佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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第166回 日本医学放射線学会地方会 症例検討 後腹膜原発SFT

2008年03月01日 17時03分32秒 | 研究会・学会
先日鹿児島で開催された、第166回日本医学放射線学会地方会の症例検討、復習記事第4弾です。本症例を含め、残り2症例です。
 
 本症例は正解者0名の超難題です。うまく記事にできるといいのですが・・。

 症例は30代後半女性。不整脈でフォロー中に腹部超音波で「肝内」に腫瘤性病変を指摘された。血液検査所見はPIVKA-Ⅱの軽度上昇のみ。その他、既往歴・生活歴に特記事項なし。

 提示された画像は単純&Dynamic CT, 単純&Dynamic MRIです。

 所見です。

 肝右葉背側に、巨大な腫瘤をみとめる。肝、右腎との境界は比較的明瞭である。正常副腎は同定困難である。IVCは腹側へ圧排されている。
 単純CTにて内部はやや不均一な低吸収腫瘤を呈する。Dynamic studyでは辺縁優位に早期濃染をみとめ(一部は内部にも索状~不整形の早期濃染域あり)、漸増性に内部に増強効果が広がっていく。
 MRIにて、T1WIでは不均一な肝と等信号~低信号を呈し、T2WIでは不均一な高信号を呈している。Chemical shift法では脂肪の存在はみられない。Dynamic studyのパターンはCT同様である。内部の構造は不均一で、隔壁様構造や嚢胞様部分もみられる(詳細な所見は忘れてしまいました・・ごめんなさい)
 右下横隔動脈の拡張がみられるが、総肝動脈・固有肝動脈の拡張は目立たない。

 解答:後腹膜原発孤立性線維性腫瘍(Solitary fibrious tumor: SFT)
 確定診断は、術後の組織標本から初めてついたとのことです。Hemangiopericytoma類似の組織像(Hemangiopericytic pattern?この辺りの分類についての明確な記載をみつけられませんでした)だったようです。

 腫瘤の主座の同定から、組織型の鑑別などまで困難な症例でした。内部不均一な性状、強い増強効果やvascularityから、paragangliomaやpheochromocytomaなどを鑑別に挙げた方が多かった?ようです。
 症例報告レベルのものを症例検討に出すのはどうか?といった意見や、丁寧に読影すればある意味典型的な画像であるのでは?といった議論が交わされました。  
 
 
 文献をみつけるのも困難でした
 肝原発ですが、比較的提示の画像と似ていたので
AJRからSolitary Fibrous Tumor of the Liver
 まだ、フリーではとれませんが後腹膜原発のものとしては
 AJR: 188, June 2007のMRI of Retroperitoneal Solitary Fibrous Tumor in the Suprarenal Resion
 を参考にさせていただきました。ただ、どちらもHemangiopericytic patternではなかったようです・・・よい参考文献をご存じの方がいらっしゃいましたら是非ご教授ください。