長崎県白西平産の更紗について、読み聞きした事を纏めてみました。
昭和三〇年頃、肥前地方の白西平の坪から採取した寒蘭苗から、大円舌無点の素晴らしい寒蘭の花が咲きました。地元の西彼町、西海町又、佐世保地区の先達の方たちによって早咲きの秋蘭として栽培をされていましたが、その後、寒蘭ブーム到来と同時に人気高騰して、県北地区の「秘蔵の寒蘭」として少し遅れて世に出た絶世の銘花の展示会用の大株です。後年、県北地区では各地の蘭会で白西平産の更紗無点花が多数命名登録をされていますが、谷を挟んで左右の「一の谷」と「二の谷」から採取をされた更紗花は大別して二通りに分かれます。
一の谷からは「泰翔」「日本一」「力王」「天彦」などが知られています。二の谷からは「憧心、大雄、西誉、明神、寿心、王心、悠鳳、大隆、大神、眞心、誠心、無心、千鶴の舞,大美の華,西寿、西鷲、大幸望、紅鳳翼、西海の誉、白西錦」と、大変多くの花が各会で登録をされています。
端的にその特徴を言うと「一ノ谷」の坪の花は花弁に厚みがあり葉性ともにチャボ風の特花で魅力に富んだ今尚、流通数の少ない超高級品種となっています。「二ノ谷」の花の特徴は古典的な切れの良い展示会向きの銘花です。こちらは現在増殖株も増えてはいますがその割に大株の流通は殆ど無く、全国更紗系の中の一級の人気種となっています。 写真は、一ノ谷の坪「泰翔」上の写真、と同じく「蘭王」下の写真です