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今日も映画でまったり

アルキメデスの大戦

2019-08-11 23:23:51 | 映画 2019
原作は現在「ヤングマガジン」で連載中。
第二次世界大戦前の1930年代、
欧米列強との対立を深め、軍拡路線を歩み始めた日本。 
対米開戦を視野に入れた大日本帝国海軍の司令部は、
巨大戦艦を建造し、日本の国威を世界に示そうと計画します。
「 今後の海戦は航空機が主流」という自論を持つ海軍少将山本五十六は、
巨大戦艦の建造がいかに国家予算の無駄遣いかを主張し、
その無謀な建造計画を阻止しようと動いていました。
そして巨額の国費を投じる建造費の見積額に矛盾を発見。
彼は若き数学者櫂直の頭脳を見込んで、
見積額の不正を暴くための協力を要請するのでした。
頑なに海軍への入隊を拒む櫂に海軍少将山本五十六は言います。
「 巨大戦艦を建造すれば、その力を過信した日本は戦争を始める」
戦争で炎の中逃げまどう人々、その中に櫂にとって大切な人の姿も・・
そんな光景が櫂の脳裏を横切ったときに彼は、
戦争は始めてはいけない、と軍隊にはいることを決心するのでした。

物語の冒頭から「戦艦大和」の戦闘シーンが映し出されます。
攻撃してくる無数の戦闘機を、
「戦艦大和」の乗務員たちは、ヤケクソのように咆哮しながら迎撃しています。
敵の戦闘機からの攻撃に兵士たちは次から次へと被弾、死んでいくのですが、
観客は、息絶え血を流し投げ出されている若者を見せつけられます。
私がええ!?と思ったのが、
傾いた「戦艦大和」の甲板上に打ち上げられた海水が、
ざざざざ~っと流れ落ちるのですが、それが赤い。
血の色が混ざっているのだとわかったときにはぞっとしました。
このシーンが妙に生々しい・・・
しかも敵機はなかなか撃ち落とせず。
当時、世界一大きく(全長263m)最強だと言われていたけど、
ほぼやられっぱなしです。
護衛の航空機なしでの出撃だったからね~。
そして最後には撃沈されてしまいます。
三千人以上の若者を道連れに。
映画のラストで海軍造船中将平山忠道が、
「戦艦大和」を建造する理由を明かすのですが、
冒頭のショッキングなシーンはそのためだったのね、
とあらためて気づくという・・・
いやいやいや、フィクションとはいえ納得できない。

本作の主人公櫂は、
帝国大学で百年に一人の逸材「アルキメデスの再来」と称される天才数学者です。
彼は尾崎財閥の援助を受けて大学に通い、令嬢の家庭教師もしていましたが、 
令嬢との仲を疑われ、退学に追い込まれます。
数学を偏愛、なんでも測りたい、特に美しいものは測らずにはいられない、
そんな櫂は、他の人から見たら変わり者ではありますが、
( 真面目に変わり者を演じられる将暉くん、凄い・・で、笑えます)
それでもアメリカ留学をやめて、大嫌いだった軍隊にはいったのは、
なにより大切な人を守るためでした。
数学で戦争を止めようとしたのです。

方程式が黒板いっぱいに書かれるのですが、
算数だった時代から数字が苦手だった私には、
わけがわからないながらも、ただただ尊敬するしかありません。


監督 山崎貴 
櫂直 菅田将暉 東京帝國大学数学科で天才と呼ばれた数学者
山本五十六 舘ひろし 櫂をスカウトした海軍少将。海軍第一航空隊司令官。
田中正二郎 柄本佑 海軍少尉 山本五十六から櫂の付き人を命じられる
尾崎鏡子 浜辺美波 軍需産業で急成長を遂げた財閥尾崎家令嬢
大里清 笑福亭鶴瓶 大阪の小さな造船会社「大里造船」社長
大角岑生 小林克也 軍事会議の決定権を持つ海軍大臣
宇野積蔵 戦艦長門艦長 小日向文世 海軍大佐、「戦艦長門」の艦長
永野修身 國村隼 山本五十六の上官、海軍中将 
嶋田繁太郎 橋爪功 海軍少将「巨大戦艦建造計画」を強く推し進める
平山忠道 田中泯 海軍造船中将「大和」を設計、建造計画を進めていく
2019年7月公開


造船会社「大里造船」の社長は笑福亭鶴瓶さんが演じてますが、
原作で登場する社長が元々、鶴瓶さんをモデルにキャラを作っているそうで、
だから漫画に登場する社長さんそのまんまです。