なぜ、このような甚大な損失を被る大失敗が生じたのか、まさにIT時代のシステム不備、すなわち失敗の研究不足を象徴している。
みずほ証券の単純な入力ミスが、簡単に幾つものシステムを通り抜け、市場を大混乱させた原因は、システム自体が重大な入力ミスを全く想定せずに、入力ミス防止に無策であった事を露呈している。
無論、みずほ証券の発注システムで、異常数値に対して「警告画面」が出たが、それを簡単に無視している。また、簡単に無視できるシステムに問題が潜んでいる。
発注システムで、警告画面が、どのような入力数値で出るのか分からないが、日常の発注業務で何度も警告画面を経験しているから、簡単に無視したと言える。
つまりは、警告画面を出す数値条件設定が厳しすぎると、特殊な取引の「見せ玉」や「なれあい売買」等で、大量発注の後に大量の注文の取り消しなどや、大量の買い又は発注を同時に行うとか、市場の価格誘導の手口は、禁じ手にもかかわらずどの証券会社でも実行している可能性が高い。
このような意識的な取引入力でも、システム上「警告画面」が出ている可能性が高い。だから、今回も「警告画面」に対して「またか」と思い、無視する原因となっている。
システムで「警告画面」を出す仕組みにはなっているものの、警告にレベル設定が無い。
だから、売買価格にあり得ない「1円」と入力しても、市場価格と10%乖離した価格数値を入力しても、同様な「警告画面」しか出ないのだろう。
だから、入力した当人が簡単に警告を無視できるシステムになっている。
このように、重大なミス入力が発生するという想定がないから、当然その防止策がなく、無防備と成っている。
もし、警告画面に異常レベル設定があり、あり得ない価格(一桁、二桁の数値)や、ストップ高やストップ安になるような価格を入力した場合、一旦発注をフリーズさせて、特別のフリーズ解除暗号を持った上司で無ければ、発注出来ないようにシステムを組み替えておけば、このような重大誤発注は簡単に防止できた。
次ぎに東証のシステムにも、重大なシステム不備が見つかって、謝罪している。みずほ証券と東証との間で、今後損失の負担について話し合いが行われる予定だ。
つまりは、誤発注でストップ安になった場合の、発注取り消しにシステム上問題があったことが判明している。
本来なら、誤発注の「1円」のままで取り消せるはずなのに、値幅制限に入っている場合、「1円」の誤発注価格ではなく、市場の「値幅制限価格」でなければ取り消すことが出来ないという不備があった。
この事も、みずほ証券が誤発注に気づいた1分30秒後に、取り消し入力を試み、東証のシステムが受け入れをしなかった時、なぜ、みずほ証券は、すぐに東証と誤発注の連絡を行わなかったのか。
取り消し方法を打ち合わせしていれば、これ程終日混乱する馬鹿気た事態は回避できたはずである。
次ぎに、東証のシステムにも、あり得ない「1円」の売買価格に対して、全く無防備でそのまま受け入れしている。さらに、発行済み株式総数1万5千株に対して、40倍超の売買数に対しても、そのまま市場に通っている。
システムそのものに、入力ミスという想定が全く、何でも通るシステムという事である。
株式市場の番人であるべきはずの、証券取引所のシステムが、売買価格や発注数量に何の歯止めも監視もなく、かくもずさんなシステムでは、市場が混乱しても当たり前といえる。
IT社会では、入力ミスはいつでも起こるのである。
システムとしては、あらかじめ起こりうる事態をあらゆる角度から研究し、事前にシステムで防衛手段を構築しておくのが当然ではないのか。
人間は誰でも間違いを犯すことを前提にシステムを組み、故意や不注意で異常数値を入力した場合、単独でクリヤーできないシステムにすべきだろう。
ホストに負荷が掛かるから、いちいちホストにアクセスせずとも、分散処理で入力数値の異常数値を検索することは可能なはずである。
東証と同じ富士通の売買システムを使う名古屋証券取引所でもシステム不備があるようだ。 複雑なシステムほど、人間のエラーを防止するシステムが必要となる。
今回のジェイコム株誤発注に乗じて、誤発注と知りながら、大手証券が大量に取得していた事が判明している。
欧州系の大手UBS証券は、今回の約10万株の現金決済の打ちなんと39.7%もの株を取得している。その他、モルガン・スタンレー、日興コーディアル、リーマン・ブラザーズ、クレディー・スイスそして野村證券などで、全体の55・3%もの大量の株を買っている。
約みずほ証券の400億円の損失の中で、上記6社の利益は169億円の荒稼ぎをしている。外国系証券の、あさましい程の「どん欲」にもいささか呆れる思いでもある。
他社の失敗で、プロの証券会社が自己売買で荒稼ぎをする姿は、おぞましい。
それだけ、証券のシステムについては、もっとエラーを防止するシステムが必要となる。