夜長姫と耳男

忌野清志郎を愛し、路上生活者支援NPO・TENOHASIの事務局長Sの日記

冬のハイヌミカゼ~カッシーニ

2008年12月28日 | Weblog
毎年クリスマスのお楽しみ、元ちとせの「冬のハイヌミカゼ」ライブに行ってきた。今年で3回目。

 しかし、心配が一つ。
 元ちとせ本人はとても明るく楽しい人なんだが、去年・一昨年の「冬ハイ」はMC抜きでひたすら歌いまくるというスタイルのライブだった。女神様のミサにはふさわしいのかも知れないが、僕に言わせれば全て全力投球でこっちが疲れてしまう。もっと息を抜いたり、喋ったりした方がいいなあと思っていた。MCも最後の頃に「本当に本当にありがとうございます」「一生懸命歌いました」ということが中心。ファンとどう接していいかよくわからずに、自分を出すのをためらっているように感じられた。

 それの印象が変わったのは、6月のotodamaライブ。波の音が聞こえるライブハウスで、MCたっぷり、陽気で明るいライブを初めて見ることができた。よかったなあ・・・・・でも、箱の大きい「冬ハイ」になると謹厳まじめ全力投球スタイルに戻ってしまうかもしれない・・・・と心配しつつ、12月25日午後7時5分前に中野サンプラザへ。

しかし!! 心配は不要だった。
やりましたねえ。ついに弾けました。
今までやりたかったことを、勇気を出して全部やってくれたという感じだった。

takanobuさんのセットリストを参考に、思い出してみます。

ステージ上には
土星の輪(カッシーニ・リング)を表したと思われる、
巨大な五円玉を斜めに床にめり込ませたみたいなセットを背景に

向かって右からチェロ・ギター・パーカッション(この人だけ女性で蛍星のコーラスをつけていた)・ベース・ドラムス・ピアノ(バンマス・羽毛田さん)。

この夜は特にピアノとベースの響きがよかった。

僕は2階席4列目やや左側。上から見下ろすのも悪くない。

”Birthday”
”蛍星”
”ワダツミの木”
 いきなり洋楽・続いてヒットシングル2連発とは驚きましたね。
 今日は何かサプライズがありそうな予感。

”幻の月”
”玉響”
”ひかるかいがら”
 この曲は6月のotodamaでも聴いて、曲もMCもとてもよかったなあ・・・と思っていたら、やっぱりその後にMC。

”奄美の小さな小さな学校に本土から先生が来てくれる。とてもうれしかったんです。でも、家族みたいになった頃にお別れの時が来る。悲しくて悲しくて、きれいな貝殻を集めて首飾りつくって先生にプレゼントしました・・・”

 otodamaでも聴いた、とてもとても可愛いエピソード。

今日はそれに加えてもう一つ仰天エピソードのおまけが。
”デビューの頃、原宿のクリスマスライブに呼ばれました。クリスマスだ、おしゃれしなくちゃ、と思って、初めてヒールの高いブーツを履いて(!)ばっちりおしゃれして・・・・ところが、ステージに上がったら歌いにくくてしょうがない。しょうがない、一曲終わったらブーツを脱ごうと思ったんです。けど、そのとき思い出しました。ストッキングにはおっきな穴があったことを。やばい。無理。脱げない・・・それ以来、元ちとせは裸足で歌うようになりましたとさ”
 最後は昔話みたいにまとめて爆笑をとっていた。
 いままで「なぜ裸足なんですか」と聞かれると「大地のパワーを感じるんです」とか適当なことを言っていたことも告白。

”そんなかわいいちーちゃんも、30になりましたとさ”
客席から”かわいいーーー”
”そう、その言葉を待ってました!!”(爆笑)

”凛とする”
「ただ雪は果てなく 私に降りつもる・・・」爆発的なこの迫力。

”静夜曲”

”黒だんど節”
 やったー、初めて生で奄美の島唄が聴けた。
 すごい、さすが、うまいなあ。
 奄美の海と言うよりも、モンゴルの草原を思い出した。
 奄美の三味線はばちで弾くんだね。
 島唄の先生から貰った大事な三味線(ばちだったっけ)。
 ”でも、これを中孝介がねらってるんです。やばい、隠さなきゃ・・”
 おお、ここで後輩が出るか! また爆笑

 ”ブログ書いてます。知ってます? 知ってる人、手を挙げて!! 何だ、もっとコメントつけてください”
 ”でもブログってすごいなと思ったのは、このツアーの前に「聴きたい曲」のリクエストを募集したら、普段10件くらいしかコメントがつかないのにいっぱいコメントついて・・でもうれしかったのは、たくさんの人が、上田現の曲をリクエストしてくれたことです」
 軽くて楽しいブログの話から、いきなり追悼へ持って行ったMCの力業。
 上田現さんの「エマニエル夫人の子供がエマニエル坊やなんだよ」という冗談を2年も信じていたなんて間抜けすぎて大笑い。
 会場の雰囲気が一気に締まり、ここから上田現メドレー。 

”祈り”
”竜宮の使い”
”コリアンドル”
「エジプトに行こうと思ったのに、着いちゃったのはマレーシア」という楽しいナンバー。上田現さんソロナンバーのカバーなんだそうで、ポップでとてもいい。
 上田現さんの「エマニエル夫人の子供がエマニエル坊やなんだよ」という冗談を2年も信じていたなんて間抜けすぎて大笑い。
 
ここで、「マレーシアからやってきました」といって、バンドみんなが手持ちの楽器で集合。
”ハミングバード”
 ここで「チュルチュチュチュール・・・」というパートをみんなで大合唱。
 ちとせ様も「男子ー!「女子ー!」「中間の人ー!(!?)」と呼びかけて煽る煽る。
 1階席はどんどん立ち上がって、ほぼオールスタンディング。
 よし、2階の私も・・・と思ったら、なぜかみんな座ってる。
 見回したら、2階席では真ん中の二人だけがスタンディング。どうしようか迷ったが、真後ろの席が空いて僕が立ってもさして迷惑ならないことを確認してスタンディング。ちとせ様、2階席で立っていたたった4人のうち、右から2番目が不肖私でございます。お見知りおきを。
 でも、「チュルチュチュ・・」って口をとがらして歌うから、大きな声で合唱するのは難しいんだよね。次は別の曲にしていただけないでしょうか。
   
”甘露(アムリタ)”
 1回オール(2階は4人だけ)スタンディングのまま、ノリノリのアムリタに突入。
 ちょっと前、mixiのコミュで「元ちとせのライブでスタンディングしたい」「でもカッシーニの曲でそういうノリの曲ある?」というやりとりがあったけど、こういう構成でちとせ様が陣頭指揮を執って観客を総立ちにさせましたとさ。ファンも夢が叶ってめでたしめでたし。

”あかこっこ”
 ここからお客は再び座り、はじめ様は終盤に向かって一気に盛り上げる。

”恐竜の描き方”
 この曲はアルバムよりライブの方が5倍いい。
 観客は歌声に打ち抜かれ、圧倒されて身動きもとれない。

”カッシーニ”
 ツアータイトルの、上田現最後の曲で締め。

(アンコール)
”青のレクイエム”
 静かに、夢のように始まったアンコール。宮崎あおいが主演した映画「初恋」の曲。映画にぴったりだったことを思い出す。

 ところが、ですよ。この後にまたやってくれました。
 なぜかステージに変なグッズが・・・
 バンドが、突然あの曲を奏でて・・・
 突然、手品ショーが始まった・・・・
 (2階席からだと遠くて、何が出たんだかよくわかりませんでした。)
 おいおい、そこまでやるか・・・・・
 ちとせ様、すごく楽しそう。
 
 オーガスタの社長作曲、と紹介して
”空に咲く花”

 そして最後は、意外にもユーミンの
”ウルガの丘”
 「おうちへ帰ろう」と、元気に陽気にクリスマスライブを閉じた。
 「ほんとにほんとにありがとうございます」といってくれるので
 僕も思い切り大きな声で「ありがとう!!」と返した。2階席から聞こえただろうか。

いつ言ったか覚えてないけど、こんなMCも・・・
「来年も聞いてくださいね(拍手)。呪いをかけました。この呪いは次のライブに来てくれるまでとけません」
「このツアーTシャツを着て、これであなたも”はじめ教”信者です」
とっても陽気なちとせ様でした。

 6月のotodamaがとてもよかったけど、あれはお互いの顔が見えるライブハウスだったからできたことだったと思う。
 それが、中野サンプラザという箱で、これだけ客をいじって乗せて揺さぶって、そして感動させたんだから、すごいパフォーマー・エンターティナーになりつつあると思う。
 進化してますね、ちーちゃん!! 
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夢見るグルーヴィン・タイム

2008年12月28日 | Weblog
みなさん、お騒がせしました。
グーが帰ってきました。

ブログを書いた翌朝、サッシの外に、
「ごめんなさい・・」という感じの顔をして
こちらをうかがっているグーが!!
「グー、お帰り」と駆け寄ったら、
叱られると思ったのか、
知らない変なおじさんがいると思ったのか
一目散に逃げようとする。

「怒らないよ。おいで。ご飯だよ。おなかへっただろ」
とエサをちらつかせたら、そっとそっと近寄ってきて、やっと家の中に。
すぐさまサッシを閉めたけど、グーはもうご飯に夢中でした。

よかったよかった。
その後も何となく警戒していたけど、
一度膝に乗せたら後は甘えて顔をすりすり。
前よりもっと甘えん坊になっていた。

何してたんだい?

外に出たら近所のボス猫におどかされて逃げて、
帰り道がわからなくなったのかな・・・
それともうちの子供たちみたいに夜遊びしまくりだったのか・・・・

”次の朝がくればすぐにめぐり逢えるさ”
という歌詞を書いたら、本当に次の朝にめぐり逢えたのが不思議。
清志郎の言霊もおかげか?

グーがブログを読んで、
あ、やっぱりあのオヤジがグーがいなくて寂しがってるから、帰らなきゃ
と思ったのかな。

グーちゃん、しばらくは外出禁止です。
君が、自分の名前が「グー」だとちゃんと認識するまで。
でないと、探しに行って名前を呼んでも、自分が呼ばれているってわからないでしょ。

タイトルは、ラフィータフィーのアルバム”GROOVIN’TIME”の最後の曲。
”君のことが 知りたい。
 どんなときに たとえば
 さみしくなるとか 笑うとか

 君はとても 不思議で
 僕はいつも 気になる
 可愛い仕草で動くから”

ギターの響きがとてもすてきなこの曲。
清志郎のラブソングって、”Baby 何もかも”もそうだけど
「きみのことがしりたい」っていうメッセージがたくさんあって、
ちゃんと向き合っている感じがとてもいい。

グーがさみしくなるのは、何を思い出すときだろう。
最初の飼い主? 公園での暮らし? それとも・・・
 話してみたい。
コメント (3)
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冬の寒い夜は

2008年12月27日 | Weblog
この猫を見かけたらすぐコメントをください。
できたら捕まえて保護してあげてください。

新しい猫・グー(メス・8歳)が家に来て2週間。
最初の2日間は、「いったい何されるんだ?」という感じでソファの下などの暗がりに入ったっきりで、家族が近寄ると逃げ回っていた。
3日目は連れ合いが休み。そうしたら抜け駆けして仲良くなりやがって、連れ合いの膝には乗るようになった。僕が来ると、あっという間にソファの下に。あのお、君を選んだのは僕なんですけどお。

5日目にはソファの上で昼寝するようになった。

6日目には、ふとんに潜り込んでくるようになった。驚いたことに、僕のふとんに入ったらそのまま朝まで一緒に寝て、僕が起きてもまだふとんに入ったまま。クロは布団に入ってきてもすぐ飽きてほかのところに行ってしまったもんだが、グーは本当にいつまでもグーグーしているんだね。

先週は、鍵をかけ忘れたサッシを自分で開けて、近所を偵察。すこししたら帰ってきて、あけてくれ、とミャーミャーないていた。

ところが、23日の午後、息子がリビングに降りてきたら、サッシが開いていてグーがいなかった。そのうち帰ってくるだろうと思っていたが、夜になっても現れず。
翌日はサッシを開けておいたが、帰らなかった。近所を「グー! グーグー?」と呼びながら探したが、なんの反応もない。
今日で丸3日半。帰ってこない。
間の悪いことに、一昨日くらいから東京は冷たい強い風が吹き荒れている。
この寒空、帰れなくて、どこかで震えているんじゃないかと思うと可哀想でならない。

こういうときはどうしたらいいんでしょうか、皆さん。

とりあえず、エサと水をベランダにおいてみた。
なるべくベランダを見るようにしていたが、気がついたらエサはなくなっていた。
グーが食べたんだったらいいんだけれど。

タイトルはRC最後のアルバム”Baby a GoGo”より。

”次の朝がくればすぐにめぐり逢えるさ
 
 冬の寒い夜は僕と 一緒に寝よう”

実はかなり古い曲で、当時飼っていた猫をモチーフにしていると聞いたことがある。確かチモールで、70年代の音源を聞いた覚えがある。

改めて歌詞カードを見て、あんまり今の気持ちにぴったりなんでびっくりした。

早く帰ってきますように。



コメント (4)
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世の中が悪くなっていく

2008年12月21日 | Weblog
 この前、池袋駅構内の夜回りで、派遣の仕事を切られて池袋で路上生活しているという人の相談を、スタッフが受けた。
 練馬寮(路上生活者緊急一時保護センター)に入ろうと思って役所に行ったが、4人の募集に12名が応募してくじで外れたとのこと。(こんな倍率になったことは今までになかった)
 まだ50歳だから、自分で働きたい、生活保護は望まないとおっしゃったそうで、とりあえず炊き出しの情報だけお知らせしたそうだ。
 「sさんも会って話してくれませんか」といわれたが、会ったところで、特に仕事も支援策も紹介できるわけではない。とりあえず、顔だけでもつないでおこうと探してみたが既にいなかった。

 新聞では雇用危機への対策をいろいろと報じているが、今、すぐに使えるものであるかどうかわからない。貸付金なんかは返済可能かどうかの審査に時間がかかるだろうし、雇用促進住宅は東京にはほとんどないらしい。詳しいことは、ハローワークに聞いて貰うしかない。

 雇用危機で、北関東の工場を解雇された数千人の派遣労働者が、職と食を求めて東京に押し寄せてくるという噂が流れている。たぶん、噂は実現する。
 今のところまだ池袋の路上生活者数はさほど変わっていないが、ひたひたと潮が満ちるように少しずつ増加中だ。おそらく、11月末で解雇された人もとりあえず手持ちの現金でネットカフェなどに泊まっているのだろう。12月末で解雇されたたくさんの人(多くの工場は生産調整のため今週中に仕事納めをするらしい)がその後に続く。その人たちが、金を使い果たして路上に出て、生活の相談を受けたときに、いったい何といえばいいのだろう。

 10年くらい前に路上生活者が激増したときは、まだ公園に新しいテントを張ることができた。コンビニの賞味期限切れ食品はかなり自由にもらえたし、アルミ缶や古雑誌の回収もそれなりに金になった。健康であればどうにか生存することはできたのだ。
 今、万策尽きて路上生活になっても、公園への新規流入は厳しく排除されてテントは張れない。コンビニはどこもゴミ箱に鍵をかけて廃棄食品はもらえず、雑誌不況で古雑誌も売れなくなって、池袋の露天書店は姿を消した。わずかにアルミ缶だけは(単価が最盛期の1/3とはいえ)現金になるが、たくさんの人がそれを求めて街をさまよっているので、回収できる量は知れている。「ホームレス対策が進んでホームレスが減った」というが、排除の施策が進んだために、昔と比べて生存の基盤が大きく削られている。

 そんな中、精神的にも肉体的にも疲れた路上生活ビギナーが大量に路上に掃き出されたらどうなるか・・・路上死の激増・秋葉原や個室ビデオ店の事件のような犯罪の多発につながることは誰でも予想できるだろう。誰も犯罪など起こしたくないが、いまでも刑務所以外に生きる場所がない人がたくさんいるのだ。

 去年、池袋では路上死が3人(例年の1/4程度)に減って、喜んでいたが、この冬はどうなるか。最大限の緊張感で、越冬の準備をしている。

 タイトルは”RAINBOW CAFE”より。
”Hey 世の中が悪くなっていく
 Oh  もう誰にも止められないのか~”

生徒による中学教師殺人事件をストレートに歌った曲。
 凶器となったバタフライナイフは、清志郎も出演したドラマ「ギフト」で、キムタクが使ったので流行ったという。
 このドラマはもちろん僕も見ていたがあんまりバタフライナイフの印象はなかったので、意外な気がしたことを覚えている。
 あまりにも歌詞がストレートすぎて最初に聞いたときはなじめなかった。
 今、派遣切りと雇用不安が騒がれているのに誰も本気でどうにかしようとせず、ぼろぼろのセーフティーネットの網から人々がこぼれ落ちていく現状にはぴったりだ。
コメント (1)
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