あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

海賊とよばれた男

2017-01-23 15:24:36 | 映画 2016
百田尚樹のベストセラー小説を映画化。
まだ主要燃料が石炭だった時代、石油の将来性を見抜いていた国岡鐡造は、
北九州の門司で石油業に乗り出します。
国内の販売業者や欧米の石油メジャーなど様々な壁が立ちふさがりますが、
戦前、戦後と、鐡造は型破りな発想と行動で、
自らの進む道を切り開いていくのです。

映画は、いきなりB-29が焼夷弾を落としてゆく光景から。
無数の流星のように落ちてゆく焼夷弾と、
燃え広がってゆく街の様子が、怖いくらいリアルです。
その、焼け野原となった戦後の日本から物語はスタートします。
鐡造の若い頃の回想も差し挟みつつ。

しかし・・・熱いですね~、70年代の少年ジャンプの漫画のようです。
ついてゆく国岡商店の店員も熱い。
長い原作小説を145分に凝縮しているから仕方ないとはいえ、
終始熱血しています。
血圧あがるがな・・・
これが日本男子だ!というのが伝わりすぎるくらい伝わってきて、
そういうとこはちょっと苦手。
原作者の意図もそうなんだろうな。
とはいえ、当時イランを牛耳っていたイギリスを敵に回し、
石油輸入を成功させたときには、おおいに溜飲が下がりました(笑)
船長がかっこよかったなあ。

モデルになった出光 佐三氏(いでみつ さぞう1885年~1981年)
調べてみました。
明治から戦後にかけての日本の実業家・石油エンジニア・海事実業家。
石油元売会社出光興産の創業者。

残されたエピソードはいっぱいありますが、
日本が敗戦し混乱した時代にも、従業員のリストラはせず、
集めた書画骨董を売り払ったり、銀行から可能な限り借金をして、
仕事がなく自宅待機していた従業員にさえ給料を払い続けたというのは、
いまの企業トップの方々にぜひ見習ってほしいわ~。

意外だったのは、「題名のない音楽会」でCMがはいらなかった理由。
番組スポンサーが出光興産だったのですが、
出光佐三氏が「芸術に中断は無い」という考えだったからって。
意外なところで恩恵にあずかっていたのね。
映画の熱血にはちょっとひいていたのですが、
実際の出光佐三氏の経歴、行動、言葉を読んでいると、
淡々と飾りなく書かれている分、かえって感動してしまいます。


監督 山崎貴
国岡鐡造 岡田准一 国岡商店の創業者。モデルは出光興産創業者の出光佐三。
東雲忠司 吉岡秀隆 国岡商店の店員
長谷部喜雄 染谷将太 国岡商店の店員
武知甲太郎 鈴木亮平 国岡商店の店員
柏井耕一 野間口徹 国岡商店の店員
藤本壮平 ピエール瀧 国岡商店の店員
甲賀治作 小林薫  国岡商店の店員
国岡万亀男 光石研 鐵造の兄
ユキ 綾瀬はるか 国岡鐡造の妻
盛田辰郎 堤真一 日承丸の船長
木田章太郎 近藤正臣 国岡の若き頃、会社設立資金を返済不要の条件で援助。
鳥川卓巳 國村隼 国内最大手の石油会社「日邦石油」(モデルは日本石油)社長
2016年12月公開


「海賊」と呼ばれた理由は、
「海に境界はない」と主張し、
既存の店のテリトリーの漁船に、海上で石油の出張販売をしたから。

スター・ウォーズ ローグ・ワン

2017-01-06 12:02:52 | 映画 2016
スター・ウォーズシリーズ本編の外伝です。
スター・ウォーズ エピソード4「新たなる希望」の直前にあたり、
「新たなる希望」の冒頭で触れていた、
帝国軍の宇宙要塞初代デス・スターの設計図の強奪任務を遂行した、
反乱同盟軍兵士達の活躍が描かれています。

帝国がジェダイを無力化し、支配を強めた暗黒の時代、
惑星をまるごと破壊する帝国の究極兵器デス・スターが完成。
しかし、開発者であるゲイレンはひそかに、
動力炉を破壊すれば無機能になる弱点を意図的に設計していました。
生き別れの娘ジンは、そんな父の平和への意志を受け、
設計図のデータが保管してある惑星スカリフに乗り込み、
厳重な帝国軍のシールドをかいくぐり設計図の奪取に挑みます。
クライマックスは設計図奪取のための地上戦と、宇宙艦隊戦がクロスする、
最期の30分以上続く戦闘シーンです。
迫力満点で臨場感たっぷり。
映画技術もここまできましたか~。

届いた設計図の記録装置を手渡された反乱軍のレイア姫は、
多くの命を賭して手に入れたこのディスクこそが希望です、
と呟くのでした。


無断で出撃するジンやキャシアンらに対して、
管制塔はコードネームを問いかけ、ボーディーは咄嗟に、
「はぐれ者」や「反逆者」という意味を持つ「ローグ・ワン」と応えました。
このならず者はぐれ者集団の、誰もがかっこいいのです。
なんといってもヒロインのジンが敵と戦う姿は、華麗で凛々しい。
キャシアンが感嘆の表情で見惚れていましたが、
私も見惚れてしまったわ~。
座頭市も紛れ込んでおります。
風を読み、音を捉え、僅かな振動も感じ取って敵をやっつけてます。
相棒のベイズとの友情も見どころ。
アジア系のこのふたりの絡み、もうちょっとあってもよかったのでは。
時間的に難しいのかな。
そしてこのドロイドのKくん。



緊迫したシーンで始まり、緊迫したシーンが続き、
緊迫したシーンで終わった物語のなかで、
( 戦う彼らに、ちょっとはティータイム時間を与えてあげてもよかったのでは)
いつもと変わらぬ(たぶん)冷静沈着さを保ち、
どんな状況でもユーモアを忘れず、しかも頭が良くて分析力も抜群、
と、ひそかにハートマークを飛ばしていたら、最期は・・・
・・・え?ええ~?・・・・
いや、もう・・・なんだか泣けてしまって・・・・。


監督  ギャレス・エドワーズ
ジン・アーソ  フェリシティ・ジョーンズ ゲイレンの娘
キャシアン・アンドー  ディエゴ・ルナ 反乱軍戦士
K-2SO   アラン・テュディック 元帝国軍新型ドロイド
チアルート・イムウェ  ドニー・イェン 盲目の剣士、元ジェダの寺院の守護者
ベイズ・マルバス  チアン・ウェン 豪快な戦士、元ジェダの寺院の守護者
オーソン・クレニック  ベン・メンデルソーン 帝国軍デス・スターの開発責任者
ソウ・ゲレラ  フォレスト・ウィテカー レジスタンス戦士、ゲイレンと旧知の仲
ボーディー・ルック  リズ・アーメッド 帝国軍から亡命した元パイロット
ゲイレン・アーソ  マッツ・ミケルセン デス・スター開発の主要人物 ジンの父
ダース・ベイダー  ダニエル・ナプラス(演)&スペンサー・ワイルディング(演)
ジェームズ・アール・ジョーンズ(声)
レイア姫  イングヴィルド・デイラ  
2016年12月公開



ボーディーが帝国から持ってきたゲイレンのメッセージは、
デス・スター開発に協力するふりをして構造に致命的な弱点を仕込んでいたこと、
その弱点を記した図面データは帝国軍の建築物データが収集されている、
惑星スカリフに存在することを伝えていたということですが、
弱点を仕込んだよ~という情報よりも、
設計図そのものをボーディーに持たせたら?とか、
外部から侵入して設計図を奪取するのは至難の技ですが、
内部にいる作成した本人がなんらかのアクションを起こしたほうが、
まだ成功する確立が高いのでは?と思ってしまったんだけど、
そうするとこの物語は成立しないのか~・・・
でもジンとキャシアンの、ほんの一瞬の抱き合う姿が美しかっただけに、
( ほんとは自己犠牲に感動するのは好きじゃない)
お父さん、他のやり方を考えてよ、と言いたいわ。

ドント・ブリーズ

2016-12-26 15:17:41 | 映画 2016
ロッキーと恋人のマニー、友人のアレックスの3人は盗みの常習犯。
盗んでは売りさばくことを繰り返していました。
養育放棄の両親から逃げ出すためにまとまったお金が欲しいロッキーは、
マニーとアレックスとともに、
地下に大金を隠し持っていると噂される、盲目の老人の家に強盗に入ります。
しかしその老人は、どんな音も聴き逃さない超人的な聴覚をもち、
ロッキーたちは暗闇に包まれた家の中で追い詰められていきます。

「この家から生きて脱出したければ、息をするな・・・」



ホラー?サスペンス?いやこれはアクション映画といってもいいのでは。
最初は、あまりにも筋肉モリモリのお爺ちゃんが非常識に強すぎて、
ロッキーたちが追い詰められていく恐怖に感情移入、
( 暗闇と突然の音が怖いのよ~)
ともかく生きて逃げのびて、これに懲りて強盗もやめようね、
という気分だったのですが、
ロッキーたちが、老人が盲人だという弱点をついたり、
盗んだお金も手放さないあたりから、
人のお金でしょ?もう置いてさっさと逃げなさい!と何度思ったことか。
ロッキー、強欲過ぎ。
よく考えれば、人のうちに強盗目的で侵入しているんだよね、
同情の余地はないなあ。
お爺ちゃんもお爺ちゃんで、とんでもない秘密を抱えていたりしますが。

そんなわけで、ロッキーにもお爺ちゃんにも、
辛い過去や気の毒な境遇を抱えているというのに、
まったく共感できなかったな。
とはいえ、
私は若者たちよりお爺ちゃんに同情してしまうわ。
強すぎたって、多少異常だって、少々気持ち悪くたって(え?)
だってもう先のない年寄りじゃん。
ロッキーは若いし健康だし、見たとこ根性ありすぎるくらいだし、
年寄りのお金を盗もうと思わず、
( お爺ちゃんの娘が事故で亡くなったときの賠償金なんだよね)
まっとうに働きなさい!と言いたいわ。

だから、怖い思いはしたけどまんまとお金を盗むのに成功、
そのお金で妹とカリフォルニアに出発、
という結末にはちょっと納得できません。


監督 フェデ・アルバレス
ロッキー  ジェーン・レヴィ
アレックス  ディラン・ミネット
マニー ダニエル・ゾヴァット
盲目の老人  スティーヴン・ラング
2016年12月公開

盲導犬?というより闘犬のワンちゃんの、凄味のある演技に注目!

この世界の片隅に

2016-12-08 11:56:11 | 映画 2016


故郷の広島から20キロ離れた呉に、すずは18歳で嫁いできました。
第2次世界大戦下の呉は日本一の軍港の街。
戦況の悪化に伴い、アメリカ軍の空爆の標的となります。


戦時下ではあるけれど、嫁ぎ先で一生懸命なすず。
物資が足りない、食料が足りないというなかでも工夫をこらして、
その工夫が楽しげですら見えるすずでした。
軍艦の浮かぶ港、青い山々、のどかな田畑、咲く野の花、
そして市井の人々の暮らし。
そういったものが、すずの目で丹念に描かれていきます。
全てが柔らかく優しい。

しかし戦争が進むにつれ空襲は激しさを増し、
すずたちの日常は次第に破壊されていきます。
何度も何度も続く空襲、そして8月6日の広島原爆投下。
爆心地から20キロ離れた呉にも閃光と轟音が響き、
呉の人々は巨大なキノコ雲を目撃したのでした。

すずが絵を描くと、その絵は物語のなかで生き生きと躍動します。
海に波の数だけ無数のうさぎが飛び出し、跳びはねてゆく様子は、
年甲斐もなくワクワクしてしまいました。
アニメでしかできない手法だよね~。
その後も、すずが線を一本一本描きたすごとに仕上がってゆく絵は、
みんな素敵で、全部お取り置きしておきたいくらい。
軍艦の絵が出来上がったときなんて、
美しいなあ男の子が憧れるのはわかる気がする、なんて思ってしまいました。
憲兵に家に踏み込まれていたけどね。
でも、魔法のように描きあげていく右手を失ってしまったすずでした。
なのに自分の右腕のために泣くこともできない、
その右手に繋いでいた小さな命を一緒に失ってしまったから。
それでも周りの人々の気持ちを受け止めつつ、
ゆっくりと、穏やかに前を向いてゆくすずは、
本当の意味で強いと思います。

周作のお姉さんの黒村径子さん、
広島弁で喋るその声とイントネーションが私の母にそっくりでした。
母は被爆体験をあまり語らなかったなあ・・・。
私は広島を離れてからの時間のほうがすでに長いのですが、
言葉も、ときおり出る街の名も風景も、ひたすら懐かしかったです。

原作はこうの史代さんのコミックです。
まだ未読、ぜひ手に入れて読んでみたいな。


監督 片渕須直
北條(浦野)すず のん
北條周作 細谷佳正
黒村径子 尾身美詞
黒村晴美 稲葉菜月
浦野すみ 潘めぐみ
北條円太郎 牛山茂
北條サン 新谷真弓
水原哲 小野大輔
2016年11月公開


能年玲奈から改名したのんちゃんが、主人公すず役です。
声優初挑戦とのこと。
おっとりとしていてときに明るく素直な声が、すずにぴったりです。

疾風ロンド

2016-12-04 16:38:41 | 映画 2016
サスペンス映画と銘打っておりますが、
父と息子の話、不器用な若い男女のラブロマンス、切ない青春物語と、
適度に散りばめられています。

そしてミステリーも・・・・
ここで爆笑してしまいました。
秀人くん、ナイス!!


ある日、泰鵬大学医科学研究所所長宛てに送られてきたメール、
それは、研究所の元研究者葛原からで、
K-55を盗み、それをある場所に隠してあるという内容でした。
K-55とは葛原が極秘に開発した怖ろしい生物兵器です。
ケースは気温が摂氏10度以上になると破損するとも書かれていました。
葛原の要求は3億円。
スキー場らしき場所にテディベアを吊るし撮影した樹の画像が添付してありました。
世間に公表するわけにはいかないと研究所所長東郷は、
K-55を探し出せ!と栗林に命令します。
しかしその直後、犯人が事故死してしまったのでした。
栗林はK-55を探し出すことができるのか?
・・・・・スキーもまともに出来ないのに。


昇平くんと千晶ちゃんがひたすらかっこいいです。
というか、凄い。
急な斜面を直下降で、樹と樹の間を滑り降りていく場面なんて、
迫力ありすぎて、画面を見ているだけでクラクラしてしまいます。
滑り降りながらのバトルシーンもありますよ~。
そのシーンを目撃、撮影した人がユーチューブに投稿して、
そのタイトルが「雪上のジェダイ」
まさにその通りです(笑)
大島優子さん、スタントなしで滑ったというからびっくり。
9歳からスノーボードをしていたんですって。
それにしても運動神経抜群ですね。

逆に主人公の栗林はあまり活躍のシーンがなくて、
というよりちょっと情けないなあ、と思いながら見てましたが、
( 私はずっと秀人くんのほうに感情移入していたらしい)
最後で男らしく決めてくれて、溜飲が下がりました。


監督:吉田照幸
栗林和幸 阿部寛 泰鵬大学医科学研究所主任研究員
根津昇平 大倉忠義 里沢温泉スキー場のパトロール隊員
瀬利千晶 大島優子 スノーボード選手
栗林秀人 濱田龍臣 栗林和幸の息子。中学2年生
折口真奈美 堀内敬子 泰鵬大学医科学研究所 補助研究員
折口栄治 ムロツヨシ 折口真奈美の弟
葛原克也 戸次重幸 泰鵬大学医科学研究所の元研究員
東郷 雅臣 柄本明 泰鵬大学医科学研究所長 
2016年11月公開