11人の侍

「生きている間に日本がワールドカップを掲げる瞬間をみたい」ひとたちの為のブログ

川崎フロンターレの森勇介を代表に

2006年10月21日 20時08分12秒 | サッカー
 日本代表で長くに渡って主力を務める三都主アレサンドロと、サイドの攻防で互角以上に渡り合える選手が、どれくらいJリーグにいるだろう。Jリーグ第28節、川崎フロンターレと浦和レッズの試合は2-2の引き分けに終わったけれど、フロンターレの森勇介はその数少ないひとりであることを証明した。

 森は序盤から激しい当たりでアレックスのドリブル突破をけん制すると、機を見て前方のスペースを果敢に狙った。前半39分にはタッチライン際で鋭い突破を試み、アレックスのイエローカードを引き出している。サイドでの主導権争いで優位に立っていたことを象徴するシーンだった。

 そして後半5分、森はフロンターレのタイトルへの期待を膨らませる大きな仕事をやってのける。対峙したアレックスを完全にかわしてから、中央に飛び込む中村憲剛に完璧なクロスを合わせてみせた。逆転ゴールを許した浦和のギド・ブッフバルト監督は、堪らず控えの相馬崇人に声をかけた。

 森の活躍は、アレックスを途中交替に追いやるだけに留まらなかった。
 まずは元気一杯の相馬のドリブルに対して、再び激しい当たりで睨みを効かせた。森はどちらかというと攻撃的な選手だけど、マーカーに噛み付かんばかりのアグレッシヴネスは、守備面でも十分な貢献を果たす。後半から投入された相馬のスピードについていけるわけだから、体力的にも強い。

 さらに浦和が右の平川忠亮に代えて永井雄一郎を投入してくると、ポジションを左に移して、永井のマーク役をこなした。右から左へのポジションチェンジのみならず、アレックス、相馬、永井という、三者三様の異なるタイプのドリブラーを封じたことで、スタジアムで観戦していたイビツァ・オシム代表監督に、”ポリバレント”な能力を見せつけたかたちになる(ポリバレントは『多価、多様な』という意味。サッカーでは複数のポジション、役割をこなす能力を指す)。

 森が11月15日のアジアカップ予選のサウジアラビア戦に召集されるかどうかはわからない。
 オシム監督は余計なファールで相手にFKを与えることを好まないから、森の荒々しいプレースタイルをあまり評価していない可能性だってある。しかし、味方GKの判断ミスを怒鳴りつけるなど、その闘争心は現在の代表に最も欠けているものだ。オシム監督によれば”ポリバレント”という単語は化学用語とのことだが、森という要素で日本代表にどのような化学反応が起こるのか、ぜひとも試してほしい。