらいかな。
一応、「探偵小説」作家ということになってますが、「怪奇・幻想
小説」と言ったほうがいいでしょう。(どっちも「ミステリー」だけど
ね。)或いは「江戸川乱歩シンパ」と言ったほうがいいのかな?
探偵小説といえば、乱歩や横溝正史、小栗虫太郎辺りが有名
どころでしょうか。最近だと京極夏彦がその系譜ですね。
大正~昭和初期の「エロ・グロ・ナンセンス」と称される退廃的
文化の象徴でもあるのでしょうが、単なる背徳ものではない、
奥深さというか不思議な魅力があります。

米倉斉加年の表紙画に惹かれて角川文庫版の『ドグラ・マグラ』
を買ったのが高校一年生の時でした。それで高校の大先輩だと
知りました。幸い学校図書館に三一書房版の全集が揃えてあり
まして、ひと冬かけて読破しました。
(コタツに首までもぐって、お菓子を食べながら読むという生活を
続けてたら、ひと冬で4キロも太ってしまった・・・)
そういえば『ドグラ・マグラ』は映画化もされていて、一度だけ
ビデオで見ました。桂枝雀の怪演以外これといって見どころの
無い駄作でしたが。

久作の父は、玄洋社の頭山満とも親交が深く「政界の黒幕」の
一人と目されていた右翼の杉山茂丸です。父やその周囲の人
たちの影響とそれに対する反発は、彼の作品に色濃く反映して
います。「氷の涯」などに見られるロマンチシズム、多くの作品
に登場する「社会的弱者」への優しい視点、等々反差別思想や
ユートピア思想を感じられる要素が散りばめられています。
とはいえ彼も時代の子、「骸骨の黒穂」での糾弾を受け
た際には、父親の伝で警視総監に助けを求めたという逸話に
見られるような限界も持ち合わせていました。
でも、それで彼の作品の評価が下がるものではないでしょう。
新聞記者だったこともあるとはいえ、ジャーナリストとしてでは
なく作家として名を残した人ですし。

タイトルの「チャカポコチャカポコ」は、『ドグラ・マグラ』に出て
くる「キチガイ地獄外道祭文」の中で繰り返されるフレーズです。
大槻ケンヂが久作ファンで、時々これを引用してましたので、
聞いたことのある方も・・・いないかな。

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