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『投名状』鑑賞後レビュー(ネタばれ注意)

2007年12月24日 22時30分04秒 | お仕事日記
《投名状》7分間予告編

12月13日、とうとう念願の『投名状』全編を鑑賞しました!
鑑賞後のレビューを書くのが遅くなってしまいましたが…
前回、10月20日に香港にある陳可辛監督の事務所へお邪魔して、『投名状』のさわりと言うか、30分程度のあらすじを鑑賞して来ましたが、やはりテレビの画面で観るのと、大きなスクリーンで観るのでは作品の残酷さ、生々しさ…どこを取っても迫力が違いました。

これより先、ネタばれ注意です

『投名状』は陳可辛監督初の時代劇映画ですが、今までに製作されて来た現代を舞台にしたロマンチックなラブストーリーとは時代背景も違えば、はっきり言ってロマンチックさとはかけ離れた血腥く、生々しい作品で、戦争のシーンでは斬られた腕や脚が飛び散っていたり、大砲の弾に当たった兵士が粉々になったり…本当に血みどろの肉弾戦でした。

龐青雲ベッドシーン大幅カット
気になったのは様々なシーンがカットされていた点でした。
山村で主役の三人が兄弟の誓いを立てるシーンでは、洞窟内で人を殺し生贄を捧げるシーンもカットされていましたし、李連杰初の濡場が全部カットされていた事でした。
李連杰の濡場(ベッドシーン)は、前々からメディアでも取り上げられ、インタビューなどでも質問されていたので、期待していた人も多かったと思います。台湾プレミアでは、このベッドシーンのカットについて金城武さんが「涙が出そう」と冗談ながらに語っていました。

過激なベッドシーンが大幅にカットされた事で李連杰演じる龐青雲が、蓮生(徐静蕾)に対する痴情と、理想の方向性の違いから趙二虎(劉徳華)と決裂し、作品の終盤で龐が趙を暗殺するストーリーがトーンダウンしてしまった気がします。…と言うのも、この作品の中で金城武演じる姜午陽はとても単純、純朴な性格なので龐と趙の不和の原因がすべて蓮生だと思い、泣き泣き蓮生を殺すと言う件(くだり)があるのです。(詳しくは後ほど)

龐が趙と決別した背景には、蓮生に対する感情もありますが、皆から慕われている趙のカリスマ性に嫉妬と恐れを抱いたからだとも思います。
趙二虎のカリスマ性とは



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趙二虎は貧しい山村を根城にする土匪(山賊・盗賊)の頭です。人情に厚く義理堅い彼は、理想を叶える為には手段を選ばない非情とも言える龐青雲と対極にある人物だと言えます。しかし、人情や義理が彼の魅力であると同時に弱みであり、龐と理想の方向性を巡り決別し、最期、清の役人達の命令で、龐に裏切られて暗殺されてしまいます。律儀な彼は兄弟の誓いを立てた龐に裏切られるとは思っていなかったのでしょう。

揚州痩馬・蓮生
蓬生を語る上で押さえておかなくてはならないのが、揚州痩馬と言う言葉と、彼女の生い立ちです。
「揚州痩馬」と書いても「馬」とは関係なく、ここで言う「痩馬」とは揚州に売られ、養われている金持ちの妾や遊女(娼妓)候補の娘達の事です。貧しい家の娘達は7、8歳で人買いを経て揚州にある妾や遊女の仲介をする商人に売られます。そこで、琴、碁、書画、踊り等の厳しい教育を受け、運が良ければ裕福な商人や役人、貴族等の妾として売られ、裕福な暮らしができますが、売れ残りは娼妓として売られる事になります。

蓮生は少しでも道が開ける様、幼い頃から厳しい教育に耐えて来たので、裕福な暮らしに人一倍憧れ、文化的教育を施された彼女の望む理想の相手とは山賊等とは程遠い文武両道タイプの文化人や裕福な男性と言えます。

彼女は売られる前に趙に助け出され、その後は趙と生活を共にしていますが、裕福な暮らしの為に努力して来たのに、趙との生活は貧しい山村での生活で、彼女の望むものとは大きくかけ離れたものでした。趙に対して恩を感じているものの粗野で文盲の彼を心から愛する事が出来ず、何度も山村を逃げ出しては、山村に戻ると言う生活を送っています。

その何度目かの逃走中に、戦場から逃れて来た龐と出会い、お互いの身の上を語るうちに恋に落ち一夜を過ごします。お互いの名前も知らぬまま分かれた二人は皮肉にも山村で再開し、蓮生は趙への恩と龐へと恋心の狭間で苦しむ事になります。
龐が現れてからの趙に対する表情も引きつっていたり、何時も龐の事を見つめていたりと、戸惑いや苦痛の表情が多くなり、女性の心の移り変わりを良く表現していると思いました。
しかし、趙と龐の決裂から、二人の不和の元凶だと思っている姜に殺されてしまうと言う悲しい最期を迎えます。

この時代、多くの女性が自分の思うように生きる事が出来ず、時代と他人に翻弄されて死んでしまった彼女の身の上が不憫に思えて仕方ありません。
もし、彼女が本当に恩知らずな女だったならば、早くに趙を裏切って龐を選んでいたのではないでしょうか。ただ、それが出来なかったのは趙の人柄を理解し、良い人だと認めていたからだと思います。

姜午陽の純真さ



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三人の義兄弟の中で誓いの言葉「兄弟殺我兄弟者、必殺之」(兄弟で兄弟を殺した者、必ず殺すべし)を一番徹底していました。映画の中のナレーションも姜午陽(金城武)だったので、作品全体が彼を中心とした見方になっているのだと思いました。

姜は趙の弟分であり、趙を実の兄の様に慕っていましたが、龐の出現が二人の仲を引き裂きます。純粋な彼は、龐の胸の内にある思惑を見抜けぬまま、すっかり龐を崇拝(盲信)しきってしまい、趙と決別する事になっても後悔はしないとまで言いました。
しかし、姜はその純粋さが仇となり龐に丸め込まれ、気が付いた時には兄と慕った趙とは決裂してしまいます。そして、蓮生を二人の不和の原因だと思い、蓮生を殺します。
龐と趙の決裂は蓮生を巡っての事だけでなく、二人の性格と理想の方向性によるものも大きいので、蓮生を殺せば丸く収まると言う事ではなかったのです。
ただ、龐と蓮生のベッドシーンがカットされた事があるせいか、二人の男女関係がボンヤリした感じになってしまい、蓮生が殺される場面も何となくチグハグな感じを受けました。
ここはもっと痴情に溺れる感じあれば良かったのかなぁ…とも思いました。そうしないと、姜が龐と趙の決別は蓮生が原因だと思い込む(考える)のに、理由が不十分な感じがしてしまいます。

話は飛んで…
クライマックスの龐との格闘は凄まじいものでした
骨はボキボキ 鼻血ブー…の満身創痍でも立ち向かう姿が痛々しいです。

ここで、姜が龐に襲いかかっても誰も止めなかったのは、二人を殺し合わせる為に官僚たちが仕組んだ罠だったのでしょう。ご丁寧に鉄砲まで用意して、龐を暗殺させる計画は完璧だったと言えます。また、姜を表向きの暗殺者として自分の手を汚さずに、殺害する計画はとても周到です。

全体的な流れを観ると、龐青雲は官僚たちの思い通りに動く、将棋のコマでしかなかったのではないかと思います。龐は野心家で武術の腕も立ち、策略家な点で軍師としては才能があったとも言えますが、官僚には向いていない人物だと言えます。

所々飛ばして書きましたが、見応えがある作品である事は確かです!
また、この作品はただ単に英雄が活躍して悪者を倒すだけの勧善懲悪的な作品ではありません。
そこの所も、もっと詳しく書きたいのですが、そこは映画を観てのお楽しみと言う事で…、早く日本公開されると良いなぁと思います。

「投名状」グッズがぞくぞく日本でも売られ始めておりますが、「投名状」のストーリー版の漫画が大阪のチャイナセンター様のHPで紹介されています。もし、中国語版でも欲しいと言う方はご参照下さい。

チャイナセンターHP(こちらをご参照下さい)

チャイナセンター様には、私が前回「七剣」のイラスト集を担当した時にもお世話になり、イラスト集を輸入、販売して頂き感謝していおります。
フィギュア等も予約できる様ですが、こちらは作りが成功で衣装等も細かく再現されているのが特徴です。

ちなみに…私が以前ブログで紹介した「投名状」のスター着用の衣装ですが、劇中でアンディや金城武が着用している、乞食の様な服は一着800~1000元(約1万5千円)もかかっているとの事。着古した感じにする為にわざと汚したり、ツギハギにしてボロボロにしているのですが、あんなボロ服が1000元とは…、ビックリです。


日本で購入可能な「投名状」関連グッズ



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