大雪に思う

この冬は各地で大雪が相次ぎ、雪下ろし中の転落事故や、落ちた雪の
下敷きになるなどして、命を落とされた方も少なくありませんでした。
交通網も麻痺し、大規模な停電も発生しました。
しかし、「自然の猛威」だけではない「人災」の面も見逃せません。
亡くなられた方々はお年寄りばかりです。それは、若い人たちが都会へ
出て行ってしまって、雪を下ろす人がいないからです。
広島県では、今回の大雪で記録が塗り替えられる以前は「三八豪雪」と
呼ばれる記録的豪雪が最高でしたが、その時に県北地域が数週間から
数カ月孤立したのが、この地域の過疎化の始まりと言われています。
地方に新しい広い道路を造るのは無駄だ、というのは費用対効果のみで
地方の危機管理を切り捨てる暴論です。地域住民を守らない国家、安保
政策には、たとえ「正論」でも従う気にはなれません。
中国山地は炭焼きで有名でしたが、過疎・高齢化で需要も生産も減り、
里山の荒廃の一因となって、熊の出没にもつながっています。それでなく
ても、広島は崩落危険箇所が日本一多い県だったりもしますし。
さらに、全国的には余り知られていませんが、中国山地は米軍機の低空
飛行による騒音被害がひどい地域でもあります。厚木の艦載機部隊の
岩国移転によって被害の拡大が懸念されています。
「地方は甘えている」と「構造改革」支持者は言いますが、大都市が地方
と同じ条件でもやっていけるのか、私は疑問に思います。
それに、都市の過密化が地価の高騰（住宅事情の悪化）を招き、環境も
悪化し、郊外に逃げれば通勤時間も長くなり、少子化に拍車を掛けている
ようにも思います。
大雪のニュース一つ取っても、いろんなことを考えずにはいられません。
というか、そういう風に考えさせるのが、報道メディアの本当の役割では
ないのでしょうか。