夜長姫と耳男

忌野清志郎を愛し、路上生活者支援NPO・TENOHASIの事務局長Sの日記

つながりのレシピ

2019年04月11日 | Weblog
青年劇場「つながりのレシピ」紀伊國屋サザンシアター。
 定年退職した男。自宅で小さなパン屋を営んでいた妻をガンで亡くし、酒浸りの生活をおくっていた。嫁いだ娘がそれを見かねて「お父さん、パンを焼いて。お母さんの遺言だから」と言い出した。しかもそのパンは「ホームレス」支援団体に渡して配ってもらう、という。「なんでそんなことやらなきゃいけないんだ!」と叫んだ男は・・・

 TENOHASIの夜回りで配るパンを焼いている「池袋あさやけベーカリー」の物語をベースに舞台化。真面目で笑いどころのない芝居だったらどうしようと心配していたが、大いに笑って泣ける楽しいステージだった。

 1番笑ったのは、「元ホームレスと一緒にパンを焼くなんて」と憤然とする男が、支援団体の代表に「アパートに引き籠もっていると酒浸りになっちゃうんです」と言われて、思わず缶ビールを持つ手が止まったシーン。それまで全く別世界だと思っていた「元ホームレス」と自分との共通点を発見した瞬間。男はそれから「元ホームレス」「精神障害者」1人1人にぐいぐいと質問して、「順調に問題だらけ」の世界にはまっていく。
 次に笑ったのは、いろいろな事件の末「もうパンは焼かない」と宣言して再び引き籠もった男のところに、知的障害のある愛すべきじいさんが突然やってきてノックするシーン。渋々中に入れたらじいさんにっこり笑って「入ってもいいですか?」「もう入ってるじゃないか!」。なんだか妙におかしかった。じいさんをやったのは入団50年の大ベテランでパンフレットではとってもカッコいい人なのだが、ホントに可愛いじいさんになっていた。
 パン作りのシーンがあまりにリアルで、「パン生地にみえるあれは何を使ってるんだろう」とか、「唯一の欠点はオヤジギャグを連発するしょうもないオヤジが登場しないところだ」とかいろいろ考えたりした。
 
 自分達にとってはいつもやっていることが舞台上で展開しているので、それだけでも笑えてしまう。だから逆に「一般の観客にはどう映るのだろう」「この物語に普遍性を感じられるんだろうか・・・」と気になった。誰かにじっくり聞いてみたい。
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