前回は、日本銀行の「銀兌換紙幣」についてふれた。
しかし、世界の潮流は「銀本位制」から「金本位制」へ移行していた。
このため、遅ればせながら日本の通貨も、
1897(明治30)年、欧米主要国にならって日本も金本位(きんほんい)制度を採用した。
つまり「金0.75グラム」を「1円」とする貨幣法を制定したのである。
2012年の6月の金地金の平均相場では、1g 4,119円だから、
仮に4000円で換算してみると、当時の一円兌換紙幣の価値は約3000円ほどになる。
こうして金本位制こ従い、新たに金貨と引き換えられる「日本銀行兌換券」が発行された。
金貨兌換券である以上、発行金額に見合う「金貨」を日本銀行は保有する義務があった。
日本で最初の金貨兌換券は、1899(明治32)年の甲五円券である。
つまり紙幣に書いてある価値に価する金と、交換可能であった。
「此券引換ニ金貨五円相渡可申候也」
十円紙幣であれば、―「この券と引き換えに、金貨拾円を引き渡すことができます」
と紙幣に明記されているのである。
漢文の読み下し文ながら、候文(そうろうぶん)となっているのが、時代を感じさせる。
明治時代の後半でも、公文書には候文が使われていたのである。
ただ、この紙幣に刷り込まれた金兌換の約束は、のちに勝手に法律で変更されて約束が反故にされてしまう。
次回につづく。
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