三井記念美術館で開催されていた「特別展 小村雪岱スタイル 江戸の粋から東京モダンへ」を見に行きました。(4/18で終了、4/27~6/13 富山県水墨美術館、7/8~8/29 山口県立美術館に巡回)
小村雪岱(1887-1940) という日本画家は存じ上げませんでしたが、ポスターを見た時に福田平八郎のデザイン性に近いものを感じ、ひと目で引き付けられました。
その後、大正から昭和にかけて、画家の枠を超えて商業美術の世界で活躍し、装丁や挿絵、舞台美術、また発足間もない資生堂意匠部で、商品や広告デザインに携わったと知り、私のアンテナがぴぴっと反応したことに、大いに納得しました。
***
本展では、装幀、挿絵、舞台装置画、肉筆画、版画など、雪岱の画業が総合的に紹介されているとともに、雪岱にインスピレーションを与えた鈴木春信の作品や、同時代の工芸品も展示されていました。
壮麗な三井本館7階にある、三井記念美術館の重厚でクラシックな内装や調度もすばらしく、心豊かなひと時をすごしました。なお、展覧会はコロナ対策として日時指定予約制となっていました。
『小村雪岱画集』表紙絵「柳に梅花図帯」より 木版多色刷 1942
濃紫の地に、幾本も垂れ下がった細い枝が、風にそよいでいるようです。柳の枝の繊細さが梅の愛らしさを際立たせています。
おせん 雨 木版 1941
邦枝完二の新聞小説「おせん」の挿絵から。小説の内容は割愛しますが、人込みの中を逃げる黒頭巾のおせんの姿が右下の傘の間に描かれています。なんともモダンで洒落ていますよね。
おせん 縁側 木版 1941
同じく「おせん」からの一場面。この女性の描き方は、鈴木春信の「夜更け」から影響を受けているとされています。胸元が見えていても清潔感があって、楚々とした魅力が感じられます。
青柳 木版多色刷 1941
畳の上に置かれた鼓と三味線は、おけいこの前か後でしょうか。手前に柳の枝があることで、スポットライトのような効果を生み出しています。雪岱は柳の使い手ですね。
雪の朝 木版多色刷 1941
全体の左下約半分が白い雪、という大胆な構図がかっこいい。雪で煙った柔らかい色調がきれいです。
泉鏡花『日本橋』装幀 冊子 1914
雪岱は泉鏡花の熱心なファンだったそうですが、ひょんなご縁で知り合い、以来、鏑木清方と並び、鏡花作品の装幀や挿絵を手掛けるようになりました。連続性にリズムが感じられ、モダンで軽快なデザインです。
泉鏡花『愛染集』装幀 冊子 1916
三井記念美術館の入口に展示されている、鹿の彫刻に思わずパチリ。
今は美術展も予約制で手間だな~と思う反面、ゆったりと作品を見られるのは実はとても良いことですよね♬
日本画とセレンさんがイメージ繋がらなかったですが、こうして拝見するとシャープなデザイン的構図は確かに建築デザイン好きのセレンが心惹かれるのも判る気がしました☆
青柳の装丁は見たことあります~この一幕に物語が詰め込まれている気がしますよね。
美術館の予約制、ゆったり見られてよいシステムだなーと思います。
私は日本画も意外と好きですが
今回は特にデザイン性が高いところが気に入りました。
グラフィックデザインの先駆けですね。
青柳、すてきですよね。
手前の柳の枝によって、鼓と三味線がフォーカルポイントとなっていて
劇画のような効果を生み出しているなーと思いました。