キリスト教を知りたい。ならば聖書があります。聖書があることこそキリスト教の最大の特色です。しかし、聖書は旧約39巻、新約27巻、全66巻もある厖大な書物です。これを読みこなしてキリスト教の真髄を正しく読み取ることは容易なことではありません。さらに、教会として一致できる結論を引き出すことはなおさらです。そこで、教会は聖書に基づいてカテキズムというキリスト教要理を作ってきました。教理問答とか信仰問答とも呼ばれます。その先駆となったのが、マルティン・ルターの小教理問答書(1529年)でした。その骨子は十戒、使徒信条、主の祈りというキリスト教の3つの重要な文言と、聖礼典(洗礼と聖餐)についての教えです。これらを分かりやすく示すことで、信徒たちを教育しようとしたのです。教理問答を学ぶことで聖書の教えの中心点がはっきりします。そして、聖書の森に分け入るための見取り図をもつことができるのです。ルターの小教理問答書は簡潔明瞭で親しみやすく、今も広く使われているものです。これの新しい訳を試みてみました。
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