あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

夢二

2016-09-22 15:59:23 | 映画 1991
東京国立近代美術館フィルムセンターで観てきました。
PFFアワードの講座企画のひとつで、
映画上映後に、映画監督で俳優の、
渡辺謙作さん、前野朋哉さん、森岡 龍さんのトークショーつき。
ゴジさんこと長谷川監督が俳優として映画に出演しているということで、
「夢二」を選んだそうです。
ちなみに渡辺謙作さんは「夢二」制作に関わった方です。
その謙作さんいわく、
「 田中陽造さんが書いた脚本を、現場で清順監督がどんどん変えていく。
シナリオを書き加えて、真っ黒になっていた。
田中さんが書いたのは普通の恋愛物語でした」
清順監督がどんどん変化させたあげく(笑)
独特な色彩とシュールな構図、
観るものを拒否するかのような物語の進行と、清順色が強まり、
難解な映画と誰からも言われる映画になってます。
でも物語の骨子は変わっていません。

色事師夢二が、ほんのきまぐれからちょっかいを出した花嫁、
それが金沢の脇屋家に嫁ぐ巴代でした。
花嫁衣裳の片袖を持ち帰った夢二。
「 巴代は魂の抜けた人形のようになって家にやって来た、
 どうしてくれるんだ」
脇屋が夢二にしつこく絡み、怒らせて決闘にまで持ち込んだのは、
巴代への想いからだったのです。
悪夢に取り憑かれたまま、
金沢で駆け落ちを約束した恋人彦乃を待つ夢二。
そんなとき、鬼松に殺された脇屋の妻巴代が、湖面にボートを浮かべ、
夫の死体が浮かび上がってくるのを待ち続けている姿を目にするのです。

トークショーで、この映画を初めて観たという前野さんだったかな、
「 人の夢を覗いているような・・・」
という感想をのべてましたが、


巴代と脇屋の情念が残るこの旧家が、
夢二を呼んだのかもしれません。



女優陣が美しいです。
夢二が色っぽいです。
沢田研二の夢二は、
軽くて軽薄な女たらしという、とんでもないキャラです。
地でやっているわけではないでしょうが(笑)ハマり過ぎ。
滅多に俳優をほめない清順監督が、褒めたと聞きました。

清順監督は映画で絵を描きたかったのかな?
ワンシーンワンシーンが、どれも計算されつくした絵のようです。

しかし、このとんでもない映画では、
「 さっぱりわからんっちゃ」と呟く殺人鬼の鬼松が、
一番常識人に見えてしまいますね~。

監督 鈴木清順
脚本 田中陽造
竹久夢二 沢田研二
脇屋巴代 毬谷友子
彦乃 宮崎萬純
お葉 広田玲央名
鬼松 長谷川和彦
脇屋 原田芳雄
稲村御舟 坂東玉三郎
女将 大楠道代
1991年4月公開

帰ってきたヒトラー

2016-09-19 17:09:20 | 映画 2016
ティムール・ヴェルメシュのベストセラー小説の映画化です。

1945年ソ連軍に攻囲され、自殺をしたはずのヒトラー。
ところが、死なずに目覚めてしまう。
目覚めたのは70年近く経った現代のベルリンです。
彼はそっくりさん、ものまね芸人として人気者になります。
外を歩けば写真を求められ、YouTuberのネタになり、
テレビでは高視聴率を叩き出すのでした。
そして彼の演説(聴く人々はヒトラーの物真似だと思っている)は、
難民流入問題、貧困、政治不信などの問題を抱えているドイツで、
不満や不安を感じている人々の心を次第に捉えていきます。

と、ここらあたりまでは予想したとおりの、
カルチャーギャップコメディの作りでした。
ヒトラーの可笑しな行動に笑ったりしてね。
主張していることはちっとも過激じゃないし。
一理はあるかもとさえ思っちゃったし。
それが一転したのは、ザヴァツキの恋人クレマイヤーの祖母が、
ヒトラーに会ったときの画面いっぱいの驚きと怖れの表情です。
認知症のクレマイヤーの祖母が、初めて表情を出した瞬間。
「 出てけ!この悪魔!こいつが家族みんなを殺した!」
と彼女は叫ぶのです。

目の前にいるヒトラーは本物だ、と確信したザヴァツキに、
ヒトラーは言います。
「 私は煽動などしていない、指針を示しただけだ。
選んだのは君たちだ。
怪物?怪物を選んだ者を責めるんだな、彼らは普通の人間だ」


移民問題や貧困問題が騒がれると、
「 この状況は好都合だ」と呟くヒトラー。

いまの日本の状況と妙にシンクロしているような気がします。
選んだのは君たちだ、という言葉が痛い。
理想を体現しているはずの民主主義が、揺らいでいるような・・・。

この映画のキャッチコピーは、
「安心してください、大人には危険ですがお子様には楽しいコメディです」
だって。

最期のどんでん返しにはひっくりかえりそうになります。


監督 デヴィット・ヴェント
アドルフ・ヒトラー  オリヴァー・マスッチ
ファビアン・ザヴァツキ ファビアン・ブッシュ
カッチャ・ベリーニ   カッチャ・リーマン 女性放送局長
クリストフ・ゼンゼンブリンク  クリストフ・マリア・ヘルプスト
フランツィスカ・クレマイヤー フランツィスカ・ウルフ ザヴァツキの恋人
ミヒャエル・ヴィツィヒマン ミヒャエル・ケスラー
リコ・マンチェロ ミヒャエル・オストロウスキ
ザヴァツキの母 ロマナ・クンツェ=リブノウ
キオスクの主人 ラース・ルドルフ
クレマイヤーの祖母 グドルーン・リッター
ゲッヒリヒター ステファン・グロスマン
テレビ会社社長 クリスティアン・ハルティング

ホルガー・アプフェル ナチスの後継者を自称するドイツ国家民主党の党首
レナーテ・キュナスト 緑の党の元党首
ジグマール・ガブリエル ドイツ社会民主党の党首
2016年6月公開


オリヴァー・マスッチにヒトラーの格好をさせたまま、
ドイツ各地でゲリラ撮影を行ったという話ですが、
顔にモザイクしていたり、目の部分を■で隠しているのって、
顔出しNGの人たち?
かえって目立っているなあ。

JIMI:栄光への軌跡

2016-09-16 23:14:28 | 映画 2015
ジミ・ヘンドリックスが、
スターダムに駆けあがるまでの2年間を描いた伝記ドラマです。
1966年ニューヨーク、
天才的なギターの才能を誇りながらも、
マイナーなバンドの一員としてステージに立っていたジミ・ヘン。
映画は、ローリング・ストーンズのギターリスト、
キース・リチャーズの恋人であるリンダが、
彼の演奏をクラブで見かけたことでその才能に惚れ込み、
彼をイギリスに連れて行こうと説得するところから始まります。

ローリングストーンズ、エリック・クラプトン、
アニマルズ、リトル・リチャード、ザ・フー、
と、知った名前のお方が続々。
ビートルズだってまだ現役の時代。
ついミーハーしてしまいますが・・・顔は似ていません。

物語は、大きく知名度を上げる事となる、
モンタレー・ポップ・フェスティバルへと旅立つ直前で終わります。
ええ~?ここで終わり?
まだイントロ部分しか観てないような・・・・
物足りないと思ったのは、演奏シーンが少なくて、
( しかも本人の演奏じゃない)
どちらかというと女性関係メインだったせいかな?

ジミ・ヘンの曲は劇中に一切流れません。
遺産管理団体の使用許可が下りなかったんだって。


この映画はノンフィクションです、
と冒頭で字幕があったかな、たしか。
そのつもりで観ていたら・・・
ジミ・ヘンが頭全体にカールを巻いて登場するシーンがあって、


「大変なんだよ、これ」とぼやいている・・・・
ジミ・ヘンのあの髪型って、毎夜カールするという努力の結果なの!?
天然じゃなかったの!?
この映画で、このシーンが一番脳裏に焼きついてしまったのでした。


監督 ジョン・リドリー
ジミ・ヘンドリックス  アンドレ・ベンジャミン
リンダ・キース  イモージェン・プーツ 
キャシー・エッチンガム  ヘイリー・アトウェル
イダ  ルース・ネッガ  
チャス・チャンドラー  アンドリュー・バックリー
2015年4月公開

アリス・イン・ワンダーランド~時間の旅~

2016-09-15 11:09:15 | 映画 2016
アリスは死んだはずの家族を待ち続けるマッドハッターを救うため、
時間の番人“タイム”の制止を振り切り過去に飛ぶ。、
運命と時間に逆らい、
大切な友だちのために過去を変えることができるのか?

原作はルイス・キャロルの書いた、
「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」ですが、
前作同様、キャラと設定だけを借りた、まったく別物です。
映画のアリスは、
現実世界では海賊に立ち向かう女船長で、
ワンダーランドではちょっと突っ走り気味なとこはあるにせよ救世主で、
どちらもヒーローな女性です。
マッドハッターがほとんど活躍しないというのは淋しいけど、
( ベッドに寝ているシーンばかり・・)
少年時代のマッドハッターが可愛かったというのがわかったので、
それだけで満足(笑)



前作の「アリスインワンダーランド」では、
単純に「首をはねよ!」な暗黒政治の統治者だった赤の女王。
今回アリスが時間を遡ってわかった事実に、え~???
赤の女王の容姿の謎が解けましたが・・・・
白の女王さま、そんなひらひらしていちゃダメでしょ~。
大人になってもまだ本当のことが言えないなんて、
この映画を観ている子供たちに恥ずかしいよ?
やっとやっと白の女王が罪を認めたときは、
「その言葉が聞きたかった」
と、それであっさり水に流しそうな赤の女王、なかなか男前じゃん?
それからはわがまま、率直な物言いも可愛くみえてくるから不思議。
時間の番人タイムも振りまわされているもんね~(笑)
あ、秒が集まって分になるとこ、
ここはどうみても合体ロボで笑ってしまいました


監督 ジェームズ・ボビン
マッドハッター  ジョニー・デップ 帽子職人
アリス  ミア・ワシコウスカ 船長として活躍する勇敢な女性。
赤の女王  ヘレナ・ボナム=カーター 
白の女王  アン・ハサウェイ 赤の女王の妹
トウィードルダムとトウィードルディー  マット・ルーカス
双子の兄弟
タイム  サシャ・バロン・コーエン 時間を操る番人
ザニク・ハイトップ  リス・エヴァンス マッドハッターの父親
2016年7月公開