あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実

2020-04-26 17:16:37 | 映画2020
作家三島由紀夫が衝撃の自死を遂げた前年、
1969年(昭和44年)5月13日に、
東京大学駒場キャンパス900番教室(現・講堂)で、
三島由紀夫と、集まったおよそ千人の学生が熱い討論を交わしました。
討論は二時間半に及ぶものでした。
TBSが取材と撮影をおこなったその伝説の討論会の映像を、
元東大全共闘、三島と交流のあった著名人、楯の会メンバー、
三島文学を愛する文化人ら13名のインタビューとともに構成した、
衝撃のドキュメンタリーです。
天皇主義者でありつつ戦後の天皇制には批判的だった三島と、
過激な学生運動をリードした東大全共闘の面々の間で、
激しい( ちょこっとユーモアあふれるコメントあり)
議論が続いていきます。
「 言葉に力があった時代の最後だと思っている」
「 社会を変えていくのは言葉」
という熱い謳い文句につられて映画館に足を運びましたが、
一般庶民である私の感想は、
言葉が浮いてる・・・でした。
やたらと抽象的な言葉を使い小難しい言い回しを使い・・
あ、でもお互いに通じているから共通言語なのか。
でも、文豪や哲学者の著書から言葉を引用して論理を展開するのは、
ちょっとずるいよね。
自分の言葉で語ってください、と言いたくなります。
と、文句は言いましたが、けっこう面白かったよ。
三島由紀夫のイメージが少し変わりました。
意外にも可愛いところがあるんだね。


全共闘最大の論客と言われた芥正彦は三島の前に、
まだ赤ちゃんだった娘を抱いて現れます。
穏やかな、とぼけたお顔のまま、
三島との論戦では舌鋒鋭い。
鋭いけど、可愛い赤ちゃんを抱いたり肩車したり・・・
まるで漫画から抜け出てきたようなキャラ、
不謹慎にもそう思ってしまいました。
でもなんで赤ちゃん連れ?
三島先生としては意表をつかれるよね。
芥正彦、策士だなあ。
この子は伝説の討論会出席最年少になると思われるので、
いまどうされているのか調べましたが、わからず。

「 それでは日本人であるという限界を超えることはできない」
と三島を批判する芥に、
「 限界を抜けたいとは思わない」
と答える三島。
「 僕は最初から国籍はない」
芥はそう言いきりました。


監督 豊島圭介
三島由紀夫
芥正彦(元東大全共闘)
木村修(元東大全共闘)
橋爪大三郎(元東大全共闘)
篠原裕(元楯の会)
宮澤章友(元楯の会)
原昭弘(元楯の会)
清水寛(討論会場にいた新潮社カメラマン)
小川邦雄(討論会場にいたTBS記者)
瀬戸内寂聴
椎根和
平野啓一郎
内田樹
小熊英二
2020年3月公開





スキャンダル

2020-03-22 15:12:12 | 映画2020
アメリカ放送局で視聴率№1を誇っていた、
ニュース専門のケーブルテレビFOXニュースで、
実際に起こったセクシャルハラスメント事件を描いた作品です。
映画の原題は「BOMBSHELL」 
直訳すると「爆弾」という意味らしいのですが、
スラングとしては「性的に魅力のある女性」とも意味するらしい。

FOXニュースではCEOのロジャー・エイルズが、
独裁者としてすべてを支配していました。
ロジャーは女性キャスターを起用してセクシーさを前面に出し、
FOXニュースを成功に導いたのです。
その裏ではキャスター起用の代償として、
性行為を要求する男でもありました。
出世か?左遷か?首か?
それは彼の意向で決まります。
そのFOXニュースに激震が走ったのは2016年。
首を言い渡されたベテランキャスターのグレッチェンが、
ロジャーを告発したのです。
しかし局内では女性でさえロジャーを擁護する人がいるうえ、
自分の将来を考え、証言することを恐れる者多数。
そんななか、売れっ子キャスターメーガン・ケリーが、
過去に自分もセクハラ被害にあったことを証言します。
流れが変わり、多くの女性が受けた被害を証言します。
グレッチェンの録音テープも確かな証拠となり、
裁判でロジャーは敗訴、FOXニュースを去るのでした。

MeToo運動が始まるちょっと前の事件です。
保守的なFOXニュースでは、
ロジャーのみならず局内にセクハラは蔓延していたようで、
ロジャーがFOXニュースを去ったあとも、
結局局内のセクハラを容認する空気は変わらなかったとか。
メーガンは法学博士で元弁護士、
グレッチェンはスタンフォードを主席で卒業と、
錚々たる経歴と才能を持ちながら、
まず「女」であることと闘わなくてはいけなかったのね。
しかし、映画が始まってからの展開の早いこと!
事前に情報をいれてなかったものだから、
ついていくのに大変でした。
そうか~、トランプさんが登場していた頃か~・・・

えっと・・・こんなことを言ったらロジャーと同じレベル!
と怒られそうですが、
女性キャスターたちの組んだ脚が綺麗です~。

監督 ジェイ・ローチ
メーガン・ケリー シャーリーズ・セロン 売れっ子キャスター
グレッチェン・カールソン ニコール・キッドマン ベテランキャスター
ケイラ・ボシュビシル マーゴット・ロビー 新人キャスター
ロジャー・エイルズ ジョン・リスゴー FOXニュースCEO
ジェス・カー ケイト・マッキノン ケイラの同僚
2020年2月公開

シャーリーズがメーガン・ケリー本人にそっくりです。
「ウィンストン・チャーチル」で驚異の特殊メーク技術を披露した、
辻一弘さんが担当。
凄いね~、目を凝らして見つめても作り物だとは思えん・・・

ジョジョ・ラビット

2020-01-30 17:11:43 | 映画2020
第2次世界大戦のドイツが舞台です。
アドルフ・ヒトラーを崇拝する10歳の少年ジョジョは、
立派なドイツ軍兵士になることを夢見て、
青少年集団ヒトラーユーゲントに入団します。
ジョジョのイマジナリーフレンド(空想上の友人)は、
アドルフ・ヒトラー。
( 監督自らヒトラー役!!)
ヒトラーはジョジョに助言し鼓舞し、
常にそばにいてくれる存在でした。
ある日、訓練の最中にジョジョはウサギを殺せと命じられます。
腕の中のウサギを殺せないジョジョ。
教官たちは彼に“ジョジョ・ラビット”というあだ名をつけて、
笑い者にします。
ジョジョはヒットラーの鼓舞のもと、
別の訓練で暴走して大怪我を負ってしまいます。
気落ちした日々を送っていたジョジョでしたが、
隠し部屋にいたユダヤの少女エルサと遭遇してびっくり。
ジョジョの母親が匿っていたのです。
エルサの、自分の境遇に決して負けない強さに、
最初はぶつかりながらも親密になっていくジョジョ。
憧れ目指していたものがちょっとづつ綻び、
現実が顔を出していくなか、知らなかったことも知り、
ジョジョは変わっていくのですが、
ヒトラーはそんなジョジョを引き戻そうとします。


何も考えず平気でウサギを殺せる者は論外、
自分の保身のためにウサギを殺す者だって論外。
これって勇気とは言えないよね~。
でもそう言えない戦時下なんだよね。
そんな空気充満のなか、
うさぎを殺せないジョジョはある意味勇気があるかも。
サム・ロックウェルが演じる、
ユーモアあふれるキャプテンKはかっこいいです。
ナチスは障害者や同性愛者も収容所送りにしたのですが、
キャプテンKは自分が同性愛者であることを隠していました。
誕生日を間違えて申告してしまったエルサを見逃したのは、
そんな背景もあったんだろうな。
ジョジョのお母さんは毅然としていて素敵。
こういう人たちの活動があって、
いまの私たちの生活が成り立ったんだとつくづく思います。
いま現在、それは怪しくなっているけど・・・
素直なジョジョはムチャクチャ可愛い。
ふっくらヨーキーくんも好き~。
もちろん反戦映画ではあるのだけど、
その前に大人への階段を上がる少年の物語でもあります。

監督 タイカ・ワイティティ
ヨハネス“ジョジョ”ベッツラー ローマン・グリフィン・デイヴィス
エルサ・コール トーマシン・マッケンジー ユダヤの少女
ロージー・ベッツラー スカーレット・ヨハンソン ジョジョの母
アドルフ・ヒットラー タイカ・ワイティティ ジョジョの空想の友人
クレンツェンドルフ大尉 サム・ロックウェル キャプテンK
ヨーキー アーチー・イェーツ ジョジョの親友
2020年1月公開



BGMがよかったよ。
ビートルズで始まり、デヴィッド・ボーイで終わります。

パラサイト 半地下の家族

2020-01-24 21:56:01 | 映画2020
半地下の家に住んでいるキム一家は、
両親とふたりの兄妹全員が失業中です。
スマホは隣人のWiFiをこっそり使い、
ピザの空き箱を組み立てたてたりして、
小銭を稼ぐというその日暮らし。
そんなある日、大学入試に失敗し続けている長男ギウは、
名門校に通っている友人ミニョクに、
留学している間、家庭教師の代わりをしてほしいと頼まれます。
ギウは高台にあるIT企業の社長パク氏の豪邸へ、
家庭教師の面接を受けにいくのでした。

キム一家のそれぞれのスキルの発揮が素晴らしい。

みんな「やれば出来る」人たちなのね。
キム一家がパク家に次々入り込み、信頼を得ていく流れには、
もう感心するしかないです。
予告で「幸せ 少し いただきます」とあったので、
いただくだけかと思って前半笑いながら観ていて、
笑うだけじゃなく、このままバレたりしないでつつがなく(?)
成功しますようにとさえ思っていたのに、
ラストは別方向に急展開します。
最後のキムお父ちゃんの爆発にはちゃんと伏線があって、
パク家のまだ幼い息子ダソンのなにげないひとこと、
「 みんな同じ臭い」からそれは始まります。
経歴を偽造して、見た目もそれらしくしていても、
決定的に違うなにか。
そのキーワードが「臭い」なんだね。
「 金はしわを伸ばすアイロン」とか、
「 私だってこんなにお金があったら、
 もっと優しくて純粋でいられるわよ」という、
お金にまつわる名言も聞かれます。

監督 ポン・ジュノ
キム・ギテク ソン・ガンホ 半地下住宅に暮らすキム家の主
キム・チョンソク チャン・ヘジン 妻、元ハンマー投げのメダリスト
キム・ギウ チェ・ウシク 息子、大学入試に失敗し続けている
キム・ギジョン パク・ソダム 娘、美大を目指す
パク・ドンイク イ・ソンギュン IT企業の社長
パク・ヨンギョ チョ・ヨジョン ドンイクの妻 
ムングァン イ・ジョンウン パク家の家政婦
パク・ダヘ チョン・ジソ パク家の娘
パク・ダソン チョン・ヒョンジュン パク家の息子
ミニョク パク・ソジュン ギウの友人、パク家の元家庭教師
2020年1月公開