夜長姫と耳男

忌野清志郎を愛し、路上生活者支援NPO・TENOHASIの事務局長Sの日記

ひとつだけ 忌野清志郎ロックンロールショー 5月2日

2011年05月02日 | Weblog
この日は、清志郎が「銀河ツアー」に出発して2年目の記念日。この日、清志郎に会いたい連中が武道館の「忌野清志郎ロックンロールショー」に集まった。
ちなみに、「命日」という言葉は誰も使わない。「清志郎は生きてる、当たり前じゃないか」という公然たる了解がある。唯一の例外はスカパラが「今日はスカパラの初代ドラマーの命日でもあります」と紹介したときだけだった。

何人歌ったんだろう。清志郎の原曲のとおりに歌う人もいるし、思い切り自分のフィルターを通して歌う人もいた。
銀河の清志郎に届かせようとして歌っている人がいた。
清志郎が、この人の声を借りて歌っているように見えるときもあった。
共通しているのは、どの人になかにも、清志郎がしっかりと居ること。
もちろん、観客の自分たちのなかにも。
武道館は、清志郎のメッセージをあらためてかみしめて、清志郎の意志を継ごうとする人たちの祈りの場になった。

さて、チケットを確認してぶっ飛んだのは開演時間。16時ですよ、16時。どこでもだいたい21時半くらいまでは演れるはずだから、これは5時間半やるつもりなのか??仕事終わってからでは間に合わないじゃない! と言うことで、同僚には「すいません、ちょっと用事があって・・・」と、決して理由は言わずに、早退させていただいた。

ギリギリについた。グッズ売り場は長蛇の列。終演後に買えばいいやと思ったが、終演後に並んだらグッズは完売。パンフしか買えなかった。震災被災地への募金ブースがあったので1000円入れたら、缶バッジをくれた。らっきー。

さて、ネットに上がったセットリストを拝借して、思い出してみよう。

MIDNIGHT BLUEのイントロが流れるなか、完全復活祭みたいに、ディスプレイに清志郎の映像。自転車だったり、「今日もおれんちだと思って最後まで楽しんでくれ頼むぜ~」だったり。そして「OK、CHABO!」に合わせて

1、雨上がりの夜空に (ほぼ全員で。バンマス&のDr KYONが司会) 
 オープニングにもってくるというのは清志郎もいつかやってた気がする。
 宮沢さんやトータスさんなどが交互にボーカル。
 ラストの瞬間、大量の金テープがアリーナ上空に発射された。ちゃんと「忌野清志郎ロックンロールショー」と書いてある。いい記念になった。

2,激しい雨 (CHABO) 
 あらためて歌詞を聴いて驚いた。
”海は街を飲み込んでますます荒れ狂ってる
 築き上げた文明が音を立てて崩れてる
 お前を忘れられず 世界はこの有様
 OH 何度でも夢を見せてやる この世界が 平和だった頃の夢”
震災後の世界を歌っているとしか思えない。これは予言だったか?
 この後、何人もの人がライブやビデオメッセージのなかで「清志郎だったら今何をするだろうかと思う」と言っていた。
 その答は、もう、1人1人のなかにしか、ない。

3,Sweet soul music (Leyona)
 超ミニのドレスでレヨナ様が大サービス。武道館はキャバレーのナイトショーに。
 ただし、この人、けっこうハスキーだからもっと黒っぽい曲の方が似合うように思うな。

4,ダンスミュージック☆あいつ (Leyona)
 こっちの方がいい。「お願い神様かなえて欲しい」と歌いながら腰をくねらすところはおじさんを直撃。

5,ラッキーボーイ (金子マリ)
 マリちゃん登場。さすがですねえ、お姉様。たっぷり太ってまるっきりグレートマザー。

6.MIDNIGHT BLUE (金子ファミリー)
 と思ってたら、「予定になかったんだけど」とCHABOが紹介して子どもたち(RIZEのドラム金子ノブアキとベースのkenken)登場。「清志郎も俺も、2人のことはよちよち歩きの頃から知ってるんだ」。ママはド迫力のお顔(失礼!)なのだが、子どもたちはイケメン。若さあふれる演奏で、この曲の疾走感がよく出ていた。

7.JUMP (斉藤和義)
 恒例の巨大風船が客席にばらまかれて、和義ちゃんのジャンプ。なぜか他の人のブログなどでは酷評される斉藤さんだが、口べたなこの人の、ちょっと脱力した雄弁な歌はとても好き。
そして一言「清志郎さん、この国では、まだ替え歌は叱られます」「ざまー見ろ!!」
 知らなかったけど、この人、原発事故を痛烈に皮肉った替え歌を出してたんだね。ここに清志郎の意志を継ごうとする確信犯がいた。

8.ドカドカうるさいR&Rバンド (斉藤和義)
 斉藤さんは原曲を忠実になぞって歌うほう。パンチが効いている。

9.全てはAll Right (トータス松本)
「こんなときだから歌いたい曲が清志郎さんの曲にはたくさんあると思う。今だったら、これ」と語って歌った一曲。
 私も、TENOHASIでいろいろなことが起きてブルーだったんだが、これでぶっ飛んでしまった。「清志郎さん、見てくれ」とばかりに精一杯歌い上げるトータス。

10.よそ者 (トータス松本)
 「中学生の時初めて買ったアルバムから、ちょっとマニアックな曲を」といっていたような気がする。トータスも清志郎そのままに歌い上げる。 

11.雨上がりの夜空に (泉谷しげる(途中まで))
 ここで、アリーナの真ん中にセンターステージが登場。なんだ、実は今日一番いい席は、A6ブロックの最後列だったんだ。
 で泉谷登場していきなり「雨上がり」。今日は「キーがたけえ」とか文句も言わずにマジメに歌ってるな、と思ったら、歌詞を間違えたか忘れたかして演奏中断。観客のブーイングに対して「うるせえ、俺が間違えたらお前らが歌え。どうせあとでみんなで歌うんだろ」といつもの泉谷節。
ブログで「プロにあるまじきこと」と書いていた人がいたが、泉谷は歌のプロではなくて怒鳴る方のプロなんだから、これは確信犯なんだよ。

12.サマータイムブルース (泉谷しげる)
 「原発は安全なんだろ、だったらお台場に原発を作れ、石原。九段でもいいぞ!!」とまた絶叫して、会場は一気に反原発集会に。

13.ラブミーテンダー (泉谷しげる)
おお、泉谷がマジメに歌ってる、と思ったら歌詞間違えた。

14.金儲けのために生まれたんじゃない (ゆず)
 ゆずはこの曲が好きだなあ。RESPECTでもやっていたような気がする。若々しい2人のヴォーカルがパワフルに重なって、楽しい。この人たちも歳を取らないなあ。

15.イマジン (ゆず)
 悠仁が「清志郎とよくお好み焼きを食べながら、『北川君、人と違うことはいいことなんだよ』といってました。今だったら清志郎はどんな歌を歌うんだろう」と話して、イマジン。3年前の『ジョンレノンスーパーライブ』での、清志郎の神がかった名演を彷彿させるパフォーマンス。「清志郎さん、僕たち、歌っていきます」という決意表明だった。ついでに、人の声というのは最高の楽器だと思った。
 
16.ファンからの贈りもの (真心ブラザーズ)
 自己紹介も無しに、一気に歌。この曲のブラックなところがよく出ていた。

17.2時間35分 (真心ブラザーズ)
 GATTAGATTA、が清志郎ばり。

18.トランジスタラジオ (サンボマスター)
 山口がいつものあおりをかましたあと、イントロのソプラノサックスをコーラスでやるという珍しいバージョン。山口君、ちょっと痩せたなあ。もっとデブでブオトコの方がサンボらしくて僕は好きだが、一緒に行ったKさんは、ロッカーが痩せてないのは許せないそうで、よかったと言っていた。

19.世界中の人に自慢したいよ (サンボマスター)
 山口にふさわしい一曲。とてもよかったのだが、テレビで清志郎との共演を見たものとしてはもっともっと行けるだろうという不満が残る。泣きの山口にはもっと悲しい切ないラブソングの方が合っていたかも。

20.危ない二人 (スカパラ・大森はじめ)
 再び正面ステージに戻って、スカパラ。オリジナルの有名な曲・・・名前がわからないが・・を1曲入れて、そのあとにこれ。さすがの圧倒的におしゃれな演奏。

トランジスタラジオ (スカパラ・茂木欣一)
 ドラムがボーカルを取って、今日2回目のトランジスタラジオ。「中一の時、友達と”エネルギー”を歌いながら帰った」そうで、お馬鹿な中一男子の姿が目に浮かぶ。ものすごく一生懸命やってくれているのが伝わってきた。

21.銀河 (原田郁子)
 激しいスカパラのあとは、静かなバージョン。
 センターステージに。クラムボンの原田さんが登場。
 清志郎との共作のこの曲1曲だけやってくれと依頼されたそうで、数ある共作曲からベイビイズが特別にオファーしたと言うことか。
 「ぼーくらーは銀河の星くずだよ」宮沢賢治の世界を現出してみせるこの曲は、詞が原田さんで曲が清志郎。清志郎って、どうしてこんなに多彩な曲をかけるんだろうかね。アルバムよりも今日のライブの方がよかった。

22.多摩蘭坂~君を呼んだのに~多摩蘭坂メドレー(ハナレグミ)
 次は、思い切り自分のフィルターを通す派のハナレグミ。
きらめくボーカルとギターで、多摩蘭坂の世界を現出させて見せた。これは大好きな人と、あまりにハナレグミで好かない人の二つに分かれるみたいだ。僕は大好き。

23.君が僕を知ってる (浜崎貴司+高野寛)
 「2人組ですが、ゆずではありません」と自虐ネタをかましながら登場。誰も間違えないって! 気持ちのいい演奏。

24.デイドリームビリーバー (浜崎貴司+高野寛)
 これも合ってる。

25.恩赦 (矢野顕子)
26.ひとつだけ (矢野顕子)
 またまた自己フィルター派。大変な人気で「あっこちゃん~」の声が会場中からかかる。「年齢を重ねてきて、それでもあっこちゃん、ってよばれるのは嬉しいです」とにっこり笑ってから、あっこちゃんが大好きだという『恩赦』。しかし、僕としては清志郎との名演「ひとつだけ」をやってくれることを神様にお願いした。そして2曲目。「ひとつだけ」のイントロが・・・
 このデュエットはyoutubeでいくつかのバージョンを見ることができるが、僕は2002年のフジロックのものが一番好き。グリーンステージの空気感、「世界中の花を集めて作るオーデコロン」と歌うとき、清志郎が毛だらけの脇を見せてオーデコロンを付ける仕草を露悪的にして、そこから一気に愛にあふれたハーモニーにもっていく所など、たまりません。気がついたら、まわりで何人もが目頭を押さえている。さらに気がついたら、自分も号泣。
 「一番欲しいものは あなたの心の白い扉 開く鍵」を、清志郎はいつも「黒い扉」と歌っていたのだが、今日はあっこちゃんも「黒い扉」と歌っていた・・・ような気がする。

27.ぼくの自転車に乗りなよ (宮沢和史)
28.上の空 (宮沢和史)
 ここで正面ステージに戻る。
 宮沢さんは2曲ともとてもあっている曲をチョイス。特に『上の空』の高音部は清志郎そっくりだった。
 
29.幸せハッピー (細野晴臣+高野寛)
 細野さん、高野弘志を引き連れて登場。HIS再結成の一曲をいつものぼそぼそとした声で。武道館は一気に盆踊り会場。坂本冬美も来て、「夜空の誓い」を歌って欲しかったな。

 藤井ユー、と声をかけたが、呼び捨ては嫌みたい。別の人の「ユーさん」という声には答えていた。

30.自由 (YUKI)
31.不思議 (YUKI)
 ジュディマリは好きなので大いに期待したのだが、YUKIちゃん、一生懸命歌いすぎて、キンキンしたボーカルになって残念。「中学の時、初めて聞いたこの曲に心を鷲づかみされました。妖しくてセクシーで・・」というので、てっきり『いけないルージュマジック』だと思ったら『不思議』だった。若いんだね。このセンスはさすがYUKI。衣装もがんばって思い切り脚を出して、あちこちから「かわいい!!」と言う声をもらってた。

32.スローバラード (奥田民生)
 たみおさん、歌うまいなあ。これをやって様になるのはUAと民生さんだけ。男性で原曲そのままに歌ってこれだけ聞かせるのはこの人だけだろうな。

33.チャンスは今夜 (奥田民生)
 「僕は、この曲を聴いてミュージシャンになろうとおもいました。でも現実はぜんぜん違いました。(CHABOの方を見て)でもCHABOさんは半分くらいはこういう思いをしたんですよね(CHABO、苦笑い)」と言うMCのあとに「相棒、女の部屋に忍び込んでわるさしようぜ、今夜!」とこの曲をやるとは流石たみおちゃん。ツボを心得ていらっしゃる。

34.ROCK ME BABY! (ザ・クロマニヨンズ)
35.ベイビー逃げるんだ (ザ・クロマニヨンズ)
36.いいことばかりはありゃしない (ザ・クロマニヨンズ)
 ただ1人(一組)だけ、3曲を演奏したのがクロマニヨンズ。圧倒的迫力。こういう曲をやらせたら右に出るものはないな。

 ヒロトが『次はいよいよ忌野清志郎の登場です』というので期待したが、ビデオのメドレーでちょっと拍子抜け。だいたい見たことがあるようなものばかり。この時点で5時間すぎてる。船漕いでいる人がちらほら。

そしてエンディング

37.ブン・ブン・ブン (CHABO)
 清志郎の「も、もう一発行くかい?」にあわせて「ブブンブンブンブン!」とはいるのがかっこいい! 金子マリ姉さんも再び登場。CHABOはこの間清志郎の曲をたくさん歌ったから歌がうまくなったという見方があったけど、確かにそうかも知れない。叩きつけるボーカルが力強い。

38.雨上がりの夜空に (CHABO+奥田民生+斉藤和義+トータス松本)
 出演者全員が出ると思ったんだが、なぜか3人のみ。
 トータスがMCなんだが、なぜかビビリまくりのテンション下がりまくり。「清志郎さんの映像を見たら、怖くなりました」と言っているのがかわいすぎだ。どうにもこうにも盛り上げられないので、たみおが「トータスを聞きたいか!トータスを聞きたいか!」と煽って、ようやくトータスも「OK CHABO」とコールできた。

途中で「忌野清志郎ニュース」「忌野世界旅日記」「グッズ企画会議」などの映像を挟みながら約5時間半のステージ。

終わった後に、チモールで「誰がよかった? いまいちだった?」を話した。

僕は矢野顕子がベスト。賛成する人も何人か。でも「ここは清志郎の曲を歌って欲しかった」という人も居た。
サンボマスターやYUKIについては、僕としては期待はずれだったが、期待していなかった人は「すごくよかった」。好みはほんと人それぞれ。
僕はよけいだと思った各種映像集も、楽しんだ人も居たのかも知れない。
コメント (3)
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