11人の侍

「生きている間に日本がワールドカップを掲げる瞬間をみたい」ひとたちの為のブログ

インデックスと祖母井GMの挑戦に期待

2006年10月16日 21時57分04秒 | サッカー
 プレミアリーグのチェルシーに所属するポルトガル人DF、リカルド・カルバーリョのインタヴューをみて意外に思ったことがある。
 カルバーリョは英国でのプレイを始めて今シーズンで3年目。チェルシーのリーグ連覇に大きく貢献し、今やプレミアリーグの重鎮といった存在だが、お世辞にも流暢とはいえない英語で(というよりもかなり拙い英語で)、インタヴューにボソボソと応える様が印象に残った。ピッチでの自信に満ちた佇まいとは対照的だった。

 海外のリーグで成功するための秘訣は、その国の言葉を覚え、文化に溶け込むことだとよく言われる。しかし、カルバーリョという成功例を見る限り、必ずしも、いつも当てはまるというわけではないようだ。

 カルバーリョのプレミアリーグでの成功には、彼自身の選手としての能力もさることながら、周囲の助けも大きかったことだろう。なにしろチェルシーの監督は同じポルトガル人のホセ・モウリーニョ。ふたりはポルトガルのFCポルトで2シーズンをともに過ごし、欧州チャンピオンズリーグを筆頭に数々のタイトルを獲得した盟友だ。監督とともにチェルシーから引き抜かれたカルバーリョは、監督との言葉の問題はおろか、新しいチームスタイルに馴染めるかどうかを心配する必要さえなかった。
 さらに、チェルシーはカルバーリョとともに、同じポルトからパウロ・フェレイラ、そしてポルトのライバルであるベンフィカからティアゴという2人のポルトガル人選手を獲得していたから、英語が苦手なカルバーリョにとっては、大きな助けとなったはずだ。守備的MFのクロード・マケレレは、スペインのレアル・マドリードでのプレイ経験があるから、カルバーリョと絶妙なコンビネーションを築き上げることができたのかもしれない(スペイン語とポルトガル語はよく似ていると言われる)。

 カルバーリョの例は、極端にいえば、選手は監督と少なくとも3人のチームメイトと同じ言語でコミュニケートできるのであれば、生活する国の言語をうまく話せなくても不自由を感じずにプレイできることを意味している。

 これがどういうことかというと、例えば、この度フランス2部リーグのグルノーブルのジェネラルマネージャーに就任した元ジェフユナイテッド市原千葉のチーム統括部長・祖母井秀隆さんがチームに岡田武史監督を招聘し、ジェフから阿部勇樹と巻誠一郎、そして水本裕貴を引き抜けば、3人の日本人選手が活躍する可能性はかなり高くなるということになる。3人揃ってフランスリーグで大成功とまではいかないかもしれないけれど、少なくとも海外でプレイする他の日本人選手よりはるかに事が容易に運ぶはずだ。

 これからの日本サッカーは傑出したひとりの選手の出現を待つのではなく、このようにして幅広い人材を地道に欧州に送り込み、徐々に勢力を拡大していくことによって、強化を図っていくべきなのだと思う。
 メッシーナの小笠原満男は、柳沢敦がかつてこのクラブに在籍していたということで恩恵を受けているはずだし、浦和レッズのギド・ブッフバルト監督がドイツのクラブを率いるときが来れば、田中マルクス闘莉王を一緒に連れて行きたいと考えるかもしれない。欧州で活躍する日本人というのは、これからこうして右肩上がりに増えていくのではないだろうか。

 その礎となりそうなのが、グルノーブルを運営するインデックス社と、ジェネラルマネージャーの祖母井さんの挑戦だ。だからこそ僕は、彼らの活躍を大いに期待している。