中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

小姐(xiaojie シャオジェ)

2006-12-05 08:57:42 | 中国のこと
 上海のあるレストランで食事をしていた時、同席していた唐怡荷が急に笑い出した。隣の席の客の1人がウエイトレスに「服務員(fuwuyuan) フゥウゥユエン」と呼びかけたのだと言う。「あれはきっと北の人よ。上海ではあんな言い方はしない」とおかしそうに言った。上海では「小姐」が普通のようだ。「服務員」は新中国成立から文化大革命の頃までは普通に使われていたが、今では少し固苦しく旧い感じがする言い方だと言う。
 
 店員などを「小姐」と呼ぶことは知っていたし、この「小姐」が近頃ではだんだん使われないようになっているとも聞いていたが、「服務員」は知らなかった。北京などでは、仕事を持っている女性は「小姐」と呼ばれるのは、水商売の女性を連想するので嫌うようになったらしい。特にスチュワーデス(客室乗務員)などは 「小姐」と呼ばれると返事もしないと聞いた。大阪の中高年の男性が飲み屋だけでなく喫茶店などの女性店員を「ねえちゃん」と呼ぶことがあるが、あの呼び方は東京ではとても嫌われるそうだ。「小姐」も都会ではそのような感じで受け止められるようになったのかもしれない。

 その後、唐怡荷と話した時には、この頃は「服務員」でもいいのかなと思うようになったと言っていたから、上海でも「小姐」はだんだん使わなくなったのかも知れない。今年杭州と紹興を訪れた時、彼女がスルーガイドをしてくれたが、杭州のホテルの喫茶室の女の子には「小姑娘(xiaoguniang)シャオクーニャン」と呼んでいた。姑娘は娘、女の子の意味で、こういう呼び方もできるのかと思ったが、少し年配の女性には使えないのではないだろうか。他にも「美女(meinü)メイニュウ」とか「美人(meiren)メイレン」という呼び方もあると聞いていて、さすがにそれは少ないだろうと思っていたら、四川省の成都のレストランでガイドの金さんが「美女」と呼んでいた。美人が多いことで知られている四川省では、こういう呼び方に違和感はないのかも知れない。とにかく「小姐」はいろいろな呼び方に取って代わられているのだろう。ちなみにスチュワーデスは「空姐(kongjie)コンジェ」(航空小姐、空中小姐)と呼ぶのだそうだが、使ったことはない。そばを通りかかれば手を挙げれば済むことだ。「服務員」は私も空港などで使ったが、使い勝手が良いように思う。

 本来「小姐」は若い女性を指す言葉で、そう呼ばれる年齢の幅は広く、ティーンエイジャーでも20代の未婚者でも「小姐」だ。西安の謝俊麗と電話で話した時に「この間、街で道を尋ねられた時に、おばさんと呼ばれたのよ。ショックだったわ」と言った。彼女は結婚していて30歳に近い。「阿姨(ayiアァイィ おばさん)だろう。間違いないじゃないか」と少しからかうと、「尋ねたのは20代の女の子だったのよ。10代の子だったら仕方がないけど」、「でも、もう小姐は無理だろう」、「せめて姐姐(jiejieジェジェ おねえさん)と呼んでほしかったわ」と、こんな遣り取りをした。確かに俊麗のような年頃の女性をどう呼べばいいのかは難しい。「小姐」が無難なのかも知れないが、ある人が中国領事館の肩書きのある若い女性を「小姐」と呼んで非常に不愉快な顔をされたそうだ。それこそ「ねえちゃん」のように受け止められたのかも知れない。どう言えば良かったのですかねえと言っていたが、「女士(nüshi)ニュイシ」(女性に対する一般的な敬称)とでも呼べばいいのか、中国語の知識に乏しい私には良く分からない。日本でもそうだが、とかく女性をどう呼べばいいのかは難しい。喫茶店などでは「ちょっと」と言えばいいかも知れないが、すべてに通用することではない。

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