MOMENT

レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

張込み

2022-09-24 22:57:00 | 邦画
衛星劇場での松本清張原作の松竹映画映画化作品の特集OA企画で拾った「張込み」。
1958年製作の作品ですが、なんと112分の長編映画だった
東京で拳銃によるタタキと殺しをした犯人の故郷で、昔の女を張り込む刑事って言うプロットですから
ほぼ見張ってるだけの作品で2時間弱はきついかな
って思っていたら、いやもの凄い緊張感が画面から伝わってくるって事で
目がモニターから離れなくて
 
すごい映画でしたねぇ、何せ松竹の清張映画では定評のある野村芳太郎監督に
なんと脚色が橋本忍さんだったのね
犯罪ドラマっていうか体裁は刑事ドラマなんですが
なんとこの映画のテーマは“女の幸せ”って何だって言う映画だったんですね
犯人の元女を演じてる1日100円(今で言ったら1000円くらいかな)もらって家計をやりくりしつつ先妻の子供たち3人を育てている高峰秀子さん
 
そして張り込んでいる若い刑事と実家の家計を助けているために家を出られずに
結婚を躊躇してる高千穂ひづるの二人の女性を通して”女の幸せ“って
ってやっぱそこが清張小説だったんですかねぇ
 
しかし1958年って、昭和36年ですから、新幹線なんて走ってない
急行列車ってなんと東京から鹿児島までいくんですね
もちろん電化区間でないとこ走るから全線蒸気機関車。そしてほぼ各停みたいに停まる
さらにクーラーないから乗客はみんなタンクトップになってるって当時だとランニングでしたねぇ
いや佐賀までこれでいくのはキツいだろう
ニ昼夜くらいかかるんじゃないんでしょうか
路線バスには女性車掌さんが乗車して乗車賃徴収していた時代だったんですね
映画撮影に合わせて佐賀での祭りも組み入れてきてましたねぇ
これはお約束ですよね
今はフィルムコミッションが各地方にあるけど、当時は佐賀市、佐賀県全面協力って言う言う形だったんですね
 
まぁ対象者の家の真ン前に丁度都合よく木賃宿があったもんですね
ここの主人との宿泊料の交渉では一泊三食付きで650円だそうで・・・
やっぱ一日中目の前の家を見張ってるから旅館川から不審に思って警察に・・・
これもお約束でしたねぇ
事前に地元警察への挨拶は警察官の常識がここで生きてきてるのね
 
いや実に面白いっていうか見応えのある作品だった
 
1958年製作、日本映画、松竹作品
松本清張原作、橋本忍脚本、野村芳太郎監督作品
出演:大木実、高峰秀子、高千穂ひづる、田村高広、宮口精二、川口のぶ、藤原釜足、山本和子、多々良純、清水将夫、浦辺粂子、内田良平
 
 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バニシング:未解決事件 | トップ | 日本統一53 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「張込み」は名作ですね (mirage)
2023-02-12 20:51:51
邦画のリストの中に、懐かしい昔の名画があり、私の大好きな作品でもあるので、簡単にコメントしたいと思います。

確かに、この映画はレビューで言われているように、「犯罪ドラマっていうか体裁は刑事ドラマなんですが、なんとこの映画のテーマは“女の幸せ”って何だって言う映画だったんですね」とのご指摘は、私も全く同感で、この映画の実質的な主人公は、高峰秀子だと思いますね。

刑事映画には、夏の暑さがよく似合いますね。
黒澤明監督の「野良犬」の冒頭で、三船敏郎扮する刑事が、バスの中で拳銃を掏られるのは、太陽がギラギラと照り付ける日でしたね。
この野村芳太郎監督の「張込み」でも、暑さが重要なポイントになっているように思います。

警視庁の大木実扮する、柚木刑事と、宮口精二扮する、下岡刑事が、鹿児島行きの夜行列車に横浜駅で飛び乗ります。
三等車は満員で、新聞紙を敷いて、通路に座るしかない。
人いきれと、うだるような暑さが、画面からリアルに伝わってきましたね。

到着した佐賀市でも、この二人の刑事は、汗まみれになりながら、高峰秀子扮する、強盗殺人犯の昔の恋人の張込みを続けるんですね。

高峰秀子が差す日傘。旅館の女将がごちそうするスイカ。これらの小道具が、実に印象的でしたね。
この映画は、ロケ撮影が多い作品で、後半の追跡劇や温泉宿のシーンでも、真夏の光が画面を支配していましたね。

この「張込み」は、松本清張原作、橋本忍脚本、野村芳太郎監督のトリオによる第1作目の作品で、代表作はもちろん「砂の器」ですが、その作品に匹敵する程の出来栄えの作品だと思いますね。

出演者の顔ぶれは地味だし、謎解きや派手な見せ場もありません。
だが、恋人と別れた後、金に細かい年上の銀行員と結婚し、生気を失ったかのような日常を送っていた主婦が、一瞬、命を燃やすように輝くんですね。

高峰秀子が、ほとんどセリフのない演技で、この女性の変貌を見事に見せてくれましたね。

そして、映画が終わった後も、画面の向こう側で、刑事や女たちの暮らしが続いているような、そんな現実感がありましたね。
mirageさん、こんにちは (morkohsonimap)
2023-02-13 10:34:01
コメントありがとうございました。

そう昭和30年代、まだまだ日本のインフラが整備されてなくて、飛行機です行ければたった二時間の佐賀へは丸二日列車に揺られていくわけで
その苦労がなんたるやはり利便さに慣れてしまっている我々にははかり知れないものがありますが
こういった作品が残ってることで、肉体的には知ることがなくても精神というか脳というか知識としては知ることが可能という史料にもなりますし

そうここいらが野村監督らしいと言えるんでしょうねぇ
本当に劇中人物たちと同じ暑さを見てるこっちが感じ取れるって言うことが映画野持ってる力なのでしょうね
今は地球温暖化だこの後時代よりも暑さ自体が完全に厳しいはずですが
見てるこっちに伝わる暑さはもっと暑く伝わってくるものでした
まさに映画マジックなんでしょうが
そういった感覚で受け取れてしまうことが監督の力量と言えるんでしょうねぇ

嬉しいコメント本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

コメントを投稿

邦画」カテゴリの最新記事