中原聖乃の研究ブログ

研究成果や日々の生活の中で考えたことを発信していきます。

盧溝橋と戦争博物館見学

2017-11-19 11:34:04 | 研究報告

なんといっても、せっかく中国に出張なので、北京の盧溝橋と軍事史博物館は行きたかった。天津直行便もあったのですが、北京経由で中国入りしました。中国の学会に誘われた時、父が幼少期を過ごした、ハルピンも行きたかったのですが、遠いので断念しました。ハルピンには、確か日本の建築物なども残っているはずなのですが、学会のついでに社会見学するには、遠すぎる。。。

中国で一番好きなのは、「牧谿」の水墨画なのですが、ぜひ本場で見たいと思い、中国人の非常勤の先生にいろいろ聞いてみたのですが、牧谿そのものを知らないのです!日本にあるいくつかの牧谿の作品は、国宝や重文に指定されているほど有名なので、その先生興味がないのかな~と思ったら、よくよく調べてみると、牧谿の作品は、中国に留学に行った日本人僧侶がほとんど持ち帰っており、世界でも日本でしか見ることができないのだそうです。これは驚きました。

私の中国のイメージは、洞庭湖、南宋絵画、黄鶴楼、瀟湘八景、、、ちょっと時代が下ると、人民服を着て自転車でドォーっと通勤する人々。もちろん、世界中どこに行っても、中国語シティガイドはあるけど、日本語シティガイドがないことも十分わかっているつもりで、中国経済の勢いや期待は知っているけど。。。中国農民絵画、水墨画、漢詩に表現された世界を見たいという部外者の勝手な欲望が、私にも確かにある(笑)

さて、私の事前プランは、北京空港に午前10時着。11時30分に入国手続きを終え、すぐに、電車カード(スイカやマナカのようなもの)を買い、エアポートエクスプレス電車に乗り三元橋まで行き、地下鉄10号線に乗り換え、西局まで行き、14号線に乗り換えて大瓦窟で降りて、20分歩いて盧溝橋に行くというもの。見学後は、地下鉄で北京南駅に移動し、新幹線で天津駅に向かう。天津着午後9時!翌日学会発表。

でも渡航前に中国人の非常勤講師の先生に聞くと、初めての中国で普通の道を歩くのは無理だし、地下鉄乗り換えなんて無理無理、と言われる。。。中国語のアクセス検索してもらったら、バスに乗ったりして3時間かかるとのこと。渋滞があるかもしれないし、ぼったくられるかもしれないけど、絶対間違いなく行けるのは、空港からタクシー、というアドバイス。

一か八か、私の予定通り公共の交通機関で行ってみることにする。実際やってみると切符を買うのも、乗り換えも、かなりスムーズ。ワシントン地下鉄よりも簡単かもしれない!なにしろ漢字が同じなので、通じなかったら筆談でなんでもできるのです。これは便利です!それに地下鉄電車内で、一生懸命、日本語メモ書きした路線図を見ていると、中国人の高齢の男性が、私の地図を指さしながら何やら中国語で話しかけてきます。全く分からないので、日本語で、「盧溝橋に行くんです」とか話をして、「ありがとう」と言って乗り換えました。ところで、中国の地下鉄の中はさぞややかましいのだろうと思っていたら、すごく静かです。みんなスマホ画面を見ています。日本と全く変わらない光景。

午後1時15分には、大瓦窟に到着。予定通り。ここから、用意した地図を見ながら、途中人に聞いて確かめながら歩いていく。ここは生活道路なので、本当におすすめです。中国を感じることができます!

途中でおなかがすいたのだけど、食堂がどれかよくわからない。。。しょうがないので、雑貨店に入りミルクを買って、食堂がないか聞くとちょっと先にあるという。「謝謝」と言いながら、ミルクを飲むと、ミルクじゃない!乳酸菌飲料でした。「これって、「モ~~~」って鳴く?」とか、「牛乳」とか、ジェスチャーに筆談も交えながら確認したつもりだったが、確認が不十分でした。

食堂(らしき建物)があったので入ると、店員の娘さんや数人の男性のお客さんの目が、キャリーケースを持った私にくぎ付けになる。。。なっ、なにか言わなくては。。。ニコッと笑って「ニ~ハオ」と言ってみる。が、その続きが出てこない。「ごはん食べたいのですが(英語)」、店員さん「道に迷っているのですか(と言っているように聞こえる)」、私「そうじゃなくて、おなかがすいているので、ご飯を食べたいのです(英語、ジェスチャー交じり)」、戸惑いながらも店員さん「ああ(笑顔)、じゃあ、ここに座ってください(と言っているように聞こえる)」メニューを見ても何もわからないので、「チャーハン」頂戴、と言う。「米」とか書く。店員さんにっこり。「一人なので、大きなお皿じゃなく、小さいお皿で出してください」というと、「OK」と言うので、よかったと思って待っていたら、なんと、小さな皿にてんこ盛りのチャーハンが出てくる。食べにくいよっ!でも普通のチャーハンなのですが、すごくおいしかったです。最後はお店の方が盧溝橋への道を教えてくれて手を振ってくれました。

さて、おなかも満足したので、まずは中国人民抗日戦争記念館(戦争博物館)に行ってきました。キャリーを預けて、見学します。平日なのに、多くの観覧者がいます。みんな写真をみながら、なにか話しています。南京大虐殺のコーナーが特に悲惨で、細菌部隊の展示もあります。もう二度と来れないかもしれないので、もっと写真を撮りたかったのですが、周りの人の目が気になって取れませんでした。最後にキャリーバッグを取りに行くと、係りの人が「サヨナラ」と言ってくれました。「ザイチェン」と言ってお別れしました。

次に、博物館近くの盧溝橋に行きました。盧溝橋は、12世紀に建てられた橋で、マルコポーロが世界一美しいと絶賛した橋です。一つひとつ表情の違う狛犬が欄干の装飾になっています。いまは観光地になっており、多くの人が訪れる場所ですが、かつては、北京から地方に向かう人をお見送りする場所だったらしいです。「渭城の朝雨、軽塵をうるおし」とか「孟浩然を黄鶴楼で見送る」歌とか、漢詩には旅立つ友を見送る歌がたくさんありますが、ここは見送りの場所の一つ。

そこから、宛平城の城壁の盧溝橋事件砲弾跡に行ってみました。盧溝橋事件は、日中戦争のきっかけとなった事件で、1937年7月7日に勃発したので、中国では七七事変と呼ばれています。アヘン戦争とかアロー戦争の砲弾の跡などは残っているのでしょうか。

帰りは少し余裕があるので、ぶらぶらしてみました。途中、市場があったので入ってみました。野菜や果物が新鮮で、みなその日に必要なものだけを買って帰っているようでした。小さいポリ袋に、野菜などを2,3個入れて帰っていきます。間違っても、観音開きの大きな冷蔵庫は家にはないでしょうね。新鮮な食材は高級な食材に勝る!絶対にそう思う。

エアポートエクスプレスの車窓から見える畑の風景でも思ったのですが、中国では「生活してる」という雰囲気がすごく伝わってきます。空港の第3ターミナルから第2ターミナルを経由して北京方面に向かうのですが、その途中では広々とした畑が広がっています。しかも、あちこちの畑で、何人もの人がわさわさと働いているのです。この畑は、一面に同じものが植えてあるという畑ではなく、少しずつ違うものが植えられています。自分の家や親戚で消費する分を作っているのでしょう。日本でも、新幹線の車窓からも田園風景が見えると癒されるな~、とか思いますが、人が働いているのはほとんど見ません。農薬も使うし、用水路は蛇口になっているし、かなり機械化されているので、長時間働く必要がないので、畑にいる人を見る機会が少ないのです。

無事社会見学を終え、地下鉄で北京南駅に向かい、新幹線で天津駅に向かいました。満席だったので一時間後しか予約ができず、あまりの巨大さ、あまりの人に圧倒されながら、北京南駅をプラプラしました。新幹線は超快適で、天津のホテルには夜8時半に到着しました。