11月23日(金・祝日)、東京港区のビジョンセンター浜松町において「佐渡を世界遺産にする首都圏の会」の第4回総会に併せ、「世界遺産になること―その意義、その責任」と題する講演会がおこなわれました。
講師は稲葉信子氏(筑波大学大学院教授)。先生は文化庁勤務を経て、ユネスコの世界遺産関連機関に勤めるなど長年のキャリアのほとんどが古代建築と世界遺産関連という世界遺産の専門家です。筑波大学では世界遺産・世界文化遺産学専攻の教授で、日本遺産選定委員会委員長、国際機関ICOMOSの会員。また佐渡金銀山世界遺産学術委員会副委員長を歴任されている方です。
今回の講演は従来の佐渡金銀山に関する講演とは異なり、世界遺産とは何か、世界遺産になることの意義から始まり、現存の世界遺産の分類から、世界遺産を決定するICOMOSの様子、時代と共に変遷する選定基準、最近登録された日本の世界遺産の価値など、多岐にわたる内容で非常に有意義な講演でした。
佐渡金銀山については、世界中の世界遺産群の中で、佐渡金銀山が世界遺産に選ばれるに足りる「顕著な普遍的価値」を示すことの重要性を話されました。その価値が世界中の世界遺産群、そしてアジアの中の世界遺産群の中で抜けているジグゾーパズルの空白の1個を埋める存在になることが重要である、ということです。
申請する側の論理だけでなく、選定委員、ひいては世界の人々に訴えかける佐渡金銀山の価値を見つけることの大切さを繰り返し強調されました。
世界遺産の選定について、このような包括的で専門的な解説を聞く機会は自分は今までなかったので、大変新鮮で有意義な講演会でした。聴衆は事務局発表では160名超ということでした。横に広い会議室で3台のプロジェクターを駆使した広い会議室がほぼ満席、盛会でした。
なお、この講演会が始まる直前、午後1時より同会場・別室にて「佐渡を世界遺産にする首都圏の会」の第4回総会が開かれ、本年度の活動報告、収支報告、次年度の活動計画等の報告がおこなわれました。
司会進行は広報委員長の伊藤功氏
開会の挨拶をする「首都圏の会」会長 坂田正通氏
新潟県教育庁文化行政課・課長の牛膓 明氏は県並びに佐渡での世界遺産の支援活動について報告。
新潟県人会を代表して山本副会長がご挨拶。今年の伊勢神宮・神嘗祭での佐渡金銀山PRのエピソードを披露。
佐渡市世界遺産推進課の深野まゆ子氏は今年の国内推薦選定漏れの経緯と今後の課題についてご説明。
来賓挨拶の後は議事の進行。
事務局長・石塚豊氏による会の活動報告
会計担当の和泉賢一氏による会計報告
約1時間で第4回総会は終了、隣の会場での講演会に臨みました。
なお、講演会の途中には佐渡汽船の関係で遅れて到着した三浦基裕市長も参加。講演会の締めで五回目のチャレンジに向けて参加者のご支援・ご協力をお願いしました。
(報告:小路 徹)