社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

百田尚樹「錨を上げよ 上下」

2011-10-18 07:32:55 | 趣味(読書)

最近、百田尚樹氏の作品に凝っている。氏の「影法師」に続いて、「錨を上げよ」と言う作品を読んだ。氏の作品は通常2日もあれば、簡単に読めてしまうが、流石にこの作品はそうはいかなかった。上巻だけで591ページ。下巻も616ページもあった。読めども読めども、終わらなかった。しかもつぎから次に新しい破天荒な展開で進む。戦後10年の荒廃を過ぎて、高度経済成長の時代の中で。

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書籍名:錨を上げよ 上
著 者:百田尚樹(ひゃくた・なおき)
発 行:2010年11月30日初刊発行
発行所:株式会社講談社
頁 数:縦1段組み591ページ
価 格:本体1,900円(税別)

この男、
いったい、
何者か。
昭和三十年大阪下町生まれ。
その名は、作田又三(さくたまたぞう)。
下品で、ずるくて、しぶとくて、
ルール無視でもお構いなし。
人生の至る所で
敗北を喫しながらも、
絶対にへこたれない不屈の男。
錨を上げよーー疾風怒涛の2400枚。
圧倒的青春小説。
戦争が終わってちょうど十年目、
いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。
高度経済成長、六十年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、
よど号ハイジャック事件、日本列島改造論、石油ショックーー激動の昭和の時代、
生まれながらの野生児、作田又三は、人生という荒波を渡っていく。
いざ、海図なき嵐の海へ。さあ、錨を上げよ!
大ベストセラー『永遠の0』をはるかに凌ぐ感動!
だれも二度と出会えない大傑作!
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書籍名:錨を上げよ 下
著 者:百田尚樹(ひゃくた・なおき)
発 行:2010年11月30日初刊発行
発行所:株式会社講談社
頁 数:縦1段組み616ページ
価 格:本体1,900円(税別)

なぜ自ら嵐に飛び込むのか。
それとも、
この男が嵐を呼び寄せるのか。
大阪を飛び出した又三は、
東京へ、そして日本最東端の地へ----
予想もつかない大展開!
又三の航海に終わりはあるのか!

すべてが、
この時、
つながった。

錨を上げよーーー後世必ずや
日本文学史上に残る、怪物的傑作

作田又三、二十四歳、すべてをなげうち、大阪を飛び出した。
何の目的もあてもない。
「どこかへ行きたかっただけだ。行く先などどこでもよかったのだ」
昭和五十年代の東京を漂流した又三は、ついに北海道根室に立つ。
緊迫する北方領土の海に跋扈する特攻船!又三の航海に暴風が吹き荒れる!
はたして錨を下す「終着の港」にたどりつけるのか?
16世紀の悪漢小説を現代の日本を舞台に甦らせた、
途方もないエネルギーに満ちた物語。感動の最終章!

この作品を読んでいると昔を思い出した。この作品の主人公作田が昭和30年生まれとなっており、まさに私の世代その物だからだ。戦後10年経過した大阪。そして昭和39年の東京オリンピック。まさに高度経済成長して行った時代だ。当時私は小学生だった。小学校の全生徒が先生の引率で1時間近く歩いて、聖火ランナーへ日の丸の旗振りに行った。ウーンすごい時代だった。そして昭和45年大阪万博の開催。中学生だった。修学旅行をこの万博にする話が起きた時は喜んだが、旅行費を、払えない生徒が出て、ボツとなった。大変残念だったが、これも仕方がなかった。

大半が高卒で就職、大学進学はわずかな時代だった。そして大学に進学しても学生紛争。卒業してもオイルショックの時代。

これらの時代をまさに破天荒な生き方で、突き進む作田の人生。さまざまな仕事を次々に変えながら、愛を求める。彼の人生とは?仕事をする目的が生きる事と言うより、女性の愛を得る事が目的だった気がする。

小学生の時に学級副委員長の池田明子とフォークダンスの時に初めの恋。中学では、学級委員長の柔道をやっている正義派高橋裕太郎との長髪運動と確執。高校でも応援団との衝突。バイクに夢中になり暴走族との喧嘩。バイクで旅行にでるが、そこでも破天荒。命からがらの逃避行。学生運動へ巻き込まれる。悪友と盗みを働き停学をくらう。そして留年。それでも剣道部へ入部。ボクサーのごとく青春を少し。服装自由化への対応で後輩の生徒会長と良い中になるが・・・。そしてスーパーマーケットへ就職。しかし即首。大学受験を目指す。医学生と身分を偽り家庭教師をしながら。「関関同立」をすべて受け、奇跡的に同志社に受かる。そして同志社に通いながら・・・。結局中退し、次々と仕事を今度は変えていく。

これらの時々に応じて、興味の対象となる女性が出現する。しかしいずれもうまくいくことはない。

そして途中の方を飛ばして残りのあらすじを超概略する。破天荒男の作田は根室のウニの密漁で大金を稼ぎながら、最後はやくざとの抗争からがら、大阪に逃げ帰り、ビリヤード場で働いていた宇野保子と恋におちいり、結婚する。彼女の幸せの為に職を得た放送作家でひたすらお金を稼ごうとする。しかしできた赤ちゃんが、死産となる。作田は死産の元になったビリヤードの仕事を辞めさせ、更に忘れる為に、仕事に励む。する事のなくなった保子はジャズダンススクールに通い、インストラクターと不倫をしてしまう。保子を愛するが故にそれを許す事ができず、離婚。そしてまた危ない仕事へとかかわり、また大阪に帰ってくる。そして忘れられない保子とよりを戻そうとするが、既に保子は再婚しており、子供ができていた。もう二度と会わないと別れた作田。駅への道を見ると夕焼けが見え、弟達を思い出し思わず涙する・・・。「人生の長い航海はこれから始まるのだ」

と超短絡的にまとめてしまったが、この作品を読んでしまうとあまりにも、私が歩いてきた時代背景と合致するため、おもわず、昔の世界に戻ってしまいそうだ。

が、それにしてもこの作品を読み上げて思うのは、この作品はこれで終わり???これは始まりではないのかと思ったが、そう思ったのは私だけだろうか。作田の次の人生はどうなるのだろうか?思わず続編が出る事を期待したい。


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