先週末、声をかけてもらって「かながわブラインドスキークラブ」のスキーツアーに参加してきた。
感想を寄せて欲しいとのことだったので、率直な思いを書き記してみた。
【ここから感想文】
私は今回、ボランティアではなくパートナーと呼ばれ、「一緒に滑れて楽しかったよ!」という言葉をもらってとても感動した。
確かに最初は親切心から参加を決意したが、実際に滑っている時はブラインドスキーヤーに自分を投影して、本当に一緒になって滑っていたのだ。私の言葉一つで、気持ちよく滑ることも、下手をすると事故に遭ってしまうこともある中で、私を信じて滑ってくれたブラインドスキーヤーはまさに対等なパートナーだ。私も一緒に滑れて楽しかった!
スキー経験はそれなりにあり、今思えばブラインドスキーヤーを見たこともあったが、一緒に滑るのは初めてだった。
会社の知り合いの実行委員から、「あなたが参加すれば、ブラインドスキーヤーが1名多く参加できる!」と声をかけられ、1ヶ月前に参加を決めた。
周囲にブラインドがいなかった私は、祖母と伯父がブラインドだった妻から初歩的なレクチャーを受けただけで事前情報も無く、内心ドキドキしながら東京駅で合流し、新幹線のドアで早く乗り込もうと強引に鼻先を突っ込んできたアイメイト(盲導犬)のオーエン君を見て「今回は盲導犬を連れた参加者もいるのか!」と驚くありさまだった。
岩原スキー場は初めて滑るスキー場だったが、仮に指示を失敗しても挽回できそうな幅広バーンだったため、リフト上から簡単に観察しただけで片斜面などの斜度変化を詳細に把握せず、後でガイドに苦労することもあった。
ガイド初心者4名は最初に研修を受け、研修生同士で片方が目をつぶり、もう片方がガイドをする訓練などを繰り返したが、目からの情報が無いと前方の様子や自分の滑走速度がこんなにも分からず不安になるのかと改めて認識し、ガイドの責任の重大さを感じた。
私はこの研修が始まる前、「ガイドなど簡単にできるだろう」という楽観的な考えをしていたが、それをここで捨て去り、ブラインド、晴眼、みなさんの指導を謙虚に受け入れ、自分の特徴である声の大きさを活かそうと決意して、いよいよ実際にブラインドの方と一緒に滑り始めたのであった。
初日のTさんと2日目のUさん、お二人にそれぞれお話しを伺うと、技量だけでなく、スキーに対する考え方も異なっていて、意向をどうやって反映すべきかとても悩んだ。そこで「気持ちよく滑りたい」という共通した言葉を拡大解釈して、「安全が確保できたらスピードアップ!」を貫いた。リーダーはハラハラしっぱなしだったようだが、お二人とも風を切って滑る感覚を喜んでくれ、結果的には良かったと思っている。
今回のスキーでは、コースの状況を確認し、斜面の変化や混雑度、目標地点までのコースを描くことなど、普段は無意識で処理していて時に怠惰になりがちな転瞬の判断を言葉にして伝えるため、まさに五感を研ぎ澄ませて臨んだ。こんなに周囲に注意しながらゲレンデを滑ったのは子供の頃以来かもしれない。「右」「左」「止まれ」だけでなく、とにかくガイドが途切れないように大声を出していたこともあり、1本1本がとても充実していた。
このところスキーへの思いが煮詰まっていて、惰性で滑っていた自分の心に大きな風穴があいた気分である。みんなと一緒に滑れて、新しい世界が広がった!本当にありがとう。そして、これからもどうぞよろしく。