とはずがたり

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緊急事態宣言でできることは?

2020-04-06 15:20:31 | 新型コロナウイルス(疫学他)
様々な方面からの要望(突き上げ)もあり、安倍総理もいよいよ緊急事態宣言前夜という雰囲気を出しておられます。私自身は罰則規定のない緊急事態宣言にあまり意味はない、と考えているのですが、仮に出た場合にどのようなことが可能になるかを小池都知事のコメントなどを踏まえて考えてみたいと思います。
①外出は?:これについて小池知事が「都民の自粛などを要請」という言葉を使っておられるように、海外のように罰金とか罰則を科すことは現行の法律では不可能と思われます。それでは現在の要請とどう違うのかということですが、「周囲の目がより厳しくなることにより、外出しているヒトをお互いに監視して非難しあうことで抑止力になる」という嫌な世の中が来るというのが私の予想です。
②イベントなどは?:小池知事は「各施設やイベントの主催者には施設の使用停止などを要請」とおっしゃってますが、すでにかなりのイベントが中止になっているので、緊急事態宣言によってさらに小規模のイベントも中止になることが予想されます。私としては長崎県がやったように、少なくとも都の有する色々な施設(美術館、動物園、図書館、イベント会場など)は当分休業にすることを提案したいと思います。
③飲食店は?:せっかく緊急事態宣言を出すのであれば、飲食店の休業は徹底的にやってほしいところです(一人暮らしの大学生とかが困るかもしれませんが)。もちろん十分な休業補償を支給することは必須だと思います。
④交通は?:本当はせっかく緊急事態宣言を出すのであれば公共交通機関を停止するくらいのことはやってほしいですが、これは難しいでしょうね。都営地下鉄の運行本数を半減するくらいのことはやっていただきたいです。
⑤出勤は?:今の法律では出勤を禁止する、あるいは自宅勤務を強制する、ということは実際的には不可能でしょう。結局お願いベースになるとあまり実効性がないのでは、という気がします。とはいえ公共交通機関の制限は、これと連動して行わなければ、結局ラッシュ時の混雑が悪化するだけ、ということになってしまいます。
いずれにしてもどうなったら制限を解除する、というゴールをきっちり決める必要があると思います。また緊急事態宣言を出した効果の検証は必要です。Google位置情報などを使っても良いのかもしれません。 
⑥医療崩壊は?:さて重要なのが緊急事態宣言で医療崩壊を防げるか、ということです。緊急事態宣言のベースになる新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)の中で、医療関係のところを独断で要約してみますと
〇第三十一条 医師、看護師に対して当該患者等に対する医療を行うよう要請することができる。医療関係者が正当な理由がないのに要請に応じないときは、厚生労働大臣及び都道府県知事は、当該医療関係者に対し、患者等に対する医療等を行うべきことを指示することができる。(→医療従事者に診療を要請・指示できる)
〇第四十七条 指定公共機関及び指定地方公共機関は、新型インフルエンザ等緊急事態において、医療又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造若しくは販売を確保するため必要な措置を講じなければならない。(→物品の確保を行う)
〇第四十九条 特定都道府県知事は、臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋又は物資を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者及び占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。(→診療場所を確保する)
あたりが重要かと思います。
第三十一条については、現在でもかなりの医療機関が協力してくださっているわけですが、それでも非協力的な医療機関に対して、ある程度強制的に協力をお願いすることができるようになるかもしれません。また緊急事態宣言に積極的な団体の一つが日本医師会ですので、おそらく多くの日本医師会の会員の方々にはご協力をお願いできるのではないかと思います。
第四十七条に述べられている物品の確保は医療機関にとって極めて重要です。今のところ(軽症であっても)新型コロナウイルス患者の医療に必要な医療物品は桁違いに多くなっているので、医療崩壊防止の第一歩である医療従事者の安全確保のためにもこの点は是非最優先で取り組んでいただきたいと思います。
第四十九条について、法律が施行されても強制的な土地や施設の召し上げというのは不可能と思いますが、現時点でもホテルなどを自主的に提供くださるという申し出がすでにあるようですので、緊急事態宣言を出す理由はあまりないように思います。
ということで、医療崩壊を防ぐという意味では緊急事態宣言を出しても大して変わらないのでは、というのが私の意見なのですが、もし出すのであれば、他のことはともかくとして、医療機関への物品確保を最優先に行っていただきたい。アメリカの買占めに負けることなく、またN95マスクを一般の方が購入したりという話もうかがっていますが、そんなことは決して許さず、現在以上に徹底して必要な物品が必要な医療機関に十分に支給されるようご手配いただきたいと思います。 


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