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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

椿の庭

2022-07-16 23:11:44 | 邦画
この映画も積極的に日本映画を見ていこうという企画で視聴した作品
先に言っておくと富司純子さんで見たっていうのが正直なところですが
もう傘寿を迎えられる女優さんの主演映画、個人的には椿よりわたしには緋牡丹の藤純子さんの方がいいのですが
 
いや、なんなんだろうこの映画128分の尺が実に冗漫に流れる作品
実に内容的にも映像的にも静かな映画でした。こういう何も起きない作品は私の好みではありません
監督がスチルカメラマンの上田義彦氏であるためにいわゆる映画ではあるんですが
ワンシーンワンシーン、ワンカットワンカットが実にstill映像の延長にあるような作品の時系列での羅列で繋げられて一本の映画が作られたっていうような作品
ある意味芸術であり、ある意味退窟極まりないというか
絶対に日本映画云々の企画であっても富司純子さんでなかったら見なかった
見たとしても多分途中でプレイヤーのストップボタン押していた作品
よくまぁオチずに見られたと自分で自分を褒めてあげたい
 
風で揺れる木々やロウソクのが炎、虫とか金魚そして季節を彩る花々の数々
さらに映画全体のテーマは無常感であるために
花は咲いて枯れてゆき、一匹の虫が弱って死ぬまでを長尺で映していたり
オープニング池のつがいの金魚片割れが死ぬまでのシーンも印象的というか比喩的で、これは主人公の老婦人の旦那さんの死を表現して
次のシーンはなんとその四十九日の法要のシーンに繋げて、さらにカマキリが紫陽花の花びらに乗っかっているシーンを入れこんでくる
 
さらに時間経過は季節の花とか果物とか天候とかで表現して来て
あくまで人間の営みはそんな移ろいの中で密やかに
そしていつのまにか主役はこの残された旧家に移行していて
そこに生きた人の魂がものに移って行ってるわけで
時間経過が緩やかにすすむ中で家を手放す決心をした老婦人もいのちをも落とし
家は他人に渡り
そして旧家は新しい持ち主に渡り解体される
 
まさに無常感、極力台詞を廃し登場人物の心情を天候とか風物では表現するのがなんとも見てるこっちに押し付けて来るような気がするのがなんともでした
作者の意図を読み取れるっていうのが私には鬱陶しかった
こんな疲れる映画も稀ですよね
っていうか富司純子さんですからきちんと老婆の人間としてのここまで生きてきた姿を所作だけで表されていたのはさすがです
さらに役者さんの使い方も豪華でして不破万作さんはたったあれだけのシーンで
この旧家壊して庭も壊すだろうなって思える人物像を見事に演じてるんですねェ
 
コロナ禍で公開がどうたらこうたらあったようなことを見終わって知りましたが
よくマァこのような作品をDVD化してくれたなぁ
 
2020年製作、日本映画、yoshihiko ueda films作品
上田義彦脚本・撮影・監督作品
出演:富司純子、シム・ウンギョン、田辺誠一、清水綋治、内田淳子、北浦愛、三浦透子、宇野祥平、松澤匠、不破万作、チャン・チェン、鈴木京香
 

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