ギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手掛け、サリー・ホーキンズが主演するファンタジー映画。ベネチア国際映画祭・金獅子賞、アカデミー賞・作品賞を含む4部門他、数々の映画賞に輝いた作品です。
シェイプ・オブ・ウォーター (The Shape of Water)
1962年、冷戦下のアメリカ、ボルティモア。政府の極秘研究所で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)は、ある日研究所にアマゾンで捕獲されたという謎の生物が運び込まれるところを目にします。好奇心から”彼”のいる水槽に通ううちに、2人は少しずつ心を通わせるようになり...。
ベネチア国際映画祭で話題になっていた頃から、楽しみにしていた作品。公開後はかなり賛否が分かれていた印象だったので、はたして私は気に入るかしら?と少々心配になりながらの鑑賞でしたが、個人的にはとても気に入りました。いい意味で予想を裏切られたというと失礼ですが、思った以上にロマンティックで愛らしい、魅力的な作品でした。
まずはなんといっても、60年代風のレトロで温かみのある映像や美術、音楽に惹かれました。この映画自体が、古き良き時代のハリウッド映画のような雰囲気をもっていて、ロマンス、サスペンス、ホラー、SF、ファンタジー、ミュージカル等々、いろいろな映画の要素を備えているのが楽しい。
イライザが住んでいるアパートの1階に映画館があったり、古い映画のシーンがいくつも登場したりと、監督のあふれる映画愛が伝わってくる作品でもありました。その一方で、どきっとするような残酷描写や、生々しい性描写が突如登場し、美しい幻想が打ち砕かれることもありました。
それらはすべての生けるものがもっている本能・衝動を表しているようにも感じましたし、見ている人を現実に引き戻す、目覚ましの役割を果たしていたのかな?とも思いました。思えばグリム童話ももとは残酷な物語だったわけで、大人のおとぎ話にもちょっとしたスパイスが必要という、監督のいたずら心?だったのかもしれません。
ヒロインを演じるサリー・ホーキンスは、決して派手ではないけれど存在感のある女優さん。そして本作の彼女は、ほんとうにきれいだった。まさに恋する少女になっていました。^^ 最初はこの映画のテーマカラーでもあるグリーンの装いが多かったですが、恋が成就してからはだんだん赤を身につけるようになっていったのが興味深い。
謎の生物は、最初に見た時はぞくっとしたけれど、見慣れるとだんだんかわいいなーと思えてきました。監督が何をイメージしてキャラクター造形したのかは存じ上げないのですが、私はガラパゴス諸島で見たマリンイグアナを思い出しました。特にエスパニョール島にしかいない別名クリスマスイグアナにそっくり。
そういえばガラパゴスでも、最初は真っ黒で不気味に思えたマリンイグアナが、いつしかなんて愛おしい生き物だろうと感動したことを思い出します。ちなみにクリスマスイグアナは、繁殖期になると体表が赤と緑になるので、そんなところも似ているような...。イグアナ好きとしては大いにくすぐられました。^^
イライザはいつから”彼”を好きになったのか。最初はおそらく好奇心だったのが、やがて同情に変わり... 彼を家に連れてきてから、なくてはならない存在になったのかな? 部屋をまるごと水槽にしてしまうところは、まさにファンタジーの世界。ダンスを踊る場面は、ラ・ラ・ランドの天文台のシーンを思い出しました。
ラストは少々カサブランカ風? スリリングな展開に息をのみました。イライザの優しい隣人にリチャード・ジェンキンス、職場の同僚にオクタヴィア・スペンサー、サディスティックな上司にマイケル・シャノンなど、脇をかためる俳優たちもとてもよかったです。
60、70年代当時のレトロなアメリカ映画は本当に今観ても魅力的で心躍りますよね。
今その様な要素を持った映画を作るとなると逆に難しそうで…古き良き時代の映画を思わせる作りになっている作品、とても気になります…
ギレルモ・デル・トロ監督作品はホビットシリーズは観たことがあるのですが、ファンタジー映像がとても美しい監督さんですよね
パンズ・ラビリンスも観てみたいです。気になる作品だらけで嬉しい悲鳴です
早速のコメント有難うございました。
この映画の半魚人の姿を見て、さすがの私も(笑)どうなる事やらと、期待半分、不安半分でした。
でも見事な作品でしたね。
現代のおとぎ話としての設定と映像が見事で、作品の世界に酔えました。
セレンさんが記事のも書かれている通り、様々な要素がてんこ盛りになってたのも凄いですよね。ラストシーンも素敵でした。
半魚人、確かにイグアナっぽかった!
私は仮面ライダーアマゾンとかも思い出しました。(笑)
http://22596950.at.webry.info/201803/article_5.html
ギレルモ監督にとっては、全てが可愛らしいおとぎ話そのものなんじゃないかな~
彼は最後にイケメン王子に戻ってしまう「美女と野獣」はお気に召さないらしいですし、パンズラビリンスがそうだったように、醜いもの、残酷な事、生々しい描写、辛い結末をすべて含めて愛らしく愛おしいものと感じているみたいですよね。
サリー・ホーキンスが本当にキュートでした♪
マリンカさんもレトロな雰囲気お好きですよね。
トーンを落とした映像や、ロマンティックな音楽など
全体的にアーティスティックな雰囲気ですが
ストーリーもファンタジーのようでいて、どきっとする表現もあり
大人のおとぎ話とよぶのにふさわしい作品でした。
マリンカさんはホビットシリーズをご覧になっているのですねー。
私はファンタジーはどちらかというと苦手でしたが
パンズ・ラビリンスはこの機会に見てみようと思います☆
私も見る前は、う~ん、これはどうだろうとちょっぴり不安でしたが^^;
とてもすてきなラブストーリーでしたね。
映像や音楽、ちょっとした小道具まで私好みで
この世界観にノックアウトされました。
背中から見た時の背びれや、水かきの部分とか
マリンイグアナにそっくりでびっくりしましたが
たしかに前から見ると、足が長くて、腹筋が割れてて
仮面ライダーっぽかったですね!
2人のラブシーンも不思議と違和感がなかったです。^^
私もたしかに「美女と野獣」系のお話の結末には
なんとなく腑に落ちないものを感じていたのですよねー。
そういう意味でも画期的な作品でした。
ラストはある意味思いがけなく、幸せな余韻に酔いしれました。
素敵な大人のファンタジーでした。でも、そこはギレルモ・デル・トロ監督だから、一筋縄ではいなかいよ、と。かの監督にしてはちょっとマイルドだったとは思いますが、やはりズバっと切り込んでくる所は切り込んできますよね。
(マイケル・シャノンの指とか、猫を食べちゃうとか…少しグロかった…)
あと、実は私爬虫類や両生類が結構好きで…
美的に素敵だと思うのですよ!!とかげとかイグアナとか。
でも、家の中で爬虫類が好きなの私だけなのです。ちなみに、女子も私だけ(笑)。
すてきな作品でしたねー。
エログロを控えれば、子どもも楽しめる作品になっていたかもしれませんが
あえてそうしなかったところに監督の思いがくみ取れました。
大人限定のファンタジーでしたね。
ここなつさんもイグアナお好きですか♪
私は野生動物全般好きですが、イグアナやワニは
あんよの形がかわいいな~と思います。
我が家は全員ペンギン好きです。^^
爬虫類系苦手なんですが...カレは両生類でしょうか?
でも見ていてだんだんとチャーミングに見えてきて、ラストは素敵に見えたほどですカレ...。
タイトルがタイトルですから水のシーン圧巻でした!ダンスのシーンも素敵でしたね。
まさか両生類とのロマンスにこんなにうっとり引き込まれるとは...
自分でも驚きました。^^
あの”彼”、最初に見た時には気味が悪くてぞくっとしましたが
不思議とだんだんお茶目に見えてきました。
イライザとのダンスシーンもすてきでしたね♪
冒頭の夢の中に始まり、ラストまで
水の表現がすばらしかったです。