新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子として確実なものが糖尿病などの併存症および高齢です。高齢者で重症化するメカニズムとしては元々の併存症が多いこと、気道の分泌が少ないためウイルスの喀出が不十分であり、また誤嚥もしやすいため、より多量のウイルスに肺が曝露されること、血管の脆弱性や凝固能の異常のため血栓症が生じやすいことに加えて加齢に伴う免疫系機能の変化(自然免疫や獲得免疫の低下、inflammagingと呼ばれる慢性炎症状態など)が関与すると考えられています。この総説は季節型コロナウイルス、SARS, MARS, COVID-19などを対比させながら、加齢と免疫機能について簡潔にまとめられています。サルの感染モデルやACE2トランスジェニックマウスなど、動物モデルから明らかになってきたことも多い一方で、実際の臨床例では必ずしも重症者でウイルス量が多くないことなどの矛盾も報告されており、COVID-19と免疫系との関係についてはまだ解明されていない点も多いようです。
JCI - Age-related susceptibility to coronavirus infections: role of impaired and dysregulated host immunity
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