あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

北の桜守

2018-03-29 23:52:10 | 映画 2018
南樺太で暮らしていた江蓮一家。
てつの世話で、北の地にも一輪の桜の花が咲きます。
その花は一家にとって幸せと希望を運んでくれるかのようでした。
しかし1945年8月、ソ連軍の侵攻によって土地を追われてしまいます。
てつの夫は出征。
息子を連れ、北海道の網走にたどり着いた彼女は、
北の地の過酷な環境や貧しさと戦いながら、息子を育て上げます。
時は過ぎ、1971年、てつの息子修二郎は米国で成功を収めて、
日本初のホットドックストアの日本社長として帰国しました。
てつとは疎遠になっていた修二郎。
その修二郎に、母が住む網走市役所から電話がかかってきます。
15年ぶりに網走を訪れた修二郎は、
仕送りを送っていたにもかかわらず、
慎ましい生活を送っているてつと再会するのでした。
年老いた母の言動に不安を感じた修二郎は、
母を引き取り、札幌で一緒に暮らすことを決めました。


網走で生活するてつ親子・・・。
が!母と弟を守る、と父親に誓ったお兄ちゃんの姿がないじゃん?
どうしたのよ?と気になって仕方なかったの、私。
当たってほしくない予想が当たってしまって、
てつが清太郎の名前を呼びながら海に入っていくシーンでは、
もう、泣けて泣けて・・・


「満月の夜に、桜は満開に咲く」という台詞がありました。

いま、我が街では桜が満開です。
普通に「綺麗~」と見惚れていられる時代が、
ずっとずっと続いて欲しいです。

吉永小百合さんは今現在72歳。 
苛酷な撮影をやりとげたのは、ほんとに凄い。
30代を演じていてもあまり違和感がなく、
( でも阿部寛と夫婦役というのはちょっと・・・
双方の実年齢を知らなければOKだったかな?)
その後の60代もほんとに可愛い女性で・・・
でも私は、最期に登場する銀髪のてつさんが、
桜の世話をしているてつさんが、
一番綺麗に見えました。
桜はてつさんの幸せの象徴なんだよね。
徳次郎さんが帰ってきて、長男の清太郎も帰ってきて、
幸せなてつさん。
忘却は神様が与えてくれるプレゼントなのかも。


監督 滝田洋二郎 
江蓮てつ 吉永小百合 
江蓮徳次郎 阿部寛 てつの夫
江蓮清太郎 阪本颯希
江蓮修二郎 堺雅人 てつの次男(子供時代 土屋慶太)
江蓮真理 篠原涼子 修二郎の妻
山岡和夫 岸部一徳 江蓮徳次郎の友人 
島田光江 高島礼子 てつの隣人 
居酒屋たぬきの主人 笑福亭鶴瓶
岡部大吉 中村雅俊 真理の父 
菅原信治 佐藤浩市 貧困生活を送るてつ親子に手を差し伸べる 
2018年3月公開


修二郎の家で何度かかけられたレコードが、
哀愁を帯びた曲 ♪ サマータイム でした。
母親が産まれたばかりの赤ちゃんに歌いかけている歌です。
ある朝お前は立ち上がって歌う、
そして羽を広げて飛んでいく、と子供の成長を祈る内容ですが、
しかし現実は、黒人である母親も父親も、苛酷な生活を強いられている、
そんな歌。
修二郎の過去の辛い体験と、シンクロさせているのでしょうか。


DESTINY 鎌倉ものがたり

2018-03-24 11:29:56 | 映画 2017
西岸良平の漫画が原作です。
( 私は未読ですが、調べたら34巻まで出ていて、いまだ連載中)

ミステリー作家の一色正和は鎌倉に住んでいました。
この街では人間と、幽霊や魔物、妖怪が共存しています。
そのため、鎌倉警察署には心霊課と呼ばれる部署があって、
魔物がらみの事件にも対応しているのです。
正和は犯罪研究の腕を買われ、難事件の際には鎌倉警察に協力もしています。
その正和のもとに、年若い亜紀子が嫁いできました。
貉(ムジナ)や河童が目の前を通り過ぎていくのを見て驚く亜紀子。
そんな亜紀子に正和は、
「 鎌倉は何千年も昔から妖気が溜まって、いろんな怪奇現象が起こる。
ここでは普通のこと、すぐに慣れる」
と言うのでした。
すぐに慣れるどころか、
亜紀子は貧乏神とも仲良くなるほどに鎌倉に馴染んでいきます。
殺人事件を解決したり、死者を見送ったりと、毎日が賑やかに、
ときおり喧嘩をしながらも、仲睦まじい鎌倉での暮らし。
そんなある日、悪鬼の悪戯で亜紀子の魂が抜けてしまう、
という事件が起こるのでした。
魂だけになってしまい、身体が見つからない亜紀子。
なすすべもなく、彼女は黄泉の国に行ってしまうのでした。


初めて江ノ電に乗ったとき、あまりにも人家が左右迫っていて、
びっくりして、ちょっとワクワクしたのを覚えています。
その江ノ電が黄泉の国行きの乗り物になっていて、まったく違和感ないの。
なんか懐かしい・・・( 黄泉の国には行ったことはありませんが)
乗ってみたい・・・( いや、まだ黄泉の国には行きたくありませんが)
そんな気をおこしてしまう夢のような情景が、
大画面いっぱいに広がっていきました。
汽車とか電車に妙に思い入れがあるのは、年齢のせいでしょうか。
しかし、江ノ電は物語前半でも殺人事件でアリバイ工作に使われていましたが、
家の二階から電車に飛び乗ったっていう推理はどうなのよ?
それに帰りはどうしたの!?と聞きたいわ。そこはスルー?
というか、この映画のなかで殺人事件の件はなくてもよくない?


歳の差夫婦
やりとりにほのぼのします。


天頭鬼の声って、古田新太さんなんだ~・・・・
いえ、・・・・に他意はありません。
長い長い間、一途に想っているというのはある意味健気です。
でもストーカーだよね?本人の意思無関係に拘束したりとか、
咎められずにいるということは、黄泉の国って無法地帯?
現世よりなお理不尽がまかり通っているってどうよ?
死後にそんな世界が待っているのは嫌だなあ。


人は良さげだけどたよりにならない死神さん。
たよりになる死神も怖いけど・・・

物語の前半と、後半からの展開がちょっと唐突。
( 後半部分、いきなり少女漫画に突入したような・・・)
長い連載もののエピをあちこちチョイスしているんだろうけど、
原作を読んでいないとどれも消化不良を起こしてしまいます。

監督 山崎貴
一色正和 堺雅人 鎌倉に住むミステリー作家
一色亜紀子 高畑充希 正和の妻
死神 安藤サクラ
貧乏神 田中泯
キン 中村玉緒 一色家の家政婦 推定年齢130歳?
大仏署長 國村隼
天頭鬼 古田新太(声の出演)
小料理屋女将 薬師丸ひろ子
甲滝五四朗/一色宏太郎 三浦友和 正和の父
一色絵美子 鶴田真由 正和の母
2017年12月公開

不都合な真実2 放置された地球

2018-03-19 22:05:34 | 映画 2017
2007年に公開された「不都合な真実」の続編です。
2016年のパリ協定調印までの道程が描かれています。
気候変動問題に取り組んでいたアル・ゴア氏の、
世界各地での講演会がメインだった前作。
「 それを解決するのはあなたです。
未来を守るために立ち上がりましょう。
未来の世代は自分に問いかける日が来るかもしれない。
僕ら親の世代は何を考えていたのだ、
どうしてチャンスがあったのに目覚めなかったのだと」
前作でアル・ゴア氏は私たちにそう投げかけました。
誰かがやってくれるのではなく、みんながでもなく、
立ち上がるのは「あなた」だと。
「 生活スタイルを変える用意はできましたか?」  
アル・ゴア氏が提案していることは、
決して無茶なことではなかったのです。

それから10年。
その10年間にこの地球でなにが起こっていったのか?
それが「不都合な真実2 放置された地球」で語られていくのです。
ますます深刻になってゆく地球の現在の姿。
大型ハリケーン、島や街の浸水、熱波、大干ばつ・・・
世界各国で起こっている異常気象での大災害を、
次から次へと映像に映しだしてゆきながら、
アル・ゴア氏は、なぜこういうことが起きているのか?ということを、
数々のデータや、実際に現地に行っての調査に基づき、
科学的に、論理的に、詳しく説明してくれます。
とてもわかりやすい言葉で語ってくれます。
胸に刻んでおきたい名言も連発、

ときにジョークを混じえての講演は、さすがのアル・ゴア氏、
説得力が半端ないです。



美しい地球のために、まずは出来ることから。

監督 ボニー・コーエン  ジョン・シェンク
出演 アル・ゴア 
トランプ氏やオバマ氏、メルケル氏、ブッシュ氏、安倍氏も登場 
2017年11月公開

2017年6月、トランプ大統領がパリ協定離脱を宣言、
地球温暖化はでっちあげだというのが彼の主張です。 

祈りの幕が下りる時

2018-03-02 16:10:35 | 映画 2018
葛飾区小菅のアパートで、女性の絞殺死体が発見されます。
ハウスクリーニングの会社で働く滋賀県在住の押谷道子でした。
殺害現場のアパート住人、越川睦夫は行方不明。
警視庁捜査一課の松宮たちが捜査にあたるも、
押谷道子と越川睦夫の接点がまったく見つかりません。
滋賀県在住の押谷が何故東京で殺されたのか。
そんななか捜査線上に浮かびあがる女性演出家の浅居博美。
道子は学生時代の同級生博美を訪ねて東京に来たらしいのですが、
博美と越川睦夫の間にも接点がなく、捜査は進展しませんでした。
松宮は殺害時期や現場が近い、
新小岩河川敷で発生したホームレス焼死事件との関連を疑います。
松宮の従兄で日本橋署の刑事加賀恭一郎は、
最初のほうこそ管轄違いのため捜査の助言をするくらいでしたが、
現場のアパートで見つかったカレンダーに書かれた、
月ごとの12の橋の名前を見て激しく動揺。
それは孤独死した加賀の母に繋がっていたのです。 


観客にまっすぐ目線を向けてくる加賀刑事の瞳はとても健全。
事件がどんなに悲惨でも、この瞳で安心してしまいます。
かなりのマザコンらしいのですが(笑)
胸の中にずっと滞っていた父親との確執は溶けたようです。


養護施設で育ち、高校卒業後は女優として活躍、
その後演出、脚本を手がけるようになって注目を集めています。
独自の解釈で脚本を書き演出した「異聞曽根崎心中」を明治座で公演中。
松嶋菜々子さんが演じているというのを忘れるくらい、
映画のなかの博美さんそのものになってましたよ~。

映画で描かれているのは不条理な境遇のなかでの親子の情愛、絆。
でも私は泣けなかったなあ。
殺人にいたるまでが、なんか納得いかない。
脅迫をしてきたのならともかく、貌を見られたからだけ?
すぐにわかるくらい昔と風貌が変わってないなら、
整形するなり変装するなりしておかないとだめだよ、お父ちゃん。
とツッコんでしまって。
殺された人にだってそのひとの物語はあるわけで、
それをとつぜん断ち切ったわけだもん。
よほど追い詰められる状況がないと・・・


監督 福澤克雄
加賀恭一郎 阿部寛 日本橋署刑事 
浅居博美 松嶋菜々子 舞台演出家、脚本家 
松宮脩平 溝端淳平 捜査一課刑事、加賀恭一郎の従弟 
金森登紀子 田中麗奈 加賀恭一郎の父を看取った看護師 
浅居厚子 キムラ緑子 浅居博美の母 
宮本康代 烏丸せつこ スナック「セブン」を経営者 
押谷道子 中島ひろ子 浅居博美の中学時代の同級生 
浅居博美14歳 桜田ひより
苗村誠三 及川光博 浅居博美の中学時代の担任教師 
田島百合子 伊藤蘭 加賀恭一郎の母 
浅居忠雄 小日向文世 浅居博美の父 
加賀隆正 - 山﨑努 加賀恭一郎の父
2018年1月公開 


物語の設定や進行が「砂の器」に似ていると思ったら、
原作が「砂の器」をリスペクトしていたものなんですね。
そういえば「砂の器」も観終わってもやもやしたなあ。