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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

2009.09.15

2009年09月15日 22時26分18秒 | オフタイム
 9月も半分が過ぎ、明け方などは、うっかり窓を開けていると肌寒いくらいになってきました。今月は、いつになく時間が過ぎるのが早く感じられます。
 個人的には、20代の終わりが間近に迫ってきています…

 僕の好きな作家は、29歳になって小説を書き始めたのですが、社会に出てからは特に小説を書こうと思っていたわけではなく(思う余裕もなく)、せっせと玉葱のみじん切りをしていたそうです。もう、朝から晩まで馬車馬のように働いて、いたそうです。ところが、ある春の昼下がりに野球を見ながら「そうだ、小説を書こう」と思った、と。そしてそれ以来数々の小説やノンフィクション、エッセーを書き、世界中で読まれるようにまでなっています。

 彼は、そのハードな労働に費やした時間は決して無駄なものではなく、「自分というものを確立するための時間であり、経験であった」と言います。約7年…

 もちろん、自分というものを確立するために必要な期間は、人によって様々だろうし、いくつになっても成長していける、という考え方もあります。ただ、この話から得られる教訓は、何かを為そうとする時には「現実の経験をひとつひとつ、煉瓦を積み重ねるみたいに大事に積み重ねていくしかない」ということでしょう。

 僕などは、特に「何かを書きたい」わけではありません。今のところは何とか画像診断の力を上げたいなぁ、と思っている程度です。そのために、毎日単純写真から、CT,MRIなどを読んでいるのですが、いつか「若い頃にどれだけ一生懸命勉強したかだよ」なんて思い返せる日が来たらいいな、と思います。

 今回の話の元ネタはこちら

やがて哀しき外国語
村上 春樹
講談社

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 「ロールキャベツを遠く離れて」です。
 小説も面白いけど、エッセーも面白いです。興味のある方は読んでみてください。1Q84が「イマイチ」と思った方も、一度みてください。

 明日は、ティーチング・ファイルからの症例の予定です。たぶん。
 そのうち落ち着いたら、guri先生のロシア紀行が投稿されるかもです。お楽しみに。

ティーチング・ファイル

2009年09月14日 22時16分49秒 | オンタイム
 放射線科医の楽しみの一つには、ティーチング・ファイル(TF)作りもあると思います。

 貴重な症例を風化させることなく、残していくために重要な作業でもあるでしょう。もちろん、王道として論文にして報告するという方法もありますが、症例報告レベルとまではいかない症例も含めて、自分のテーマを決めて、コツコツとファイルしていく。こういう作業です。

 放射線科医に成り立ての頃は、毎回見る画像が全て勉強で(いまでもそうですが)、とても全てをファイルすることなどできませんでしたが、最近ようやくファイルを始めるようになりました。ちなみに、先輩に教えて貰った、エクセルファイルにIDと所見メモを残す、という方法です。レポートをプリントアウトするとかさばるし、DICOMデータは管理の仕方がよくわからないし、パワーポイントは作る時間がもったいないし…という理由です。

 で、先日お聞きしたのですが、大先輩のU先生は約2年で500例のTFを作成されたそうです。TFで500例(しかも、あるテーマのみ)ということは、それよりも膨大な量の読影をされている、ということで、その仕事量にも驚きますが、あれほどの経験を積まれている先生でも、その分野において熱意を持ってTF作りをされているのだ!と頭の下がる思いでした。

 来月そのTFの一部を持って佐賀に講演に来られるそうです。なんとか都合をつけて勉強に行きたいと思います。そして、TFの作り方も教えてもらえたらなと思います。

2009.09.13

2009年09月13日 22時16分48秒 | オフタイム
 昨日の重い天気とはうって変わって、秋晴れのさわやかな一日でした。
 しかし、夜の間中、バイクの爆音と、苦情が来るからしょうがなく鳴らしているだけにしか聞こえないPCのサイレンに悩まされ、キツイ目覚めでした(かなり腹をたてています。どちらにも)

 午前中は、布団を干したりしてボーッと過ごしていましたが、なんとか体勢を立て直し、家族で運転免許の更新(&住所変更)に行ってきました。

 道路交通法の改正は、なんとなくニュースで聞いていた気がしますが、実際に講習を受けてみると、ずいぶん色々なことが変わっているようです。

 まず、「普通免許」が「中型免許」に変更になっていること(ただし、中型でも限定付き)。ご存じでしたでしょうか?
 そして、飲酒運転の周辺罪としては最も重いのが、車両を貸した罪、ということです。ドライバーと同じ罰が科せられるようです。
 
 日常では、ほとんど関係ないことのようですが、これらの法律の変更にはそれなりの背景があるようです。もう少し、社会のことにも目を向けていかなければならないな、と思った講習でした。

 その後は、基山町の家具屋に行ってきて、ようやく気に入ったソファを見つけることが出来ました。久しぶりに、ココロが弾みました。

 それにしても、前の夜が短いと、一日が長く感じられますね。バイクとPCに感謝しなければいけないですね。一晩中お疲れ様でした!
 

2009.09.12

2009年09月12日 23時11分57秒 | オフタイム
 昨日は、珍しく21時頃にコドモと一緒に眠ってしまい、更新を怠ってしまいました…朝も寝坊で、昼寝もぐっすり。

 なんとか、本日は間に合いそうです。
 ちょっと考えたことについて。
 専門的な勉強をしていないので、ウソがはいっているかもしれません。先にゴメンナサイと言っておきます。


 色々なことを「当然」と思う、ということについては、たまに気をつけて意識しておかないといけないことなのかな、と考えます。

 このことは、たぶん、自分の状況が変わらない、つまり「自己同一性」を維持するために必要な精神機能の一つだと思うのですが、それが問題を引き起こす場合もあるようです。
 では、色々なことを「当然」と思う、というのはどういうことなのか?
 まず、自己というのは外界との相対的な関係という側面があり、「自己同一性」を保つために、本来流動的であるはずの外界を、ある程度「決まったもの」として捉えるという作業を行っているのだと思います。
 そしておそらくは、個体レベルだけではなくて、集団としてもこの働きは拡大されて、機能しているのではないかな、と思っています。つまり、ある種のことを「自明のこと」として認識することで、集団としてうまくやっていくことができるのだと思います。たとえば、「道徳」と呼ばれるものなど。そして、人工的なものの代表は、「貨幣」などでしょうか。

 ちょっと、離れたかもしれません。

 このように考えると、個体あるいは集団を維持するために、必要な機能のようです。
 しかし、外界は流動的なものである、という事実(おそらく)が、様々な問題を引き起こすようです。そして、集団あるいは社会においては、全体としてこの流動性に柔軟に対応するために、個体の多様性が備わっているようです。

・ある種の物事を「当然のこと」と捉えやすいヒトと、そうではないヒト

 両極端には、この2タイプでしょうか。

 おそらく、前者は様々に事にキマリがあるかのように考え(あるいは無意識に)、それに従って行動する。そして、自分が「当然」と考えることは、堅実にこなしていく一方、イレギュラーな出来事に対応する柔軟性には欠けるかもしれない。そして、他者にもそれを要求する傾向があるかもしれない。
 後者においては、ものごとを比較的ゆるく捉え、マイペースに行動する。たまには、キマリすらあまり気にしないこともあるかもしれない。しかし、外界の変化への適応力も高く、瞬発力もある。

 もちろん、ヒトの持つ面は様々で、ある種のことに対しては、前者のタイプだが、その他の事に対しては、後者のタイプだ、ということも大いにあるでしょう。

 だんだん長くなってきました。元々、なんの話でしたっけ?

 そう、「色々なことを『当然』と思うこと」についてでした。
 前者の要素を多く持って構成されているタイプは、多分、放っておくとどんどんキマリが増えていって、大変なことになるようです。そしてヒドイ場合には、徐々に外界とのズレが大きくなっていくかもしれない。特に、後者のタイプとは。

 たまに、意識をリセットしないといけないな、と考えたのが、今回の文章の始まりでした。ただし、この機能は無意識の領域で働いているので、意識するということ自体が、難しいということ。意識の外にあるのもは、存在しない、というテーゼです。

 では、どうすれば良いか?

 最も良いのは、自分の意識の外と比較すること。簡単に言うと、ちゃんと話し合う、ということでしょうか。もちろん、以前流行った『バカの壁』じゃないですが、そんなに簡単に物事は解決しないかもしれない。でも、少しずつ大きくなっていくズレは、出来る限り修正したほうが良いとも思う。

 そういう事を考えたのでした。

 僕?わかるヒトはわかると思いますが、大部分前者の要素で構成されているようです。面倒ですよ、いろいろ。

2009.09.10

2009年09月10日 22時21分53秒 | オフタイム
 当直明けです…
 朝からカンファレンスやって、読影して、夕方カンファレンスに出て、勉強会に出て。
 胸部漬けでした。
 症例検討はだいたいわかったので、少しだけ気持ちがhighになりました。

 ところで今週は夏休みのために、医員が2名いないので、結構キツイ日が続いています。

 良さそうなニュースもありそうですが、確定!ではないかもしれないので、まだ伏せておきます。酔っぱらってしまったことが、吉とでるか…?僕の話じゃないですが。

 ちなみに、昨日は認定医、専門医の合格祝いがありました。全員合格!おめでとうございます。

特集 3T MRIの臨床-頭部の使えるシークエンス-

2009年09月08日 22時11分05秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 久しぶりの図書紹介です。
 先日の九州MRI研究会後に、読み返してみました。
 特集 3T MRIの臨床-頭部の使えるシークエンス- です。


画像診断 Vol.28No.10

秀潤社

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 3T MRI装置も、臨床的に使用できるようになって、もう数年でしょうか。いや、僕が放射線科医になった年に、SIEMENS MAGNETOM Trio(& Avanto)が稼働しだしたので、まだまだ最近のこと(!)だと思います。

 3T装置は、一般臨床のDr.からは、CTの多列化と同様に「素早く、綺麗な絵が撮れるようになったんだろう」思われていることが多いのですが、そんなことはなく、市販車からF-1に乗り換えるような難しさがあるようです。
 まず、高磁場の物理特性を理解して、それ故に作り出された様々なシークエンスを理解して、上手く症例を選んで…

 僕らくらいの若手でも、MRI当番をしていると、新しい3T装置で撮ってください、といった依頼を受けることがあるので(最近は減ったかな…)、目的に適った絵を撮ってもらうために、この辺りを理解する必要があります。

 本書では、サブタイトルに「頭部の…」とあるので、ちょっと手が伸びづらいのですが、長縄慎二先生、青木茂樹先生らによる論文
「頭部3T MRIにおけるボリュームデータSPACE,true FISPなど T1強調画像,拡散強調画像」
 は、日常診療ですぐ使えそうなことがたくさん載っています。とてもオススメです。MRI指示出しの苦手意識が減るかも…

 この他にも、3T-MRIの物理特性はもちろんのこと、MRA, MRS, 造影, SWI, ASLなどについても載っています。ASLについては、当院でも結構な数が撮像されているので、原理等に興味のある方は、公式HPのPDFも見てください。


 さて、この記事を書くきっかけともなったGEのCubeについては、IDEALも含めてフリーのPDFがあったので、リンクを貼っておきます。
中上 将司: IDEAL,Cubeを中心に . 日放技学誌, Vol. 64, No. 12, 1600-1603, (2008)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrt/64/12/1600/_pdf/-char/ja/
 

2009.09.07

2009年09月07日 22時40分40秒 | オフタイム
 特に、これといったことのない平和な一日でした。

 貴重な体幹部の専門医が2名もいない、非常事態でしたが(夏休みです、普通に)なんとか無事に終えることができました。たぶん。

 今日もとても良く晴れていて、午前中に渡り廊下から見た空は、はっとするくらいキレイでした。いつの間にか、かすかに夏の色を残す、秋の空になっていて少し驚きました。

 そろそろ色々な準備を本格的にしていかなければ、です。

 

2009.09.05 九州MRI研究会

2009年09月06日 21時56分41秒 | 研究会・学会
 九州MRI研究会に出席するために、久しぶりに福岡へ行ってきました。
 前回は解答者だったのですが、今回はHさんに任せてしまっていたので(このところ連続でゴメンなさい)、気楽に出かけてきました。

 復習記事は、いつもどうしようかなぁ…と思うのですが、ちょっとヨユウがないのでサラッと流す程度にさせていただきます。ホントにサラッとです…オマケに、メモした冊子を後輩に預けてしまって手許にないので…

・上顎洞血瘤腫:真菌性上顎洞炎との鑑別が問題になりそうなMRIでした。T2WIで著明な低信号と高信号を含む、非常に不均一な信号パターン。被膜の有無と、T1WIの信号強度がポイントのようでした。ちなみに、T1WIは高信号や著明な低信号部分がありませんでした。メトヘモグロビンの信号は…?

・大腿内側筋内の血管腫:脂肪成分が多く、一部に充実成分がある比較的境界明瞭な腫瘤性病変。一見、肉腫系か?と思わせるような腫瘤でした。脂肪肉腫や、MFHなどと比べると内部の構造があまり不均一ではない点が鑑別とのこと。ちなみに、血管腫は、venous hemangiomaか、cavernous hemangiomaか忘れました。

・膵lymphoepithelial cyst:最近よく症例検討で見る気がします。DWIがポイントと思っていましたが、今回の症例のようなdaughter cyst(と、解説されていました)が見られる症例は、知りませんでした。不勉強でゴメンナサイ。

・肝細胞腺腫:ほぼ正常な肝に発生した境界明瞭な比較的大きな腫瘤性病変。比較的マクロな脂肪成分を含み、明らかな出血性分は見られない。ダイナミックは少なくとも、典型的な早期濃染パターンではない。一部は後期相まで持続していたような…EOB肝細胞相では取り込みあり。ポイントはなんだったかな?

・肝脾多発肉芽腫?サルコイドーシス?:肝、脾内に多発する小低吸収結節。分布はやや門脈周囲優位で、一見リング状病変に見えるところも。DWIでは高信号。ちょっと難しく、コメントはできません…あまり典型的ではないけど、肉芽腫性疾患かな?と想像できればよいのかな…

・肝硬化性血管腫:肝内多発T2延長病変。CTA,CTAPでは、アップにされていた病変はcapsular retractionがあり。できれば、EOBが見てみたかったです。

・Juvenile granurosa cell tumor:スペルが間違っていたらゴメンナサイ。後でメモをみて確認します。若年女性の多房性嚢胞性腫瘤。婦人科疾患はとても苦手で、わからないのですが、まるでmuchinous cyst adenomaみたいでした。過長月経という臨床像から、ホルモン産生腫瘍を鑑別に挙げるのがポイントだったようです。

・子宮内膜癌+黄色肉芽腫:これも確認します。画像としては、ほぼ通常の子宮内膜癌なのですが、in→out of phaseで信号低下をする部分があるのが問題点となっていました。病理学的には、比較的高頻度にあるそうですが、画像では報告がなく、「なんだろう?変な肉腫成分か?」と悩む可能性もあるということです。ウチは、子宮体部のルーチンではT1WIはdual echoで撮っていないので、こんなこともあるんだ…と勉強になりました。


 そして、特別講演は膝MRIについてでした。また時間のあるときに、書こうとおもいます。CUBEという撮像シーケンスがSIEMENSで何に当たるかを調べなきゃ、です。3D撮像法で、可変フリップ角を使用するT2WIコントラスト。3D-SPACEのような感じなのかな…?とてもキレイな絵でした。



 会の後は、梶ぽん幹事で飲み会でした。美味しい炭火焼き料理のお店で、楽しく過ごすことができました。九大の先生方も来られていて、色々とお話をさせていただきました。勉強になります。

2009.09.04 サケのホワイトソース煮

2009年09月04日 21時41分16秒 | オフタイム
 今晩は、昨日買ってきたサケを使って、ホワイトソース煮を作りました。

・まずサケの切り身に両面ハーブソルトをかけておく
・じゃがいもの土を洗って、水からゆでておく
・キノコは石突きを除き、丁度良い大きさに切っておく、あるいは小房にわけておく
・ゆであがったじゃがいもの皮をむいて、一口大に切る
・さけの表面の水をキッチンペーパーでふいて、もう一度軽く塩をふって、小麦粉をまぶす
 余分な粉をはたいておく
・フライパンにサラダ油を熱しておいてから、バターを入れる
・バターがとけて、白い泡が出てきたら、キノコを炒める
・キノコをよけて、フライパンを傾けて溶けたバターを集め、そこにサケを入れる
・表面に焼き色がついたら、裏返してあまったスペースにじゃがいもをいれて軽く炒める
・残った小麦粉を牛乳で溶かして、フライパンに入れる
・固まりにならないように、フライパンをゆすってホワイトソースぽくする
・ダシ入り液状味噌をほんの少しいれる
・食材がなじむまで火を通してできあがり

 ダラダラ書きましたが、結構簡単にできした。味もまぁまぁでした。コドモも良く食べてくれました。
 ちなみに、手順も分量も、ほぼデタラメです。美味しくできるかはわからないので、食べてみたい方はちゃんと調べてくださいね。

 さ、明日は九州MRI研究会です。

2009.09.03

2009年09月03日 22時16分27秒 | オフタイム
 8月の末から一転して、蒸し暑い夕方でした。どうも、日中雨が降っていたようです。入道雲がまだ残っていて、夕焼けに照らされていました。

 今日はコドモを迎えに行って、そのままスーパーで買い物をしてきたのですが、キノコやらサンマやらサケやら、秋の味覚がたくさん並んでいました。サンマは夕方だったせいか、イマイチ目つきが気に入らなかったので、キノコとサケとじゃがいもを買ってきました。
 サケのホワイトソース煮でも作ろうかな、と思っていたら、ヨメが仕事を早くに終えて焼き鳥を買ってきていたので、そちらを食べました。普段、肉は食べないコドモが大喜びで、つくねの串を頬張ってました。
 どっち似だろう?

 当直明けの、比較的のんびりした夜です。