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Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

替え歌

2006年06月06日 22時48分52秒 | 時事・社会
「君が代」替え歌流布 ネット上「慰安婦」主題?

 卒業式、入学式での国歌斉唱が浸透するなか、「君が代」の替え歌
がインターネット上などで流布されている。「従軍慰安婦」や「戦後補償
裁判」などをモチーフにした内容だが、本来の歌詞とそっくり同じ発音に
聞こえる英語の歌詞になっているのが特徴で、はた目には正しく歌って
いるかどうか見分けがつきにくい。既に国旗掲揚や国歌斉唱に反対する
グループの間で、新手のサボタージュの手段として広がっているようだ。
 替え歌の題名は「KISS ME(私にキスして)」。国旗国歌法の制定以降
に一部で流れ始め、いくつかの“改訂版”ができたが、今年二月の卒業
シーズンごろには一般のブログや掲示板にも転載されて、広く流布する
ようになった。
 全国規模で卒業式、入学式での国旗掲揚、国歌斉唱に反対する運動
を展開するグループのホームページなどでは、「君が代替え歌の傑作」
「心ならずも『君が代』を歌わざるを得ない状況に置かれた人々のため
に、この歌が心の中の抵抗を支える小さな柱となる」などと紹介されて
いる。
 歌詞は、本来の歌詞と発声が酷似した英語の体裁。例えば冒頭部分
は「キス・ミー・ガール・ユア・オールド・ワン」で、「キー(ス)・ミー・
ガー(ル)・ヨー・ワー(ン)」と聞こえ、口の動きも本来の歌詞と見分け
にくい。
 歌詞の意味は難解だが、政府に賠償請求の裁判を起こした元慰安
婦と出会った日本人少女が戦後補償裁判で歴史の真相が明らかに
されていくのを心にとどめ、既に亡くなった元慰安婦の無念に思いを
はせる-という設定だという。皇室に対する敬慕とはかけ離れた内容
で、「国家は殺人を強いるものだと伝えるための歌」と解説したホーム
ページもあった。
 ≪陰湿な運動≫
 高橋史朗・明星大教授(教育学)の話「国旗国歌法の制定後、正面
から抵抗できなくなった人たちが陰湿な形で展開する屈折した抵抗
運動だろう。表向き唱和しつつ心は正反対。面従腹背だ。国会審議
中の教基法改正論議で、教員は崇高な使命を自覚することが与野
党双方から提案されている。この歌が歌われる教育現場では、論議
の趣旨と全く反する教育が行われる恐れすらある」
     ◇
 ■「君が代」の替え歌 歌詞と訳
 【詞】
 Kiss me, girl, your old one.
 Till you're near, it is years till you're near.
 sounds of the dead will she know?
 She wants all told, now retained, for, cold caves know the moon's
seeing the mad and dead.
 【訳】
 私にキスしておくれ、少女よ、このおばあちゃんに。
 おまえがそばに来てくれるまで、何年もかかったよ、そばに来てくれ
るまで。
 死者たちの声を知ってくれるのかい。
 すべてが語られ、今、心にとどめておくことを望んでくれるんだね。
 だって、そうだよね。冷たい洞窟(どうくつ)は知っているんだからね。
 お月さまは、気がふれて死んでいった者たちのことをずっと見てる
ってことを。
                    (産経新聞 5月29日3時16分更新)


少し前にTakeさんのブログで紹介されていました。
一読して、不謹慎ながら、爆笑してしまいました。もちろん、この替え
歌が投げかけるものの重みは理解した上で、のつもりですが。
これを「陰湿」とか「屈折」としか理解できない人たちは、おしゃれで
スマートな言葉で「解説」はできても、実際に苦しんでいる人々と共感
しあったり、世の中を動かしたりすることはできないでしょう。
私が影響を受けた、田川健三や青野太潮の描くイエス像も、この替え
歌の世界と共通する部分があるような気がします。(どこがどう、とは
うまく説明できないので、考えがまとまったら、いつか改めて書きたい
と思います。)

何を誇るべきか 後編

2006年06月05日 23時51分24秒 | 時事・社会
16歳以上の来日外国人に指紋情報の提供を義務付け、入国審査だけ
でなく犯罪捜査にも利用するという出入国管理・難民認定法(入管法)
改正が5月17日に可決・成立しました。
共謀罪に関してはネット上では大いに盛り上がり、このブログでも何度
か取り上げました。教育基本法改正は、いまいち反応は鈍いものの、
自民党文教族が何十年も前から血道を上げ続けてきてるだけあって、
条文は知らなくても認知度は意外と高いように思います(その分、「よく
分からないけど賛成」派が多いという問題はありますが。)それに引き
換え、入管法改正はほとんどの人が審議されてることすら知らなかった
かも知れません。しかしこれは実のところ、共謀罪と並んで、「テロとの
戦い」のための最重要法案であったわけです。
米国が昨年、入国する外国人の指紋や顔写真などの提供を義務付け
たことは、日本でも大きく報じられました。そのような措置を採っている
のは、先進国では米国だけです。恐怖政治を敷いている「ならずもの
国家」でもそういう話は聞いたことがありません。
ところが、日本政府はものの見事に米国に追従して、「悪い見本」の
仲間入りをしてしまいました。指紋提供義務化がどれほどの大問題で、
反発を招くか、「在日」問題で痛感してる筈なのにね。
しかも、収集されたデータは、70年間も保存され、犯罪捜査にも流用
されること、要請があれば外国にも提供することが、審議の中で明らか
になっています。入管システムを担当するのは、米国の同システムも
受け持ったアクセンチュア社です。米企業が世界規模での個人情報
独占に乗り出していることも覗われます。
法改正は米中枢同時テロなどを受け、政府が'04年12月に策定した
「テロの未然防止に関する行動計画」を踏まえた内容で、法相がテロ
リストと認定した人物を退去させられる規定や、日本に入国する航空
機や船舶に対する乗員・乗客の名簿の事前提出義務も盛り込まれて
います。片やヨーロッパでは、欧州司法裁判所が先日、EUが航空機
の旅客情報を米国に提供することは違法との判断を下しました。この
違いはどこから来るのでしょうか。

いつもそうですが、この問題でも「別に悪いことしてなければ困らない
でしょ?」というおとぼけ発言が目につきました。指紋を採るなんて、
悪いことをした人がさせられることだと思うんですけど、こういう人は
指紋を採られる人の気持ちは分からないのでしょうか。
私の友人のミュージシャンMIXさんのブログには、こんなことが書いて
ありました。

ということを考えていた矢先にドイツで聞いた日本の入管法改正
のニュース。向こうのニュースでも外交欄のトップになってました。
ほぼ「鎖国時代に戻るのか」とか「アメリカの影響受けすぎじゃん」
っていう論調だったみたい。ちょうど友人に、「次はそっちが日本に
おいでよ」っていう 話しをしてた直後だったので、旦那さんと一緒に
かなりショックを受けてました。指紋とるって、やっぱりあなたは
外国人だからちょっと危ないんじゃないか疑ってますってことだもん
な…。私もびっくりしたし、法案があることすら知らなかった自分の
無知さも。
テロとか色々あるご時世、そりゃ爆弾とか薬とか銃を持ってたら
追い出されるのは当然だし、空港はそういうチェック機関でもある
わけで、そこは毅然としてればいいけど、それに加えて日本はもう
ちょっと胸はって「ようこそ」とも人を受け入れられる度量があって
もいいのでは。それを無くしてむやみに疑心暗鬼の塊だけで動く
ようになってくると、ちょっと怖い。
(すでにそういう傾向、政治レベルでも民間レベルでもだいぶある
気がする)
「この彼らが日本に来た時に指紋捺印させるのやだなー」っていう
感情の部分とはまた別に、社会の中でこういう人に対する疑念とか
警戒心が強まってくると、むしろ犯罪や紛争は増長するんじゃない
かっていう不安もあり、個人的にはタイミングもあいまってかなり
考えさせられたニュースでした。


海外在住の自分の友人が採られなきゃならないとしたら、あるいは
自分が外国に行って、同じ立場に置かれたら、どうでしょう。
もちろん、この問題の恐ろしいところはそれだけじゃなくて、集め
られた個人情報が悪用される懸念が払拭できない点にもあります。
警察や行政を本当に100%信用できますか?ということです。数々
の事件・不祥事に対する反応を見ていると、そういう人は皆無に
近いと思えてならないのですが。

ところで、前回取り上げた杉原千畝は、当時の盟友であったドイツ
('36年に防共協定を結んでおり、杉原がビザを発給していた頃に
はイタリアを含む三国軍事同盟が締結目前だった)の対ユダヤ人
政策とは相容れない行動を取っていました。それが通説通り杉原
の個人行動ならばもちろん、仮に日本政府の意向に沿ったもので
あったとしても、彼の取った行動はドイツとの関係を悪くし、国益を
損ないかねないものでした。
もしそのような行為が、後世評価され、誇るべきことになるのであれ
ば、今日、米国の「テロとの戦い」に全面協力し、米国政府の意向
に追従して、イスラムへの差別・偏見の増長にも加担している日本
政府・日本人はいかがなものなのでしょうか。アジアの人たちへの
態度はどうでしょうか。
杉原を誇りたいなら、大勢に流されること無く、人道主義を貫くべき
ではないのでしょうか。

何を誇るべきか 前編

2006年06月04日 00時43分15秒 | 時事・社会
小泉首相が、水俣病公式確認50年の慰霊祭には見向きもせずに外遊
に出かけ、アフリカで野口英世なんかを持ち上げてたのと同じ頃、ポスト
小泉の一人と目されている麻生外相もリトアニアを訪問し、杉原千畝を
持ち上げていました。他に伝えるべきことがあるでしょうに、各メディアは
こぞって報じていましたから、皆さんも目にされたことでしょう。

「先輩への評価は誇り」 麻生外相が杉原記念館訪問

 麻生太郎外相は6日午前(日本時間同日午後)、リトアニア中部の
カウナスにある元同国領事代理の故杉原千畝氏の記念館を訪問した。
 麻生氏は、第2次大戦中、ユダヤ人難民に日本通過査証(ビザ)を
発給し多くの命を救った杉原氏について「(外務省)本省の意向に
沿わずにビザ発給を続けることはなかなかできるものではない」と
指摘。「外務省の先輩として、こうした人が評価されていることを誇り
に思わなければいけない」とたたえた。
 同記念館は、2000年5月、旧日本領事館を一部利用して開設され
た。
                         (共同通信 05/07 02:20)


日経の記事によると、「外相は記者団に『本省の意向に沿わなかった
が先見性があった。後のソ連侵攻も見据えていた』と指摘、長期的
視点の決断を評価した。」のだそうです。
現職の閣僚が「本省の意向に沿わなかった」人物を評価するのは、
ある意味おかしな話です。その上当人は、信念を貫いて卒業式での
日の丸・君が代を拒否した教員らを擁護するでもなく、平気で靖国
神社にも参拝するような御仁ですし。あるいは、将来の南北朝鮮や
中国との戦争も見据えてのことかも知れませんが、長期的視点に
立っての物事を考えているようには到底見えません。

ところで、この記事をブログに書こうと思って検索してみたら、ネット
上には通説を否定する主張が溢れかえっていました。要約すれば、
「杉原のビザ発給は本国の意向に沿ってなされた」というもので、
その根拠は、
 ①ビザを発行するなという訓令は見付かっていない。
 ②杉原はその後も、いくつかの外交ポジションを歴任しており、
 叙勲も受け、年金も受領してる。
 ③1947年に解雇されているが、単にリストラに巻き込まれただけ
 で、懲戒処分ではない。1992年の衆議院予算委員会において、
 渡辺美智雄外相(当時)は「ビザ発給の件で処分されたり、退職
 させられたなどの、杉原にとって不名誉な記録は外務省に存在
 しない」と答弁している。
 ④政府もユダヤ人の入国・通過を認めており、当時の国策として
 ユダヤ人を保護していたことは明らか。
などとされています。
ここでは詳しく検証はしませんが、②については疑う余地の無い
事実でしょう。③も公式にはその通りでしょうが、本音の部分では
どうだったかを明らかにするのが歴史研究の筈ですが。④になる
と、かなり怪しくなってきます。杉原ビザで日本に渡航しようとした
ユダヤ人たちは、入国審査で発給条件を欠いていることを理由に
入国を拒否され、神戸ユダヤ人協会と駐日オランダ大使館の奔走
によってようやく入国できた、というのが真相です。対米関係改善
のためにユダヤ人を利用しただけ、とする説もあり、事実、対米
開戦後は「もう用無し」とばかりにユダヤ人政策は変更され、在留
ユダヤ人は上海のゲットーに送り込まれました。①については・・・
噴飯ものです。外務省の外交史料館には、ビザ発給を非難する
本省からの訓令電がしっかり保存されています。
興味がおありの方は、以下のリンク先をご参照下さい。
 杉原千畝の「政治利用」再び
 杉原千畝FAQ集

渡辺発言に先立つ1991年、外務省の鈴木宗男政務次官(当時)
が、幸子未亡人を招いて、日本政府の対応について「謝罪」して
います。2000年には河野洋平外相(当時)も、遺族に公式に謝罪
しました。
この点、麻生外相の発言だけを取り上げて「従来の公式見解を
覆した」と批判するのは当たらないと思います。

何だかすっかり長くなってしまいました。本論はこれからなのです
が・・・。続きはまた明日。


本当に他人事ですか?

2006年05月30日 23時53分48秒 | 時事・社会
広島の男性を誤認逮捕 神奈川県警 殺人未遂で8日拘留
                        (中国新聞 5月30日朝刊)

 神奈川県警は29日、2002年に横浜市で発生した殺人未遂事件で、
青葉署が22日に逮捕した広島市のとび職の男性(40)について、事件
と無関係と判明したため釈放したと発表した。
 男性は「身に覚えが無い」と否認したが、8日間拘留されたという。
 県警によると、02年8月31日未明、青葉区荏田町の市道に止めた
乗用車内で、運転席にいた東京都世田谷区の無職男性(42)が後部
座席の男と口論になり、刃物で脇腹を刺され重傷を負った。事件当時、
車には女性2人も乗っていた。刺された男性と男女3人は知り合った
ばかりだったという。
 青葉署は女性の証言などから容疑者を広島市の男性と断定。同年
12月に殺人未遂容疑で逮捕状を取った。今月22日に男性を広島市
内で逮捕したが、その後の捜査で、事件当日は広島県内にいたこと
が判明した。
 県警の黒木一郎刑事総務課長は「関係者に心からおわび申し上げ
る。再発防止のため指導を徹底したい」としている。


ニュースを注意して見ていると、誤認逮捕は頻発していることが分か
ります。以前にも外国人と間違えられて逮捕された女性について書き
ましたが、重大事件でもなければ緊急性も無い件で、裏も取らずに
警察が簡単に逮捕・拘留するケースが目立ちます。
今回の事件は、報道を読む限りでは、現場にいた女性の証言に問題
があったようです。男女3人もお互いをよく知らなかったのか、それとも
真犯人をかばうために偽証したのか、まだ分かりませんが、アリバイ
も確かめずに逮捕した警察の責任は厳しく問われなければなりません。

政府与党が成立を目指している「共謀罪」には、共謀に加わった者が
自首して計画を自供すれば罪には問わない、という「密告奨励」制度
か設けられています。
政府が「念頭に置いている」とする、暴力団や過激派、テロ組織など
で、この「密告」が期待できるかというと、共謀だけではせいぜい数年
の懲役ですぐ出てくるし、組織も敵に回すことになるわけで(もちろん
警察は密告者を守ってはくれません)、まずありえないだろうというの
が、現場の警官の率直な意見です。つまり、当初の目的はどうであれ、
実際に適用されるのは労働組合や市民団体などになる(さもなければ、
誰にも適用されなくなる)のは明らかです。
そもそも「共謀」の事実を証明すること自体が大変難しいことは、少し
考えれば分かると思います。共謀がまだなされない段階で既にマーク
している、というのは普通ありえない(あってはならない)話で、盗聴や
潜入は本来不可能な筈です。それにもしそれが許されるとして、そう
した手段で当局が確かな情報を得ていれば、共謀罪が無くても、犯罪
を未然に防ぐことは可能である筈です。つまりは、「密告奨励」こそが
「共謀罪」創設の主眼なのです。
「悪いことしなきゃいいんでしょ?」と他人事のように考える人がまだ
多いようですが、それを判断するのは自身ではなく警察や裁判所で
ある、というだけでなく、偽証や言いがかりによって身に覚えの無い
罪に問われる危険性が生じるのが、この「共謀罪」です。何せ、犯罪
行為に直接関与していなくても、そもそも行為自体がなされてなくても
いいわけですから。
そして、上のニュースをはじめ、数々の「事件」が教えてくれることは、
警察はあなたや私の「無実」の証明のために動くわけではなく、むしろ
疑ってかかるのだということです。

矜持

2006年05月25日 23時57分01秒 | 時事・社会
普段はほとんどテレビを見ない私ですが、出張でホテルに泊まる時
は、時計代わりにテレビを付けっ放しにしています。
息子に「矜持」という名前を付けようとして、人名用漢字に無いことを
理由に拒否された男性が、国を相手に起こした裁判も、鹿児島の
ホテルで見た朝のワイドショーで知りました。
3月30日の名古屋地裁判決は原告敗訴。続報が見つからないの
ですが、おそらく控訴しているでしょう。
記事を書くに当たって、ネット上の意見をちょっと拾ってみましたが、
意外にもと言うべきか、やはりと言うべきか、男性に対して批判的な
意見が多かったです。
それらの主張を大別すると、
 ①法律で決められたことには従うべき
 ②そんな変な(読めない)名前を付けるべきでない
 ③わざわざ裁判で争うほどのことか
といった感じで、いずれもこの男性は「我が儘」だと断じています。

②と③については、はっきり言って感覚の問題で、どちらが正しいと
言える類の事柄ではありません。だから論ずるまでも無いのですが、
一応突っ込みを入れておきますと、「矜持」が人名に相応しくないと
言うなら、例えば「正義」とか「真理」とか「大志」などは問題無いの
でしょうか。難しくて読めないと言うなら、例えば「莞爾」などが認め
られていることはどうなのでしょう。最近多い当て字も、読みを問題
にするなら禁止されるべきではないでしょうか。
名前が問題になったといえば、'93年に息子に「悪魔」という名前を
付けようとした父親の件を思い起こす人も多いでしょう。あの場合は
「子どもや周囲への影響」といった公序良俗が問題とされましたが、
「矜持」という名前が何か悪影響を与えるとは想像できません。
(ちなみに「悪」も「魔」も人名に用いることが認められており、たまに
使ってる人を見ます。)
親の勝手な思い入れ、押し付けだという批判もありましたが、それを
言うなら、「矜持」に限らずどんな名前だってそうでしょう。私自身、字
も読みも決して変ではありませんが、子どもの頃から自分の名前が
嫌いでした。(今更改名しようとは思いませんが。)「子どもの気持ち」
云々は、他人がとやかく言うものではなく、子ども自身が思い、言う
べきことの筈です。

さて、順番が逆になりましたが、①についてです。
そもそも「人名用漢字」は「当用漢字」(現在は「常用漢字」)から派生
したものです。「当用漢字」はGHQ主導の戦後の国語改革の中で、
「漢字全廃のための当面の措置」として使用可能な漢字を1850字に
定めたものです。当時のメディアや文化人の中にも、「漢字をなくせ」
「全てローマ字表記にせよ」「日本語自体を廃止してフランス語を採用
すべきだ」などといった、占領軍におもねる暴論とも言うべき発言が
見られました。どうも欧米人の目には、漢字文化が「後進性の象徴」
と映ったようです。権力者や知識人が好んで使った文語が一般庶民
を疎外し、結果的に軍国主義の台頭にもつながった、という見方も
できなくはないですけどね。
しかし多くの日本人は、日本語も漢字も捨てることなく使い続けて、
政府も「人名用漢字」の創設・追加や、より緩やかな「目安」である
「常用漢字」への移行(「当用漢字」の廃止)といった措置を取らざる
を得ませんでした。
要するに、「GHQの押し付け」である「当用漢字」に付随する形で設け
られた「人名用漢字」ですから、「当用漢字」が廃止された時点で、
その役割は終わってる筈なのです。にも関わらず、なぜ今も、名前に
使用できる漢字が制限されなければならないのでしょう。
ルールなんだから従え、と言うのであれば、政府も憲法に従え、と
主張して頂きたいものです。
また現に、札幌高裁で「簡易な字にも関わらず人名用漢字に含まれ
ていないために使用できないのはおかしい」という訴えを認める判決
が出されており、'04年の「人名用漢字」の大幅改正は、それを受け
ての措置でした。前例があるわけですから、今回の男性への批判は
成り立ちません。
見ず知らずの人たちを悪し様に言うようで、些か心苦しいのですが、
歴史的経緯も漢字も知らない人たちが、自分の無知を棚に上げて
相手が悪いと決め付ける、最近の風潮がここにも表われてるように
思いました。

断固拒否

2006年05月16日 23時55分43秒 | 時事・社会
名護・岩国に新振興策 米軍再編特措法案

 日米両政府で最終合意した在日米軍再編を円滑に実行するため、
政府が検討している「駐留軍等再編円滑化特別措置法案」(仮称)
の全容が15日、分かった。
 再編事業の進み具合に応じ、段階的に交付金を拡充する「再編
交付金」制度の創設に加え、特に基地負担が重い沖縄県名護市や
山口県岩国市を念頭にインフラ整備を支援する別枠の振興策も盛り
込み、二種類の振興策を用意したのが特徴。基本的に十年間の
時限立法とする方針だ。
 このほか、(1)在沖縄米海兵隊のグアム移転を促進するため国際
協力銀行(JBIC)業務に特例を設ける(2)基地返還で影響を受ける
基地労働者の雇用や跡地利用対策-なども明記した。
 政府は今国会提出を視野に法案準備を加速させているが、小泉
純一郎首相が一時提出に慎重姿勢を示した経緯もあり、国会情勢
などをにらみ、提出の可否を最終判断する。
 普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を抱える名護市や、
厚木基地(神奈川県)の空母艦載機が移転する岩国市を念頭に
置いた振興策は、首相を議長として関係閣僚で構成する「再編関連
閣僚会議」が関係自治体の申請を踏まえ対象地域を指定し、「再編
地域振興特別計画」を決定。道路、空港、港湾整備などで国の補助
率をかさ上げするなど優遇措置を講じる。
 再編交付金制度は、再編計画に関係する基地を「再編関連特定
防衛施設」に指定し、周辺市町村に(1)環境影響評価開始(2)事業
着工(3)事業完了-の各段階に応じて増額する交付金を支出する。

                       (東京新聞 2006年5月15日)


ということで、またしてもバラ巻きによる懐柔策です。「財政は危機的
状況」とか言って、消費税増税が画策されているご時世だというのに、
どこにそんなお金があるのでしょうか。
沖縄県の稲嶺知事が、経済界出身のバリバリの保守の本性を垣間
見せ、発言がぶれ始めましたし、岩国市でも市議会で「条件闘争派」
が勢力を広げつつあります。が、広島県では関係市町が「白紙撤回」
を求めて結束を強めています。

広島県連絡会議、民意無視に憤り

 在日米軍再編の最終報告の発表後、初めてとなる岩国基地増強
計画反対広島県連絡会議が十五日、廿日市市役所で開かれた。
会議に加わる市長らが近く、国の関係機関を訪れ、米海兵隊岩国
基地(岩国市)への空母艦載機部隊移転の白紙撤回を求める要請
活動をする方針を申し合わせた。
 広島、廿日市、大竹、三次、江田島各市の市長や代理、民間団体
の代表者計16人が出席した。オブザーバー参加の井原勝介岩国
市長は最終報告について「地元との協議を尽くさないまま、負担が
さらに増える内容。容認できない」と指摘。夜間離着陸訓練(NLP)
施設の建設場所についての警戒も呼び掛けた。
 広島市は過去6度の会議に局長を派遣していたが、今回は山田康
助役が出席。「市は節目ごとに(岩国基地増強の白紙撤回を求める)
コメントを出してきた。今後も一緒に取り組んでいきたい」との考えを
示した。
 他の自治体も白紙撤回を求めていく姿勢をあらためて確認。今月
下旬、市長や議長らが要請文を携え、防衛庁や外務省などへ4度目
の要請活動に訪れる方針を決めた。
 会議後の会見で、山下三郎廿日市市長は「最終報告は地元住民
の意思をまったく無視しており、憤りを覚える。国の専管事項であって
も、市民の安全を守るため、息の長い運動を続けていく」と強調した。

                  (中国新聞ニュース 2006年5月16日)


前にも書きましたが、広島県も県北を中心に、米軍機の騒音被害を
受けています。空母艦載機部隊の移転によって被害がさらに広がる
懸念が出ているにも関わらず、政府は何の根拠も無しに「今より被害
が拡大することは無い」と繰り返すばかり。(共謀罪に関する答弁と
一緒ですね。)広島県の要請で作成された騒音予想マップでは、被害
地域を示すラインが計ったように宮島のすぐ手前に引かれていて、県
の反発を招くひとコマもありました。そして最後には、「(飛行ルートは)
米軍が決定するもので、政府としては明言はできない」と本音もポロリ。
将来はNLP施設も瀬戸内地域に建設される恐れがあるほか、原子力
空母が岩国に寄港する可能性も指摘されています。
宮島と原爆ドームという2つの世界遺産を抱える広島には、反対する
権利があります。遺産とそれを取り巻く環境の保護は、保有国の義務
ですから。弥山の生態系を脅かし、厳島神社の神事にも影響を与え、
核廃絶の訴えをますます骨抜きにするようなことは認められません。

政府が地元のことなど全く考えていないことを示す好事例が、先の
岩国市長選の最中にありました。最後にその記事を転載して、今日
は終わりにしたいと思います。

艦載機移転の地元説明ドタキャン

 在日米軍再編に伴う米空母艦載機の岩国移転問題で、国が21
日、新・岩国市などに最終報告の見通し説明を申し入れ、直前で
キャンセルした。防衛施設庁は「担当者に急用ができた」とするが、
急きょの対応に追われた自治体側は「何を考えているのか」と不信
感を募らせた。
 同市は21日午前8時半、広島防衛施設局から説明の申し入れを
受けた。坂本憲一局長や同庁施設調査官らが訪れ、同10時から
田中英雄市長職務執行者が会う予定。会談の約15分前に「後日
にしたい」と電話で伝えてきたという。
 今は、23日投開票の市長選の選挙期間中。空母艦載機移転案
への対応が最大の争点のうえ、市長は不在。田中執行者は「申し
入れも延期の連絡も突然。国の意図が分からない」と話す。
 山口県と同県周防大島、和木町、広島県、大竹市も申し入れを
受けた。山口県は午後1時から、二井関成知事と綿屋滋二副知事
が応対を予定。広島県もあわてて会議室を用意。「振り回された」
とげんなりする職員もいた。同庁施設企画室は「理由の説明は
差し控えたい」としている。
                 (中国新聞ニュース 2006年4月22日)




「凶暴」はどっちだ

2006年05月15日 23時43分10秒 | 時事・社会
今観たい映画が2本ありまして、1本は19日で上映が終わってしまう
ので今日観に行きたかったのですが、まだ体が本調子で無いので
諦めました。月曜日だと安いから、今日が良かったのですが、時間
が許せば明日以降、仕事帰りに行ければいいなと思ってます。
その映画というのは『ホテル・ルワンダ』です。
広島ではサロンシネマというミニシアターでの上映ですが、異例の
ロングランとなりました。にも関わらず、見逃してしまいそうな私・・・。
何故この映画が観たいかというと、ちょうど一年前に、REACH
(Recocilation Evangelism And Christian Healing for RUWANDA
「ルワンダの和解といやしの働き」)というNGO団体の一員として、
バプテスト連盟から派遣されることになったSさんという方にお会い
して、いろいろお話を伺う機会が与えられ、それまで無知・無関心
であったルワンダに対する祈りと悔い改めを迫られ、以来ルワンダ
のこととSさんの働きを気に掛けていたからです。
私にとってタイムリーな映画、の筈でしたが、やはりこういう「重い」
作品は、心身ともに整ってない時に観ると辛いものがあります。
というわけで、先延ばし。でも観れる時に観ておかないと、レンタル
は当分先だし、近所の店には置かれないかも知れないし。

さて、話はがらっと変わりますが、「共謀罪」をめぐる攻防がヤマ場
を迎えています。連休前の採決は阻止されたものの、与党は今週
中にも委員会採決を図る構えです。
犯罪行為が実際になされなければ(未遂や「凶器準備集合」などの
予備的行為も含む)処罰対象とならない現在の法体系を根本から
覆し、「話し合っただけで罪となる」というのは、ある意味憲法改正
に匹敵するような重大案件であるにも関わらず、多くの国民の知ら
ないところで、充分な議論もせずに成立させようとされているところ
に、これがいかに「危ない」法案かがよく現れています。
政府は「犯罪集団を取り締まるためのもので、一般国民に影響は
無い」と強弁していますが、政治家の答弁がいかに軽いものかは
過去に証明済みです。対象となる「犯罪組織」を限定・明記できない
ところが既に怪しい。そんなフリーハンドの法律を権力者に与えたら
どうなるか・・・。
と書くと、必ずといっていいほど、「悪いことをしなければ問題無い」
「テロや凶悪犯罪から身を守るためには必要」といった声が挙がり
ます。でも、本当にそうでしょうか。
後者については、また稿を改めて。とりあえず、「テロ」だの「犯罪
集団」や「外国人」による「凶悪犯罪」だのは、騒がれるほどには
実際起きてはいない、ということだけ述べておきます。
さて、前者に関してですが、何が「悪いこと」かを端的に表す事件
を見つけました。
詳しくは「弾圧は共謀罪のさきどり」というサイトをご覧頂きたい
のですが、4月30日、東京で行われたフリーターらによるメーデー
集会で、事前の申請では問題とされなかった行為が「道路交通
法違反」に問われるなどして逮捕・拘留されるという事件があり
ました。
警察・権力が「誰を」取り締まろうとしているのか、よく分かります。
と同時に、現行法で既に対応可能である(と権力側は考えている)
にも関わらず、あえて「共謀罪」を新設しなければならないところに
権力側の「罪の自覚」とそれを正当化しようという思惑が存在する
ことが伺われます。
本当に危ないのは、どっちでしょう? いるかどうかも分からない
「犯罪者」を疑うなら、権力者を全面的に信頼しなければならない
理由は無いと思いますが。

公式確認50年 後編

2006年05月03日 01時39分11秒 | 時事・社会
小泉首相 外遊で出席せず
                    熊本日日新聞 2006年5月1日夕刊

 水俣市は公式確認50年の慰霊式に小泉純一郎首相の出席を求めて
いたが、首相はゴールデンウイーク恒例の外遊へ。地元の声は届かな
かった。
 水俣市の宮本勝彬市長は2月末、「水俣病被害者の長年の願い」と
して首相出席を求める要望書を環境省に提出した。しかし、環境省の
担当者は3月29日に水俣市で開かれた会合で、「要望書は首相には
届いていない」と発言。同じ日に首相の外遊日程が発表された。
 環境省は「期待に沿わなかったことは申し訳ないが、連休に首相の
外遊が入るのは通例で、官邸に(要望を)断らせることに慎重にならざ
るを得なかった」と、要望書をあえて官邸に渡さなかったと説明する。
 係争中の水俣病損害賠償訴訟の大石利生原告団長は「首相が来て
も直接の救済には関係ないが、現地で謝罪する必要があった。環境
省が1カ月も要望書を放置するなんて、水俣病に対してその程度の
考えなのだろう」と憤る。国の最高責任者欠席の状態で、ミナマタは
半世紀の慰霊式を迎えた。


首相がガーナに到着 クフォー大統領と会談へ
                   中国新聞ニュース 5月2日4時20分

 【アクラ1日共同】アフリカなど歴訪中の小泉純一郎首相は1日午後
(日本時間2日未明)、エチオピアから2番目の訪問国ガーナに政府
専用機で到着した。
 日本の現職首相のガーナ訪問は初めて。首相は首都アクラで
クフォー大統領と会談し、対ガーナ支援を継続する方針を伝えるほか、
感染症対策、国連改革などをめぐり意見交換する。会談に先立ち、
黄熱病研究のためガーナ滞在中に死亡した細菌学者の野口英世氏
が利用した研究室を訪れ、献花する。


公式確認50年の節目の年の慰霊祭を、小泉首相は欠席しました。
韓国・中国との首脳会談を何年も行えない人が、GWだからとはいえ、
国会の会期中にアフリカ歴訪なんてやってる場合なんですかね。
共謀罪やネット規制、入管強化などが審議され、教育基本法改正も
法案提出間近だというこの時期に。
水俣を無視しておいて野口英世を偲ぶという感性も理解できません。
今さら驚くことではありませんが。
地元の抗議を受けて、急遽談話を発表したものの、'95年の政治決着
の際の「村山談話」以降も放置されてきた責任、解決の具体的道筋
などには言及されていません。

一方、首相の出席の要望書を「店晒し」にしていた環境省の小池大臣
も、慰霊式には出席したものの、体調に不安があるとの理由で、患者
団体との懇談をキャンセル。政府の冷淡な対応が際立ちました。

国会では各党こぞって「救済案」を提起しているものの、肝心の認定
基準見直しに言及した者はおらず、地元では「注目が集まっている今
だけのパフォーマンス」との冷めた見方が一般的です。自民党に追随
してばかりの公明党が、少しはまともな主張をしてくれるのは、悪くは
ありませんが、それも「アリバイ工作」的な臭いがします。自民党の
「チッソ分社化」案などは、結局自民党は変わっていないことの何より
の証左ですね。

公式確認50年 前編

2006年05月02日 05時53分03秒 | 時事・社会
鎮魂と再生の誓い新たに 水俣病公式確認から50年
中国新聞ニュース '06/5/1

 「公害の原点」といわれる水俣病の公式確認から1日で50年を
迎えた。熊本県水俣市の八代海(不知火海)に臨む埋め立て地
で慰霊式が開かれ、患者や遺族ら約1300人が犠牲者の冥福を
祈り、悲劇を繰り返さないことを誓った。
 これまでに熊本、鹿児島両県だけで延べ約21000人が水俣病
患者として認定申請したが、認められたのは2265人。現在も約
3800人が認定を求めており、補償を受けられない被害者の苦悩
が続く。
 「水俣病患者の会」会長の浜元二徳さん(70)は祈りの言葉の
中で「まだ解決していない問題があるのはとても残念なこと」と
指摘した上で「悲惨な公害を二度と繰り返さないよう、経験を
多くの人に伝えるのが生きている私たちの務めです。どうぞ
安らかにお眠りください」と述べた。
 続いて、母親の胎内で水銀の影響を受けて生まれた胎児性
患者5人が「たくさんの困難の中でも、今日まで生きてこられて
よかった」「この悲劇が希望と未来につながる日まで私たちは
生き抜きます」などと交代でメッセージを読み上げた。
 式には小池百合子環境相も参列し「政府を代表して水俣病
の拡大を防げなかったことをあらためて心よりおわび申し上げ
ます」とあいさつ。続いて原因企業チッソの後藤舜吉会長も
「水俣病を発生させ、多くの方が犠牲となりましたことは痛恨
の極み」と頭を下げた。
 式の冒頭では、患者や遺族ら五人が慰霊碑の前に水を
掛け、地元の小、中学生が鳴らす鎮魂の鐘に合わせて参列
者が黙とうをささげた。
 水俣病は1956年5月1日に新日本窒素肥料(現チッソ)水俣
工場付属病院が「原因不明の脳症状を呈する患者が多発し
ている」と保健所に届けたことで公式確認とされる。



慰霊式 犠牲者の霊に祈りささげる 水俣湾埋め立て地で
                熊本日日新聞2006年5月1日夕刊

 水俣病の公式確認から50年を迎えた1日、水俣市汐見町の
水俣湾埋め立て地「慰霊の碑」前では午後1時半から水俣病
犠牲者慰霊式が始まった。患者や患者の家族をはじめ、国、
熊本県、原因企業チッソの関係者ら約千人が出席し、半世紀
の犠牲者の御霊(みたま)に祈りをささげた。
 慰霊式は、国、県や水俣市でつくる公式確認五十年事業
実行委などの主催。
 政府代表として小池百合子環境相が出席。潮谷義子熊本
県知事、チッソの後藤舜吉会長らに加え、今年初めて鹿児島
県の伊藤祐一郎知事、新潟水俣病が発生した新潟県の泉田
裕彦知事も参列した。
 水俣市のほか、同市の呼び掛けに応じた県内の各自治体
が午後1時40分ごろサイレンを鳴らし黙とうした。
 式典に先立ち、小池環境相と潮谷知事は、会場近くの水俣
病情報センターで水俣病の「語り部」たちと面会した。
 一方、同市袋の乙女塚では、慰霊式の時間に合わせて
一次訴訟を闘った患者や家族らでつくる水俣病互助会(諌山
茂会長)が独自の慰霊祭を開いた。同会メンバーや支援者
らは午前中、チッソ水俣本部や初期患者が入院した同付属
病院跡地、水俣湾埋め立て地など関係の深い現場を回り、
50年を振り返った。
 政党では民主党の国会議員団が午前中、水俣入りし被害
者団体と懇談。共産党の市田忠義書記局長も水俣市役所
に宮本勝彬市長を訪ねた。(星原克也)


正月に帰省した時に、西日本新聞で、今年は「水俣病公式
確認50年」と「土呂久鉱害告発35年」の年だと知りました。
8月には高千穂で、両患者団体らによる合同歴史展が開催
予定だと聞き、ぜひ行ってみたくて、情報収集に努めている
ところです。

日本窒素肥料(現チッソ)の創業は1908年。アセトアルデヒド・
合成酢酸設備稼働と排水の海への放出は'32年に始まって
おり、国内生産の50%を担っていました。
公式には第一号患者は'54年発病とされますが、もっと以前
から「奇病」「ネコ踊り病」の噂は流れていました。
'56年4月、5歳の少女が脳症状を訴えて新日窒水俣工場
付属病院に受診し、5月1日の「公式確認」へとつながります。
この年8月には熊本大学研究班が「魚介類を介した重金属
中毒の可能性が高い」と指摘。翌年4月には保健所がネコを
使った最初の再現実験に成功しています。
しかし新日窒は、'59年10月に付属病院でもネコ実験によって
因果関係を知っていながら、有機水銀原因説を否定し続け、
操業・排水放出が続けられました。
'73年、第一次訴訟で原告勝訴の判決が出て以降、ようやく
行政も本格的な対策に乗り出し、チッソ('65年社名変更)も
補償に応じています。

しかし患者認定には、複数症状の組み合わせが必要とする
厳しい基準を行政が設定しており、未認定患者問題が深刻
化しています。'70年代後半から未認定患者らがチッソと国、
熊本県の責任を問う訴訟を各地で起こされました。
95年、訴訟取り下げを条件に一時金や医療費を負担する、
政府解決策で決着が図られ、関西訴訟以外の国賠訴訟は
取り下げられましたが、'04年10月の関西訴訟最高裁判決
は国と熊本県の責任を認め、一つの症状でも損害賠償の
対象になるとの判断を示しました。
これを機に新規認定申請者が約3800人に上り、うち1000人
以上が新たな裁判で救済を訴えています。政府は認定基準
の見直しを拒否したままで、解決のめどは立っていません。

上関

2006年04月27日 23時50分15秒 | 時事・社会
昨日は上関町に行きました。
上関といえば原発、と私の頭にインプットされたのは、大学に入ってから
です。福岡では原発といえば、佐賀の玄海原発で、よそのことまで目が
届きませんでした。
上関と聞いて、下関の近くかな?なんて勝手に思い込んでもいました。
車に乗るようになって道路地図を買って、実は広島に近いのに気づいて
大変驚きました。直線距離だと60kmほどでしょうか。しかも周防大島を
越えたら、ずっと海。万一大事故が起きたら・・・と考えるとぞっとします。
元々は船の荷を検査する番所の一つ「上関」があったことからその名が
付いたそうで、歴史資料館もあります。
周辺の柳井市や平生町にも遺跡・古墳が多くあります。今は少々寂れ
てますが、歴史の古い地域のようです。

原発建設計画が明るみに出たのが1981年。以降、町は賛成・反対両
派に二分され、激しい争いが繰り広げられてきました。町長選、町議会
選とも、反対派が勝ったことはないのですが、数の力でごり押しもでき
ず、計画も遅れに遅れて、町民はうんざりしています。
建設予定地にある神社の神職解任・移転問題や、入会権・漁業権を
めぐる訴訟ももつれていますし、中電の不正行為で工事がストップした
こともありました。環境への影響も議論が続いています。

何故そうまでして、原発の新規建設にこだわるのでしょうか。
原発は「安定」「安価」「安全」「クリーン」などというのは、全てでたらめ
です。コントロールができず、有害物質を大量に生産する、危険極まり
ないものだから、科学の粋を集めて「安全」を確保しようと腐心している
に過ぎません。安いのは、いびつなエネルギー政策と電力会社の策略
の結果です。
国の補助金に依存する地方を批判する声もありますが、地方が国から
の補助金に依存しなければならない財政構造、そして補助金をえさに
地方に押し付ける国の姿勢こそが問題です。
そういえば、今年度中にプルサーマル計画に同意した都道府県には、
新たな補助金が下りるそうで。おかげで島根県が今、補助金目当てに
大急ぎで手続きを進めていて、市民の理解を得るために慎重に議論を
重ねたい松江市との間で、ひと悶着起こりそうな気配です。

上関の場合、少子高齢化で漁業が続けられなくなってきて、海はもう
どうなってもいい、という感覚が賛成派の人々にあるのではないかと
感じてしまいます。原発なんかができても若者は寄り付かないという
ことまでは考えてないのではないでしょうか。
この問題に限りませんが、地方の良さは何か?という視点がいつも
欠けているんですよね。日本中が都会になんてなれっこないんです。
必ず、地方が、田舎が、どこかにある。その良さを引き出すことを考え
ないといけません。
寂れた町は、知恵と努力で再生できますが、失われた自然は元には
戻らない。他に何も無いような所の美しい自然は、守ってほしいな。
私、瀬戸内の海や島々が大好きだから。