あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

氷上の王 ジョン・カリー

2019-10-30 11:44:29 | 映画 2019
「僕の魂には 才能と同じだけ 悪魔が宿っている」
才能が孤独を深めるのでしょうか、
それとも孤独が才能を産み出すのでしょうか。

アイススケートをスポーツから芸術へと昇華させ、
メジャーへと押し上げた伝説の英国人スケーター、ジョン・カリー。
貴重なパフォーマンス映像と、
本人、家族、友人、スケート関係者へのインタビューから、
彼の知られざる光と影を描いていったドキュメンタリー映画です。
カリーはバレエのメソッドを取り入れた演技で、
1976年のインスブルック冬季五輪フィギュアスケート、
男子シングル金メダルを獲得します。
しかしマスコミが真っ先に伝えたのは彼のセクシュアリティでした。
同性愛が公的にも差別されていた時代にメダリストがゲイ。
それは世の論争を巻き起こします。
それでも彼は、華麗な滑りで多くの人を魅了し続けるのでした。
映画はアスリートとしてのカリーを描きつつ、
栄光の裏にあった深い孤独や、
自ら立ち上げたカンパニーでの新たな挑戦と苦労、
そしてAIDSと闘う姿を取り上げています。

この映画では、
クロード・ドビュッシーの“「牧神の午後」への前奏曲“や、
ニコライ・リムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」という、
カリーによる演目が使用されています。
新たに発掘されたホームビデオ撮影の「ムーンスケート」も観られます。
ほんとはね、もっと演技するシーンが観たかったと思ったんだけど、
映像があまり残っていないんだって。
1984年に国立代々木競技場体育館で開催された、
「シンフォニー・オン・アイス」の映像も出ますが、
それは今回頑張って探し出したものだそうです。

今年もフィギュアスケートのシーズンがやってきました。
それぞれに個性溢れるスケーターたちの演技には、
ほんとに引き込まれてしまいます。
人間の身体って美しいですね~。
音楽は楽器や声で、絵画は絵の具でアートにと昇華させていくわけだけど、
フィギュアスケートは自分の身体で芸術を創り上げていくんだよね。

監督 ジェイムス・エルスキン
ジョン・カリー
ディック・バトン
ロビン・カズンズ
ジョニー・ウィアー
イアン・ロレッロ
2019年5月公開