あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書

2018-04-10 23:25:49 | 映画 2018
ベトナム戦争が激化していた1971年のニクソン政権下のアメリカ。
アメリカ国民には戦争に対する疑問や反戦の気運が高まっていました。
そんななか、ニューヨーク・タイムズ紙が、
ベトナム戦争を分析、報告した国防総省機密文書、
「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をスクープします。
勝つ見込みがまったくないにもかかわらず、
国民を欺き、ベトナム戦争をずるずると続けているという内容でした。
研究員のダニエル・エルズバーグが政府に依頼され、
ベトナム現地に出向いて取材、作成したレポが流出したのですが、
それはエルズバーグ自身がその悲惨な状況に疑問を抱き、
告発しようと研究所から持ち出したのです。
政府は報道の自由を統制し「戦争中における政府の機密漏洩」
という事態を問題視してタイムズ紙の記事を差し止めます。
一方、ワシントン・ポスト紙はレポ全文を入手。
ポスト紙は拘置されることも覚悟で、記事を世に出すことを決めました。
訴えられ裁判となった、ワシントン・ポスト紙とニューヨーク・タイムズ紙。
他の新聞社は後押しするように、
最高機密文書に関する記事を一面に載せるのでした。  


キャサリン・グラハムは、アメリカ初の女性新聞社主です。 
キャサリンの父親から会社を引き継いだ夫が自殺し、
彼女がワシントン・ポスト紙の社主となったのです。
いいところのお嬢さんから普通の主婦に、
そんなキャサリンは経営の素人で、戸惑ってばかり。
社でも能力がないと軽んじられていました。

「ペンタゴン・ペーパーズ」を社が入手したことで、
キャサリンは大きな決断を迫られます。
世に出すのか?
さまざまな思惑、助言、忠告を彼女は受けます。
でも最終的に彼女は自分で決断します。
「父のカンパニーじゃない、夫のカンパニーじゃない
私のカンパニーです!」
そう言い切るキャサリンはかっこいい。
女性の成長物語でもあるんだと感じました。



ニクソン大統領がポスト紙を罵っているシーンで終わるのかと思っていたら、
その後、暗闇に紛れて民主党選挙対策本部に忍び込み、
なにやらゴソゴソやっている怪しい人たちを映して、
え?と思っていたらここでエンディング。
なるほど、ここからウォーターゲート事件に繋がっていくんだね。

監督 スティーヴン・スピルバーグ
キャサリン・グラハム メリル・ストリープ ワシントンポスト社主
ベン・ブラッドリー トム・ハンクス ワシントンポスト編集主幹
トニー・ブラッドリー サラ・ポールソン ベン・ブラッドリーの妻
ベン・バグディキアン ボブ・オデンカーク ワシントンポスト編集局次長
フリッツ・ビーブ トレイシー・レッツ ワシントンポスト取締役会長。
アーサー・パーソンズ ブラッドリー・ウィットフォード ワシントンポスト取締役
ロバート・マクナマラ ブルース・グリーンウッド 第8代アメリカ合衆国国防長官。
ダニエル・エルズバーグ マシュー・リス 元アメリカ合衆国軍事アナリスト。
2018年3月公開


スピルバーグ監督は、
「 脚本の初稿を読んだとき、映画化まで2年も3年も待てるような作品ではない、
つまり、すぐにこれを映画化しなければならないと感じました」
と言って、本当に短期間で撮りあげたんだって。

「 権力は見張らなくてはいけない」
「 報道の自由を守るのは報道しかない」
そんな言葉が物語で語られています。
それを熱く体現しているのがトム・ハンクス演じるベン・ブラッドリー。
記事のためなら何でもするという過激な男で、海賊と呼ばれている、 
というキャラ設定ですが( 実際、そんな人物だったようです)
トム・ハンクスが演じると過激でも説得力があるわ~。 


シェイプ・オブ・ウォーター

2018-04-07 16:57:26 | 映画 2018
「シェイプ・オブ・ウォーター」を直訳すると「水の形」だそうです。

1962年冷戦下のアメリカ。
映画館の上にあるアパートで独り暮らしをしているイライザは、
子どもの頃の虐待のせいで声を失っています。
そのときの首の傷は、いまもくっきり残っています。
政府の研究機関で清掃員として働く日々を過ごすイライザ。
孤独な彼女の支えは、アパートの隣人であるゲイのジャイルズや、
仕事仲間でイライザを気遣ってくれる黒人女性のゼルダでした。
そんなある日、ホフステトラー博士によって研究機関に、
謎のタンクが運びこまれます。
生物が閉じ込められているらしい、とイライザは気づきました。
イライザにいつも不遜な態度をとるストリックランドが、
その生物に乱暴をしたらしく、そのために指を失う騒ぎがあり、
後始末の清掃で部屋に入ったイライザは、初めてその生物と対面するのでした。 
水の中で生きる、異形の存在である「彼」は、
アマゾンの奥地で神として現地人の崇拝を受けていたと噂されてました。
彼女は「彼」のもとへひそかに通うようになります。
手話を覚え、流される音楽に耳を傾ける「彼」
「彼」には知性があったのです。
少しずつ交流を深めていくイライザと「彼」ですが、
しかしここでは「彼」は研究対象でしかなく、ひどい扱いを受けています。
ストリックランドは生体解剖でこの生物の謎を調べようと主張し、
上官の許可をとってしまいました。 
イライザは「彼」を救出すべく、
ジャイルズに「彼」を救う計画に手を貸してほしいと懇願します。
一方、じつはソ連のスパイだったホフステトラー博士も、
ソ連から「彼」を処分するように圧力を受けていましたが、
殺したくない、と考えていたのです。 
決行日当日、同じ目的を持ったふたりは協力しあう事となり、
偶然いあわせたゼルダも手伝い、無事「彼」を救い出すことに成功。
イザベラは「彼」を自分のアパートに隠します。
そして、雨で増水した日に「彼」を運河から水中に返す計画を立てるのでした。
いよいよ決行の日となり・・・・ 


異形の生物と、言葉を失っている女性とのラブストーリーです。
「 私は喋ることができない。彼も言葉を喋ることができない。
 私たちには何の違いもない」  
と手話でジャイルズに一生懸命訴えるイザベラ。

「異種を超えた愛」という謳い文句につられて、映画館へ。 
なんでR15指定??と不思議に思いましたが、
映画が始まって早々に自慰シーンが・・・
こんなことはいけません!とお堅いことを言う気はありませんが、
この物語にこれ必要?
ふたりの愛に疑問符がついちゃうじゃん。
アパートの部屋を水浸しにして階下の映画館も水浸しにして、
「彼」とセックスするのにも違和感いっぱい。
人に迷惑をかけてはいけません!と説教したくなります。
こちらのほうはね、私としては、
最後、ふたりが海の中で抱き合う幻想的なシーンで初めて結ばれてほしい、
と願ってしまうんだけど、そういうパターンってありきたりなのかしらん。
イライザの首の傷が「彼」の力によって水中で呼吸できるエラに変わったときは、
ああ、こういうことかと納得。
ダークなファンタジーではありますが、
ハッピーエンドなのはなにより嬉しい。

イライザは決して綺麗とはいえない女性なのですが、
そのときどきで、ものすごく綺麗に見えましたよ~。

そして、ジャイルズがよかったなあ。
「彼」が暴走してジャイルズの飼い猫を食い殺して逃げたとき、
「これは彼の本能だから仕方がない」と言うんだよ。
猫が殺されたことは悲しいけど、
「彼」のこともわかって、認めているとこがすごい。
ジャイルズにも幸せになってほしいです。


ガラスの向こうとこっち側
究極の愛へと進んでいきます

監督 ギレルモ・デル・トロ
イライザ・エスポジート サリー・ホーキンス 
ストリックランド  マイケル・シャノン 研究機関の警備を担当する元軍人 
ジャイルズ リチャード・ジェンキンス イライザの住むアパートの隣人
異形の生物 ダグ・ジョーンズ アマゾンの奥地から連れてこられた
ロバート・ホフステトラー博士 マイケル・スタールバーグ 
ゼルダ オクタヴィア・スペンサー イライザの仕事の同僚
エレイン・ストリックランド ローレン・リー・スミス 
ホイト将軍 ニック・サーシー
2018年3月公開


ボス・ベイビー

2018-04-04 22:18:13 | 映画 2018
アメリカのアニメーション映画です。

7歳のティムは、両親の愛情を一身に受けて幸せに暮らしていました。
そんなティムの家に、ある日突然現れた赤ちゃん。
黒いスーツに白シャツ、ネクタイをビシッと締め、
チャキチャキ歩く姿は、どう見ても普通じゃない。
しかし両親はティムに、弟だよと紹介するのでした。
以来、ティムの生活は一変します。
両親は赤ちゃんの世話で手いっぱい、
以前のようには構ってくれなくなりました。
嫉妬もあってボス・ベイビーと反発しあうティム。
ボス・ベイビーはティムをベイビー・コープ社へと連れて行きます。
愛される赤ちゃんを世界中に届けていたベイビー・コープ社ですが、
いまその存在を、パピー・コーポレーションに脅かされています。
ここで働いていたボス・ベイビーは、上司のビッグ・ボスに、
「 パピー・コーポレーションの情報を持ってこなければ解雇する」
と言われたのです。
解雇されればコープ社特製の秘密の成分を持つミルクを服用できなくなり、
ボス・ベイビーは普通の赤ちゃんに戻ってしまいます。
そうなると、ティムの弟としてこのままずっと過ごすことになってしまう、
と、ボス・ベイビーはティムに言うのでした。
ボス・ベイビーを追い出したいティムと、ミッションを果たしたいボスベイビー。
それぞれの思惑で、ふたりは手を組んで行動することになります。


見た目は赤ちゃん、中身は仕事人間のおっさんボス・ベイビーは、
くすぐられて笑わなかったので、「経営行き」となった赤ちゃんです。
言動はしっかりエリートビジネスマン。
ちなみにくすぐられて笑った子は「家族行き」です。

ボス・ベイビーはね~相手が子供だろうが大人だろうが、
なにか問題がおこると、札束をばらまいて解決しようとするんだよ。
なのに可愛い。
生意気で、人を見下すんだよ。
なのに可愛い。 

一緒に行動していくうちに心を通わせてゆくティムとボス・ベイビー。
一時的に普通の赤ちゃんに戻ってしまったボス・ベイビーが、
そのままでは宇宙に飛ばされるという危機一髪のところで、
ティムが手を差し伸べてこっちへおいでと歌うシーンには、
ちょっと感動。
ビートルズの ♪ Blackbird でした。
ここで効果的に使うために、テンプルトン家の日常で、
このメロディを流したんだね。


監督 トム・マクグラス 
ティム 芳根京子 一人っ子として両親の愛情を一身に受けていたのですが・・・
ボス・ベイビー ムロツヨシ ティムの弟としてテンプルトン家にやってきた
フランシス・フランシス 山寺宏一 パピー社のCEO ベイビー社のトップだった人物 
テッド・テンプルトン 石田明 ティムの父親 
ジャニス・テンプルトン 乙葉 ティムの母親 
大人になったティム 宮野真守 
2018年3月公開


ティムの声が朝ドラ「べっぴんさん」で主演した芳根京子さんだったとは。 
ティムそのものの声だったよ~。