あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

JOKER(ジョーカー)

2019-12-11 14:19:31 | 映画 2019
バッドマンの宿敵、ジョーカーの誕生秘話です。
1981年、貧富の差が拡大し荒れ果てた街となったゴッサム・シティ。
心優しいアーサー・フレックはピエロとして働きながら、
精神を病み、際限なく妄想を口にする老いた母の介護をしています。
アーサーは脳神経の損傷のせいで、突然笑いだすという、
自分でも制御できない病気を抱えていて、
そのせいで周囲にも溶け込めず、誤解も受けるのでした。
彼の夢は、いつかコメディアンとして憧れの人気司会者、
マレー・フランクリンのナイトショーに出演すること。
しかし、理不尽な理由でピエロの仕事は首になり、
定期的に受けていたカウンセリングは、
街の財政困難で打ち切られ、薬の支給もなくなります。

「 映画で扱われるテーマは現在存在しているもの」
監督のトッド·フィリップスはそう言ったそうですが、
アーサーの辿った人生が、そのまま現在の社会を反映しています。
保護されるべき大人からの虐待、
( ペニーは実の母ではなく、アーサーは養子で、
脳の障害はペニーの交際相手からの虐待が原因。
ペニーは虐待を放置していた)
貧困のなかでの老親の介護、世間の障害者へのまなざし、
福祉の打ち切り、弱者への無関心・・・
たしかに現在の社会が映し出されています。

ジョーカーとして覚醒し、解放され、
ゲイリー・グリッターの ♪ Rock and Roll (Part 2) が流れるなか、
石段を踊るように降りてゆく場面で、
その解放感に同調してしまいそうになる自分がこわい。

ラストでゴッサム・シティは、
不満を持つ貧民層の暴動へと雪崩れ込むのですが、
あちこちであがる炎を背にジョーカーが車の上で踊っている場面から、
とつぜん精神病院の真っ白な部屋に。
アーサーが精神科医(?)のカウンセラーを受けています。
「 ‘That’s Life’ それも人生さ」とアーサー。
え?
逮捕されて病院に収容されたの?
それにしては違和感あり。
それとも、それまで観せられていたものは、
ジョーカーの作った物語にすぎない?
もしそうなら、どこからが作り話なのでしょうか。
最初から?それとも途中から?
薬の支給がなくなったあたりから?

いびつな現代社会を映し出したこの映画で、
監督のトッド·フィリップスは観客に向かって問いかけ、
ジョーカーはバッドマンに向かって問いかけているような気がします。
単純に悪を懲らしめるスーパーヒーローとして生まれたバッドマンに。
答えられるわけがないよね。

監督 トッド·フィリップス
アーサー·フレック/ジョーカー  ホアキン·フェニックス
スタンダップコメディアンを目指している道化師
マレー·フランクリン  ロバート·デ·ニーロ
人気テレビ番組の司会者、コメディアン
ペニー·フレック  フランセス·コンロイ
アーサーの母親。
ソフィー·デュモンド  ザジー·ビーツ
アーサーと同じアパートに住んでいるシングルマザー。
トーマス·ウェイン  ブレット·カレン
ゴッサムシティ最大の富豪で実業家。
街に広がった暴動の最中、妻とともに殺される
ブルース·ウェイン  ダンテ·ペレイラ=オルソン
トーマスの息子 のちにバットマンに
ランダル グレン·フレシュラー
アーサーが働く道化師派遣会社の同僚
ゲイリー  リー·ギル
アーサーが働く道化師派遣会社の同僚
2019年10月公開



シナトラの ♪ That’s Life と♪ Send in the Clowns
クリームの ♪ White Room も流れます。
♪ That’s Life はこの映画のテーマ曲といってもいいくらい。
アーサーも鼻歌で歌ってます。
街の暴動で流れたのが ♪ White Room
この歌をBGMに流すなんてずるいなあ。