夜長姫と耳男

忌野清志郎を愛し、路上生活者支援NPO・TENOHASIの事務局長Sの日記

ヒッピーに捧ぐ

2008年05月28日 | Weblog
”お別れは 突然やってきて
 すぐに済んで しまった。
 いつもような 何気ない朝は
 知らん顔して僕を起こした・・・”

高校の同級生で、30年来の親友Mが
死んでしまった。
さっき、お通夜から帰ってきた。

この前の土曜日、
最近熱中していたマウンテンバイクで田園地帯を走っていて、
何かの弾みで空中で一回転して、
そのまま逝ってしまった。
なにも自転車で空を飛ばなくてもよかったのに。

僕よりずっと重たい鬱で
何度か危機もあった。
そのかわりひとたび元気になると、
深い地下から一気に天空にジャンプするようなエネルギーで
登山に、バードウォッチングに、クラシックに、植物に・・
ありとあらゆる趣味に没頭した。
仕事も、手を抜くということを知らなかった。

もう28年欠かさずやっている
「K高校現代社会研究会OB」の新年会。
根暗が多い男子高OBの集まりに、
あいつが来ると、座がぱっと明るくなった。
普通なら人に言えないような深刻な話も、
恥ずかしい話も、
なんでもカラリと喋ることのできる奴だった。

どれほどいい奴だったか、いくら書いても伝えきれない。

去年も一緒に妙高山に行ったのに、
今年も一緒に北岳に登ろうと思っていたのに、
あんなに可愛い奥さんと両親を残して、
ひとりで天国のドアをたたいてしまった。

こんどMに会ったら
「いやー、S、またやっちまったよ~」と笑いながら
微に入り細に入り、どれほどバカな事故だったか話してくれるだろう。

僕は、「おめえ何バカやってんだ!
Mがいなくなってみんなどれほど寂しい思いをしたか、
わかってんのかあ!」とケリを入れるだろう。

会えるのは明日かも知れないし、ずっと先かも知れないけど。

*写真は去年の妙高・火打山登山。右のデブな方が僕です。残念ながら。
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Oh! Baby

2008年05月12日 | Weblog
連休はテントや炊事道具一式を担いで1人で山に行った。

奥秩父の甲武信岳。約2500m。10年ぶりくらいだね。
この時期としては見たことないくらいの残雪。
雪に足を取られて滑落しそうになったり
崖崩れで登山道が消えていたり、
久しぶりに死ぬかと思いましたよ。

でも、なんだか顔を上げると、クロが前をトコトコ歩いて
先導してくれているような気がした。
ときたま振り返って、抱いてくれ、と甘える。
抱き上げて、柔らかな毛並みに頬ずり。
疲れを忘れさせてくれる、幸福な幻想。
下山途中で見たヤマツツジが
クロがミャーと泣くときの口の開け方にそっくりだった。

昨日は、雨がベランダをたたく音が、
クロの足音にそっくりで目が覚めてしまった。

死んでもうすぐ3週間。
今も鮮明に
クロの可愛くない鳴き声や
ゴジラみたいにこわい顔や
いいようもなく可愛い姿が甦ってくる。

タイトルはRCのアルバム"OK”の2曲目。

”僕を泣かせたいなら
 夜更けに悲しい嘘をつけばいい
 僕をダメにしたいなら
 ある朝君がいなくなればいい
 それだけでいい・・・”
これもいいようもなくやさしい歌。
おととい、チモールでマスターがかけてくれた。
コメント (2)
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明日なき世界

2008年05月11日 | Weblog
さて、2週間もたってから書くのも間抜けだと思うけれど、せっかく行った”ARABAKIロックフェス08”の感想などを。ちなみに行ったのは4月27日です。(面倒なので日記をほぼそのまま転載します)

5時18分に大泉学園を出て大宮から新幹線。約2時間で仙台。駅前からシャトルバスで9時にはARABAKIに着いた。
まずグッズ売り場でARABAKIシャツ(白)、Here comes kiyosiroシャツ各3000円を買う。

以下、見たバンド。

まずunder the yaku cedar 地元バンド。3人のインストだが、実にかっこよかった。ベースもギターもドラムも気に入った。

次がGO!GO!7188 さすが有名どころで、ボーカルに説得力がある。MCはベースがやるんだな。途中で、今度仙台で対バンやるというミドリが乱入して「アタックナンバー1」.ミドリはセーラー服じゃなかった。

みちのくプロレス 3試合全部見てしまった。驚くほど機敏な動きだったり、ロープの上から場外にボディアタックを決めたり、面白い。終わってずっとたってから脇を通ったら、さっきまで奮闘していた気仙沼次郎がリングの解体をしていたのも良かった。

ACIDMAN 見たのはフジロックに続いて2回目だと思うが、どこがいいのかわからない。

ゆらゆら帝国 よかった。

RIZE かっこいい。
途中で抜けてトイレに行ったときに「俺たちも10年やってきて、こうして清志郎さんと対バン張れるまでになったんだ。今バンドやってる奴、あきらめないで続けて、いつかここにあがってこいや!!」と言っているのが聞こえてきた(清志郎じゃなかったかもしれない)。

原田知世 僕らの年代のスーパーアイドル。前髪がふわりとした長めのおかっぱ。40には全く見えない。これもモンスターの一種だろう。連れあいが好きそうな柔らかくてふわふわした綿生地の緑のワンピースの下に黒のスパッツと長袖T。夕暮れの風が吹き、ちょっと寒そうだった。ボーカルはさほど魅力的ではない・・と思ったが、聞いているうちに味が出てきた。野外のロックフェスに出るのは初めてだそうだ。最後に「時をかける少女」のセルフカバーでボサノババージョンをやった。これはちょっといじりすぎ。やっぱり「女優の歌」かな。

BIGIN いいなあ、やっぱり。会場中が笑顔になるよ。10年くらい前の沖縄フェスタ以来。謙虚なトークもブルースも島唄も全部いい。「オジー自慢のオリオンビール」は大好きだなあ。「定価ブルース」だけ真面目すぎてなじまないかな。さいごに「僕らにはまだこのあとに楽しみがあります。清志郎さんのステージを心から楽しみたいと思います。ARABAKIはこれからだぜ!」といって「じゃあ最後に1曲歌って、僕らはさっと帰りますので」で笑いをとって「涙そうそう」。にくい構成だ。

そして清志郎。
夕闇迫るみちのくステージのトリで登場。

ぼくは伸ちゃんの正面7列目くらい。ちょっと前にハナレグミがいた。

清志郎は例のピンクの花柄スーツ。こんなのが似合うのは日本で他いないだろうな。
前半の構成はCDJや武道館とだいたい同じ。
「ダンスミュージック☆あいつ」だったか、きたろーだけ他と違うコーラスを入れていたけど、アレは何だったんだろう?聞こえないので何を歌っていたのかわからない。
NIGHT AND DAYで「夕暮れが湖(原曲は町)を包む頃はいつも」と歌詞を変えていた。確かにその時間。
「スローバラード」は「ワンモアタイム!」を5回繰り返すバージョン。これは盛り上がった。ARABAKIのお客はブルーノートよりもずっと若くて、CDJより過激。演奏が止まると、バンドメンバーが全員動きを止め、それを動かそうとみんなが大歓声。なかなか動かず、声を張り上げたときに「僕ら~」。今まで一番良かった。

次にあのホーンのイントロ。「世界中の人に自慢したいよ」が入った。すげえ、何年ぶりだろう。鳥肌。思わず右手を左右に振るフリをやったら誰もやってなくてちょっと恥ずかしいいのと同時に優越感。清志郎に合わせてみんなで手を振り、落ちてきた空を持ち上げた。
つぎも「明日なき世界」。珍しい曲が入った。
最後は「キモチE」でマントショーをやって退場。これも珍しい。銀紙が紙吹雪となって空を舞う。

定番の「Babyなにもかも」はどうするの?と思ったらアンコールの最初にきた。厚見さんのオルガンにのせていきなり「愛し合ってるかい!」を言うのだが、その瞬間に詰まってしまってちょっとお互いに苦笑。なんだかこの夜の清志郎は武道館などと比べてちょっと疲れているような気がした。歌は申し分ないんだが、曲の間にふっと素に戻るような表情をするときがあるんだな。ちょっと心配。「愛し合ってるかい」も、ライブの流れの中で盛り上がっていたところでやるのとはちょっと違って無理がある感じがある。「俺みたいにどっか行ってた奴が、無事に帰ってこれるように祈りを込めて歌います」・・・で「Babyなにもかも」になだれ込み、再びサブちゃんが登場してマントショー。最後にドラムスの隣でマントに隠れたなと思ったら消えてしまってびっくり。初めて演出だ。
さいごは「雨上がりの夜空に」で〆。ううん、いいんだけど、新しいラストソングはないものか。

ARABAKIはフジロックと比べてこじんまりしているからステージ間の移動距離も短く(だから他のステージの音が聞こえたりする)、なによりもあちこちで山桜が咲いていて、はらはらと花びらが落ちてくるのがすばらしい。

ステージが終わったあと、若くて朴訥なステージスタッフが登場し、盗難があったことを謝罪し、ステージでばらまいた紙吹雪をみんなで拾おうと呼びかけた。
足元を見たら、地面が見えなくなるくらい色とりどりの銀紙。「これを全部お客が人力で拾うなんてありえねえだろう」と思ったが、みんながぶつぶつ言いながら拾っているとどんどん綺麗になり、だんだんみんな楽しくなってきた。しまいには5ミリに満たないような小片まで競って拾い、女の子が「なんていい人たちなんだろう」と感激して言っていた。
確かに、ロックフェスに行くと急にエコに目覚めていい人になってしまう傾向があるような気がする。

シャトルバスで仙台へ。夜行バスに乗り換えて11時半発。翌朝5時18分に新宿に降りた。
コメント (6)
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