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社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

松岡圭祐の世界その24『千里眼 美由紀の正体上・下』

2008-08-04 09:26:11 | 趣味(読書)

松岡圭祐の世界その23『千里眼 堕天使のメモリー』に続き、千里眼新シリーズの第7(8)弾です。

松岡圭祐の世界その23『千里眼 堕天使のメモリー』の最後に隠蔽された、死にたくなる程の岬の隠蔽された記憶とは何なのか? これが、この第7(8)弾の今回の『千里眼 美由紀の正体』で美由紀の真実の過去と、それゆえに自衛隊で卓越した才能を開花させる事ができた事、一方で今は亡き千里眼友理佐知子により、過去の4歳までの記憶とそれ以降の記憶も隠蔽された事により、新たな臨床心理士として生きられるようになった過去がこの上下巻で明らかにある。旧シリーズでは、ズット美由紀の過去には触れられなかった事が、新しいシリーズで、語られる事になる。つまり、岬美由紀は、岬家の子供ではなく、両親の存在も知らず、物心付いた時には人身売買組織から、売られ、幼女売買で性的搾取される生き地獄の中にいた事が明らかになる。しかもそれが、まだ続いている事実を突き止め、幼女売買の罪を暴く事に疾走する。

今回も何度も危機に陥るが、新シリーズでは初となるフルメンバー登場、つまり旧シリーズで美由紀と共に活躍した警視庁捜査一課の蒲生誠警部補、臨床心理士の嵯峨敏也と、自衛隊仲間だった(元恋人)伊吹直哉一尉が始めて登場し、美由紀を助ける。新シリーズで登場した先輩臨床心理士の舎利弗浩輔や美由紀の親友である雪村愛と共に。

千里眼美由紀の正体上A.jpg書 籍:『千里眼 美由紀の正体上』 発行年:2007年9月25日初版発行 発行所:株式会社角川書店 価 格:514円(税別) 縦一段組み285ページ

<上巻カバー裏のストリー紹介> 記憶を失った女性が手にしていた国防機密のの図面。それを巧妙に掠め取った男に対する岬美由紀の過剰な暴力に周囲は困惑する。その様子を分析した臨床心理士の嵯峨敏也は彼女の暴力に一定の傾向があることにきづき、慄然とする。そんな中、時折フラッシュバックする相模原団地の風景の謎を解き明かす為に現地に乗り込んだ美由紀が目にしたおざましい情景とは。最大の謎の核心に迫る書き下ろし第7弾。すべては今、白日の下に。


千里眼美由紀の正体下A.jpg書 籍:『千里眼 美由紀の正体下』 発行年:2007年9月25日初版発行 発行所:株式会社角川書店 価 格:514円(税別) 縦一段組み266ページ+解説(大塚英志)8ページ

<下巻カバー裏のストリー紹介> 次々と脳裏に蘇る抑圧された記憶の断片。高校時代の初恋から防衛大学の主席卒業まで、岬美由紀が大切にしてきた思い出は、すべて、偽りだというのか。どうやら過去がフラッシュバックしたようだな・・・・。そういって現れた、あの男が告げた衝撃の真実とは?! あの日、本当は何が起こったのか。千里眼シリーズのメインキャラクターが一堂に会して美由紀の消された記憶の真相に迫り、その正体を解き明かす究極の問題作!

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<私的まとめ> 畔取直子(くろとりなおこ)は、北茨城の海岸で何者かに追われ、崖から落ち、記憶喪失になる。茨城県警の廣瀬警部補は、事件究明の為に、兵萃昌劼硫箸鯔♢譟徃兵萢圓閥Δ膨昌劼伐颪ΑG梢牲亞芦憤紊篝鎖晴覆寮賁膕箸力辰任狼⑱荏喙困亡悗靴董△い泙脆汁海箸擦此∧未寮賁膕箸弔泙衫彎何翰里討个譴觧砲覆襦

岬美由紀は親友の雪村藍から、最近ストーカに近い被害と言うか変な事が周辺で起きている事を聞く。藍の好きな物を、全く知らない人からプレゼントされそうになったこと等。この時に臨床心理士会から依頼が入り、畔取直子の所に行く事になる。

直子と会った美由紀は、記憶を呼び戻す為に、事故後に直子が大切にしていた物でまだ触れていない物はないかと夫の利行に聞くと、封筒を持って来た。中にはFIFA女子ワールドカップの切符と約20万円程が入っていたが、直子は全く知らないと言う。美由紀はすぐこれは、最近偽装された物で、誰かが直子に渡した物だと判断する。そして、海岸で追いかけられた時の事を直子は思い出す。「図面は何処かと聞かれた」と。直子は図面をハンドバッグから取り出すと夫の利行が、サッとその図面を奪い取り、去っていく。利行は実は、防衛省内部部局の調査課の人間で、直子の夫に成りすまし調査を行なっていた。ところが、記憶をなくしていた直子は、夫と信じ込まされた利行と毎晩一緒に寝ていた事になる。調査の名の下に直子の人権は蹂躙されていた。この事を知った美由紀は、利行の向かう土浦駐屯地に追いかけ、利行に制裁を加えてしまう。利行の奪った地図と共に他の持ち物も盗み、唖然とする廣瀬警部補を後にして立ち去る。

美由紀は、図面をみて、まるでゴシップ記事の図面と判断し、とても国家的情報ではないと判断する。一方で利行には余罪が他にもあるのではないかと考えた岬は、利行の携帯電話から「新・出会いの館」と称するブックマークを見つける。何とそこにアクセスすると、美由紀の友人である雪村藍ののリストがあった。顔写真と共にプロフィールに藍の好きなアーティストや物等が紹介されていた。美由紀は、逃走中の身ながら藍のアパートに行く。そこで、藍のパソコンから、ある喫茶店で藍のデータが盗まれた事を瞬時に理解し、その喫茶店に向かう。その店員はアルバイトでこのサイトの運営者に個人情報を流すと、同時にゴシップ雑誌で有名なノウレッジ出版に売っていた事もつかむ。ノウレッジ出版はこの個人情報を使って、有名人等のゴシップ記事のスクープ記事を出していた。一方で「夢があるなら」と言う不幸物小説で、読んでいると涙が流れる事が有名な小説で莫大な利益を得ていた。

美由紀は、今度はそのノウレッジ出版社に乗り込み、油谷社長の製本工場が埼玉の菖蒲町にある事を突き止める。外国人を半分囚人の様に扱い、決して逃がさない環境の中で、仕事をさせているようであった。その外国人達は、最近は玉ねぎでヘルプの文字を書き、通報する手段を使っているらしかった。美由紀は、直子が持っていた図面を、ライターであぶるとそこには「タスケテクダサイ ケイサツニデンワシテ ショウブマチオオアザアリカワ2312」の文字があぶりだされて来た。
玉ねぎが大量にある場所にある製本工場を見つけ、とらわれていた外国人達を、無事逃がす事に成功する。
しかしその工場で見つけた、新刊の創刊号「インシデント」。そのゴシップ記事のトップに「隅田川花火大会で、大爆発事故」とあるが、今年のこのイベントはこれからだ。その内容から、ノウレッジ出版の油谷が、隅田川花火大会で爆弾を仕掛け、その大惨事を引き起こし、創刊号の「インシデント」のスクープ記事の形で掲載する事で莫大なヒットを狙おうと考えている事がわかった。一方で、この「インシデント」の記事に「北朝鮮ミサイル基地図面を持った謎の女」と掲載されており、要は、畔取直子を北朝鮮のスパイにするべくシナリオが展開されていた事を理解する。
やらせに端を発する不幸の連鎖であり、元凶はこの雑誌であり、しかもまだ、最悪のシナリオが容易されている。世界が震撼するほどの隅田川花火大会での大悲劇が。
結局警察の力も借りられない中で、美由紀は、これも阻止する事に成功する。
これら一連の中で美由紀は、嵯峨の助言で自分が、ある特定の状況で変化する事を自覚する。つまり複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と認識する。つまり被害者が幼児や性的虐待、被告が40歳以上等の場合に、自分を抑えられなくなると・・・。
松岡圭祐の世界その23『千里眼 堕天使のメモリー』で、キーワードとなった言葉から、フラッシュバックされた相模原団地(米軍基地の軍ではないアメリカ人と地元の日本人が住んでいる治外法権の地域)に行く決心をする。
 
そして、相模原団地に踏み込むが、そこは、昔の戦後の日本と同じ状況であり、日本人ではない多くの子供が暮らしていたが、あることから、武器が沢山部屋の畳の下に隠されている事を知る。その直後、米軍の大尉が岬を切りつけて来て、逃げるが優しく迎えてくれた相模原団地の住民は、皆グルであり、戦後以降、武器や幼児の人身売買(幼児の性的搾取や臓器売買)で生活を立てていたのだった。しかも美由紀がここに居たのは確かであった。美由紀は、麻酔を定期的に打たれ、逃げ出す事も出来ず、意識あるままで、死につつあったが、後から来ることになっていた雪村藍の機転で、伊吹に連絡をとる事に成功する。
 
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伊吹と外務省の成瀬は、美由紀救出の為に、相模原団地に向かうが、雪村藍もつかまり、美由紀と同じ様につかまってしまう。伊吹と成瀬は、大騒動と起す事で、米軍の少佐クラスを呼び出す事に成功し、結果美由紀、藍と共に人身売買の子供達も救う。この犯罪組織のデータから、この相模原団地の子供の7割が人身売買の商品となっており、舌紋(指紋ではなく)から、美由紀が25年前に一度売られ、3ヶ月後にまた返ってきて、それから半年後にまた売られた事になっていた。何れの場合も、性的搾取が目的であり、おそらく飽きられたか、一度そういう事を受けたら捨てられるらしい。美由紀は、自分の過去に愕然とする。自衛隊時代の美由紀と、臨床心理士として生まれ変わった美由紀では、まったく違った雰囲気になっていた事を伊吹は言う。自衛隊時代では、拒食症で、やせて、目をぎらつかせていたが・・・。
そんな、中でメフィストコンサルタントのダビデが、積み木を送りつけ、更に岬の前に現れる。複雑性PTSDと摂食障害を伴っていた美由紀の幼少時の記憶をなくさせたのは友理佐知子だと告げる。しかも無罪は自分で勝ち取るものだと。君を必要としている多くの人がいると。
 
ダビデが渡した積み木を掴む内にフラッシュバックで、新しいキーワードを掴む。伊吹と共に群馬に向かいながら、舎利弗の調査で秤の工場が足尾山にあり、24年前の東京駅駅長事件の犯人が仁井川章介であり、殺そうとしたのが漆山靖史である事を知る。
仁井川章介は暴力団の組長の長男であったが、漆山靖史(相模原団地:人身売買組織の窓口)を殺す事に失敗し、暴力団仁井川系から波紋されていたが、つい最近漆山が殺された事件が発生し、その犯人(無罪)と思われる人間に接触する事で、事のあらましを知る。
 
美由紀がこの仁井川章介に性的に蹂躙された事を思い出し、且つ今も幼女が蹂躙されている事を知り、助けようとするが、仁井川らに捕まり、また美由紀が蹂躙されそうになる。しかし蒲生が現れ、美由紀や幼女を救う。
 
逃走中にも多くの罪を重ねた美由紀であったが、刑事告訴に対し、東京地裁の裁判官は結果的に無罪を言い渡し、以下を告げる。
「あなたひとりだけがは、真実が見抜ける。他の誰もわからないことが、あなたにはわかる、・・・どれほどのジレンマを抱え、どんなに孤独を感じるか、私には想像もつきません。それでもあなたが幼少の頃に背負わされた苦難を考えれば、これまでのことは仕方がなかったといえるでしょう。両親と信じていた人たちと、実は血のつながりはなかった。本当の親の顔はわからない。誰も頼れないというあなたの絶望を、少しは理解できるつもりです。」・・・・・「あなたが善意と愛に満ちた心の持ち主であることを私たちは知っています。あなたの助けを必要としている人は大勢います。これからも、人々のために生きてください。私たちは決してあなたの妨げになる存在ではない。正当な理由があれば、あなたの正義を応援します」と・・・。
 
この後伊吹の結婚式と松岡圭祐の世界その23『千里眼 堕天使のメモリー』のジェニファーのソマリオでの失策が掲載されるが・・・。これらはおまけと解釈する。
 

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