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自由研究には向かない殺人(Netflixドラマ・全6話)

2024年09月16日 | 映画

Netflix配信のドラマシリーズ全6話。イギリスの田舎町を舞台に、優等生の女子高校生が、5年前に起こった殺人事件の真犯人を求めて奮闘するミステリーです。

自由研究には向かない殺人 (A Good Girl’s Guide to Murder) 2024

唐突ですが、少女探偵「ナンシー・ドルー」をご存知でしょうか。私は小学生の時に学校の図書室で偶然このシリーズに出会い、一時期夢中になって読んでいました。

当時衝撃だったのは、高校生のナンシーが車を運転していたことです。友人と車で犯人を追っている途中で、ガソリンがなくなったところ、ちょうど下り坂に差し掛かり、そのまま余力で追い続けるという描写がありました。

子どもなのに車を運転している!と当時はびっくりしたのですが、大人になってから、アメリカでは高校生が免許を取って車を運転するのは、ごく当たり前のことだと知ったのでした。

話はそれましたが、そんなことを懐かしく思い出し、イギリス発のこの少女探偵のドラマを見てみたくなりました。原作は、英国人作家ホリー・ジャクソンのベストセラー。日本でも「ミステリーが読みたい!」他いくつもの賞を受賞しています。

舞台はイギリスの美しい平和な田舎町。主人公のピップはケンブリッジ大学への進学を目指す優等生です。5年前に女子高生アンディが行方不明となり、アンディの恋人サルが殺人を自白して自殺、そのまま殺人犯として処理されてしまいました。

優しかったサルが殺人犯とはどうしても信じられないピップは、事件の真相を明らかにしようと立ち上がります。

「ナンシー・ドルー」ののどかな事件とは対照的に、現代を舞台にした本作は、ドラッグ、性、暴力、さまざまな闇が背後にあり、真相に近づくことは命の危険をともなうものでした。

同じ高校に通いながら、しかも全員が顔見知りといってよい小さな町で、ピップのようなまじめな生徒たちと、正反対の不良たちが、表面上は何の問題も衝突もなく共存していることの恐ろしさを覚えました。

そして多くのミステリーと同じように、もっともあり得ない人物が犯人だったのも衝撃でした。でも現実社会においても、もっとも恐ろしい悪魔は善人の仮面を被っているものなのかもしれませんね。

私はピップを取り巻く健全な世界を愛するので、真相を暴くために彼女が危険に足を踏み入れようとすることが心配で、はらはらしながら見守っていました。

ピップが自分の部屋の黒板に、事件の手がかりを次々とピンナップしているところが楽しかった。(まるで警察の捜査本部みたいに!)壁紙がウィリアム・モリスの Willow Bough というのもイギリスらしい。

ピップを演じるエマ・マイヤーズの清潔感が好ましかったです。「17歳の肖像」(An Education) の頃のキャリー・マリガンを思い出しました。これから注目したい俳優さんです。

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