あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

ドント・ブリーズ

2016-12-26 15:17:41 | 映画 2016
ロッキーと恋人のマニー、友人のアレックスの3人は盗みの常習犯。
盗んでは売りさばくことを繰り返していました。
養育放棄の両親から逃げ出すためにまとまったお金が欲しいロッキーは、
マニーとアレックスとともに、
地下に大金を隠し持っていると噂される、盲目の老人の家に強盗に入ります。
しかしその老人は、どんな音も聴き逃さない超人的な聴覚をもち、
ロッキーたちは暗闇に包まれた家の中で追い詰められていきます。

「この家から生きて脱出したければ、息をするな・・・」



ホラー?サスペンス?いやこれはアクション映画といってもいいのでは。
最初は、あまりにも筋肉モリモリのお爺ちゃんが非常識に強すぎて、
ロッキーたちが追い詰められていく恐怖に感情移入、
( 暗闇と突然の音が怖いのよ~)
ともかく生きて逃げのびて、これに懲りて強盗もやめようね、
という気分だったのですが、
ロッキーたちが、老人が盲人だという弱点をついたり、
盗んだお金も手放さないあたりから、
人のお金でしょ?もう置いてさっさと逃げなさい!と何度思ったことか。
ロッキー、強欲過ぎ。
よく考えれば、人のうちに強盗目的で侵入しているんだよね、
同情の余地はないなあ。
お爺ちゃんもお爺ちゃんで、とんでもない秘密を抱えていたりしますが。

そんなわけで、ロッキーにもお爺ちゃんにも、
辛い過去や気の毒な境遇を抱えているというのに、
まったく共感できなかったな。
とはいえ、
私は若者たちよりお爺ちゃんに同情してしまうわ。
強すぎたって、多少異常だって、少々気持ち悪くたって(え?)
だってもう先のない年寄りじゃん。
ロッキーは若いし健康だし、見たとこ根性ありすぎるくらいだし、
年寄りのお金を盗もうと思わず、
( お爺ちゃんの娘が事故で亡くなったときの賠償金なんだよね)
まっとうに働きなさい!と言いたいわ。

だから、怖い思いはしたけどまんまとお金を盗むのに成功、
そのお金で妹とカリフォルニアに出発、
という結末にはちょっと納得できません。


監督 フェデ・アルバレス
ロッキー  ジェーン・レヴィ
アレックス  ディラン・ミネット
マニー ダニエル・ゾヴァット
盲目の老人  スティーヴン・ラング
2016年12月公開

盲導犬?というより闘犬のワンちゃんの、凄味のある演技に注目!

モンパルナスの灯

2016-12-19 15:38:21 | 映画1958
病と 貧困に悩まされながら絵を描き続けた、
エコール・ド・パリの異色画家アメデオ・モジリアーニの伝記映画です。
彼は世間に認められることなく36歳という若さでその生涯を終えました。

1917年のモンパルナス、モジリアーニはどん底の生活をしていました。
肺結核に冒され、麻薬と酒に溺れる日々。
そんな毎日でも、友人のスボロウスキーらに支えられ絵を描き続けています。
ある日、彼はジャンヌという画学生と出会い、激しい恋に落ちます。
一緒になることを誓いあうモジリアーニとジャンヌ。
しかしジャンヌの父親は許そうとはせず、
出ていこうとする彼女を監禁してしまいます。
傷心のモジリアーニは体調を悪化させ、療養のため南仏ニースへ移されます。
その彼の元に、家出したジャンヌが現れたのです。
ともに暮らし始めたふたりですが、
相変わらずモジリアーニの絵は、誰にも見向きもされませんでした。

一般人は目もくれないモジリアーニの絵の価値を、才能を、
分かっている男はいました、画商モレルです。
彼はモジリアーニの友人であり援助者でもあるスボロウスキーに言います。
「彼は飲みすぎる、そう長いことはないだろう。その日に全部買う」
モジリアーニの作品が評価されないうちに安く買い占めてしまおう、
そうモレルは考えていたのです。

お金のためにとスケッチを売り歩くモジリアーニ。
しかし一枚も売れず、絶望を抱えて夜の街を彷徨っているその後ろを、
モレルは影のようについていきます、見届けるように・・・。

映画の最後は、
モジリアーニの家を訪ね、急いで絵を購入しようとするモレルが、
「 お金より励ましが大事なんです、でも売れるのは久しぶりです」
と何も知らないジャンヌに嬉しそうに微笑みかけられて、
その瞬間だけ目を逸らしますが、
そのあと部屋にある絵を、次から次へと漁ってゆくシーンで終わっています。


カラーではなくあえてモノクロ映像で撮った作品です。
そのモノクロ映像が、溜め息をつくほど美しいです。
モジリアーニとジャンヌが激しく惹かれあい、そして結ばれた瞬間も、
薄いガラス細工のような危うさや、
ハッピーエンドにはならないだろうという予感めいたものを感じるのも、
モノクロ映像ならでは。
ジェラール・フィリップとアヌーク・エーメのおふたり、
その絵にぴたりと嵌まっているんだよね~。
ジェラール・フィリップは酒と麻薬と女に溺れているにも関わらず、
品が良くて限りなく繊細。
アヌーク・エーメは・・・なにがあろうと汚れず、ひたすら綺麗です。
昔観たときと違って、ジャンヌを監禁した親の気持ちもわかるようになりました。
親としては不幸になるのがわかる結婚だもんなあ。
不幸かどうかは本人が決めることとはいえ。
調べたら、ジャンヌはモジリアーニが亡くなった2日後に、
飛び降り自殺しているんだよね。
しかし、亡くなったあとで絵が高額で取引されるってどうなのよ?


監督…ジャック・ベッケル
モジリアーニ ジェラール・フィリップ
ジャンヌ・エビュテルヌ アヌーク・エーメ 妻
ベアトリス リリー・パルマー  モジリアーニの元恋人
画商スボロウスキー ジェラール・セティ  モジリアーニの友人
画商モレル リノ・ヴァンチュラ
ロザリー レア・パドヴァーニ モジリアーニの元々恋人
1958年9月公開



モジリアーニの絵の雰囲気そのまま、
繊細で美しい物語でした。


描いてみました、色鉛筆で
モジリアーニの絵って、どれも目で語っているようですね

鑑定士と顔のない依頼人

2016-12-13 15:18:51 | 映画2013
天才的な審美眼を持ち、オークショニアでもある鑑定士ヴァージル。
彼は孤独を愛し、人との関わりを持つのも嫌がる偏屈な男でもありました。
人にも物にも直接触れることが出来ず、手袋が離せません。
そして彼は、オークションに友人のビリーを参加させて、
美しい女性が描かれた価値ある美術品を、格安で入手しています。
集めた絵を秘密部屋に壁一面に飾り、眺める毎日でした。

そんなある日のこと、
両親の残した絵画や家具を査定してほしいという依頼を電話で受けます。
しかし依頼人の女性クレアは、隠し部屋に籠ったまま姿を現わしません。
広場恐怖症だという彼女は、心に傷を負った15歳のときから、
人前に出られなくなったと語ります。
奇妙な機械部品を見つけたことからクレアの屋敷に通い始めたヴァージルでしたが、
次第にクレアと扉越しに会話を交わすようになります。
奇妙な機械部品を持ち込んだ修復屋ロバートの助言もあり、
ふたりはお互いの欠落した部分を補うように惹かれていくのでした。

クレアが広場恐怖症を克服したのは、
屋敷の前でヴァージルが、数人の暴漢に襲われたことがきっかけでした。
意識を失いかけながらもクレアに助けを求めるヴァージル。
窓を開け、倒れているヴァージルを見つけたクレアは驚き、
外に出るという恐怖に打ち勝ち、倒れているヴァージルに駆け寄るのでした。


私のこのときの心の風景


そしてヴァージルはクレアとの結婚を決めるのです。

よかったね~ヴァージル、ハッピーエンド。
と思っていたら・・・・・その後の展開にボーゼン!!
ヴァージルだけじゃなく、監督は客席も騙したよね!?ひどい!!

ビリーが最後に贈ってきたのは、ヴァージルが言っていた、
「 贋作者は必ず痕跡を残す」を証明するように、
自分のサインを入れている一枚の絵でした。

「贋作の中にも真実がある」「愛も完璧に偽れる」
と映画のなかで語られていたのが、いまさらながら思い出されます。
本物と贋作、真実の愛と偽の愛・・・
いや、理屈はどうでもいいから、年寄りを騙すなよ!と言いたいわ。

ヴァージルのその後が心配です。
でも、めくるめく恋愛もしたことだし、手袋に頼らなくてもよくなったし、
このあと、縁側で春の日差しを浴びながらお茶を飲む相手と巡り合えればいいな。
あ、あちらの国には縁側はないか・・・・


監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
ヴァージル・オールドマン ジェフリー・ラッシュ 鑑定士
ビリー・ホイッスラー ドナルド・サザーランド ヴァージルの相棒
クレア・イベットソン シルヴィア・ホークス 依頼人
ロバート ジム・スタージェス 修理店主
2013年12月


この世界の片隅に

2016-12-08 11:56:11 | 映画 2016


故郷の広島から20キロ離れた呉に、すずは18歳で嫁いできました。
第2次世界大戦下の呉は日本一の軍港の街。
戦況の悪化に伴い、アメリカ軍の空爆の標的となります。


戦時下ではあるけれど、嫁ぎ先で一生懸命なすず。
物資が足りない、食料が足りないというなかでも工夫をこらして、
その工夫が楽しげですら見えるすずでした。
軍艦の浮かぶ港、青い山々、のどかな田畑、咲く野の花、
そして市井の人々の暮らし。
そういったものが、すずの目で丹念に描かれていきます。
全てが柔らかく優しい。

しかし戦争が進むにつれ空襲は激しさを増し、
すずたちの日常は次第に破壊されていきます。
何度も何度も続く空襲、そして8月6日の広島原爆投下。
爆心地から20キロ離れた呉にも閃光と轟音が響き、
呉の人々は巨大なキノコ雲を目撃したのでした。

すずが絵を描くと、その絵は物語のなかで生き生きと躍動します。
海に波の数だけ無数のうさぎが飛び出し、跳びはねてゆく様子は、
年甲斐もなくワクワクしてしまいました。
アニメでしかできない手法だよね~。
その後も、すずが線を一本一本描きたすごとに仕上がってゆく絵は、
みんな素敵で、全部お取り置きしておきたいくらい。
軍艦の絵が出来上がったときなんて、
美しいなあ男の子が憧れるのはわかる気がする、なんて思ってしまいました。
憲兵に家に踏み込まれていたけどね。
でも、魔法のように描きあげていく右手を失ってしまったすずでした。
なのに自分の右腕のために泣くこともできない、
その右手に繋いでいた小さな命を一緒に失ってしまったから。
それでも周りの人々の気持ちを受け止めつつ、
ゆっくりと、穏やかに前を向いてゆくすずは、
本当の意味で強いと思います。

周作のお姉さんの黒村径子さん、
広島弁で喋るその声とイントネーションが私の母にそっくりでした。
母は被爆体験をあまり語らなかったなあ・・・。
私は広島を離れてからの時間のほうがすでに長いのですが、
言葉も、ときおり出る街の名も風景も、ひたすら懐かしかったです。

原作はこうの史代さんのコミックです。
まだ未読、ぜひ手に入れて読んでみたいな。


監督 片渕須直
北條(浦野)すず のん
北條周作 細谷佳正
黒村径子 尾身美詞
黒村晴美 稲葉菜月
浦野すみ 潘めぐみ
北條円太郎 牛山茂
北條サン 新谷真弓
水原哲 小野大輔
2016年11月公開


能年玲奈から改名したのんちゃんが、主人公すず役です。
声優初挑戦とのこと。
おっとりとしていてときに明るく素直な声が、すずにぴったりです。

疾風ロンド

2016-12-04 16:38:41 | 映画 2016
サスペンス映画と銘打っておりますが、
父と息子の話、不器用な若い男女のラブロマンス、切ない青春物語と、
適度に散りばめられています。

そしてミステリーも・・・・
ここで爆笑してしまいました。
秀人くん、ナイス!!


ある日、泰鵬大学医科学研究所所長宛てに送られてきたメール、
それは、研究所の元研究者葛原からで、
K-55を盗み、それをある場所に隠してあるという内容でした。
K-55とは葛原が極秘に開発した怖ろしい生物兵器です。
ケースは気温が摂氏10度以上になると破損するとも書かれていました。
葛原の要求は3億円。
スキー場らしき場所にテディベアを吊るし撮影した樹の画像が添付してありました。
世間に公表するわけにはいかないと研究所所長東郷は、
K-55を探し出せ!と栗林に命令します。
しかしその直後、犯人が事故死してしまったのでした。
栗林はK-55を探し出すことができるのか?
・・・・・スキーもまともに出来ないのに。


昇平くんと千晶ちゃんがひたすらかっこいいです。
というか、凄い。
急な斜面を直下降で、樹と樹の間を滑り降りていく場面なんて、
迫力ありすぎて、画面を見ているだけでクラクラしてしまいます。
滑り降りながらのバトルシーンもありますよ~。
そのシーンを目撃、撮影した人がユーチューブに投稿して、
そのタイトルが「雪上のジェダイ」
まさにその通りです(笑)
大島優子さん、スタントなしで滑ったというからびっくり。
9歳からスノーボードをしていたんですって。
それにしても運動神経抜群ですね。

逆に主人公の栗林はあまり活躍のシーンがなくて、
というよりちょっと情けないなあ、と思いながら見てましたが、
( 私はずっと秀人くんのほうに感情移入していたらしい)
最後で男らしく決めてくれて、溜飲が下がりました。


監督:吉田照幸
栗林和幸 阿部寛 泰鵬大学医科学研究所主任研究員
根津昇平 大倉忠義 里沢温泉スキー場のパトロール隊員
瀬利千晶 大島優子 スノーボード選手
栗林秀人 濱田龍臣 栗林和幸の息子。中学2年生
折口真奈美 堀内敬子 泰鵬大学医科学研究所 補助研究員
折口栄治 ムロツヨシ 折口真奈美の弟
葛原克也 戸次重幸 泰鵬大学医科学研究所の元研究員
東郷 雅臣 柄本明 泰鵬大学医科学研究所長 
2016年11月公開