随縁記

つれづれなるままに、ものの歴史や、社会に対して思いつくことどもを記す

絵巻物

2006-06-29 14:30:44 | 紙の話し
和紙の歴史 


(二)装飾経と絵巻物


絵巻物

文字ではなく主として絵を描いて巻物に仕立てたものが絵巻物である。
絵巻物形態はの源流はインドであり、中国経由で日本に伝えられた。それらは小判のものであったが、和紙の製紙技術の向上にともない、日本では大判の絵巻物が多く描かれた。
王朝文化とともに発展した大和絵は、屏風絵などとして残っているものはほとんどなく、絵巻物として今日まで残っている。
絵巻物は、紙を横に長くつないで、情景や物語を連続して動的に展開する絵画形態である。
日本での絵巻物の源流は、奈良時代に作成されたもので、仏教説話を主題としている。平安中期からの絵巻物は、王朝文学の物語、説話、歌などの絵による展開を主流とするようになった。内容を述べる詞書とそれに対する絵を交互に配する独特の様式を生み出した。

物語絵巻は、『枕草子』『伊勢物語』『源氏物語』『栄華物語』などの文学作品を、独特の表現力で活写している。
 特に『源氏物語絵巻』は、濃厚な色彩できらびやかな貴族の生活を描き、家屋は屋根を省略した吹き抜け屋台で描かれており、当時の住まいの状況や建具の使用状況などが一望できる貴重な資料となっている。
 優美な草書体の詞書と絵画を交互に配し、その料紙は紫・紅・黄・青などの淡い間色に打雲やぼかしを加え、金銀箔や野毛、砂子を撒き、さらに松や柳を描き添え、梅花や蝶などの図をあしらった、素晴らしい装飾が施されている。文学と絵画と書道そして料紙の工芸美とで作り上げた総合芸術作品といえる。 
中世には、歌仙絵巻、戦記絵巻、そして寺社の縁起や僧伝の説話絵巻などが多く作られた。