中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

世界一辛い唐辛子

2011-05-09 09:47:47 | 身辺雑記

 オーストラリア人のグループが、世界一辛い唐辛子を開発したそうだ。その名は「トリニダード・スコーピオン・ブッチT」と言い、あまりにも辛いために加工する時にはガスマスクや防護服が必要だという、とんでもない代物だ。

 

 この記事を読んで、スコヴィル値Scoville scaleというものがあることを知った。スコヴィル値は、唐辛子の辛さを量る単位である。トウガラシ属の植物の果実にはカプサイシンが含まれ、このカプサイシンが辛味受容体の神経末端を刺激する。スコヴィル辛味単位はこのカプサイシンの割合を示すもので、純粋なカプサイシンのスコヴィル値は1600万だそうだ。鷹の爪は日本の唐辛子のとしては辛い部類に属するが、三鷹唐辛子と呼ばれる唐辛子が45万ぐらい、能鷹唐辛子と呼ばれるものが10万~125000ぐらいとなっている。辛さが強いものとしてはハバネロがあるが、この製品のスコヴィル値は10万~ 35万、レッドハバネロは35万~ 58万だ。ピーマンやシシトウガラシの値は0。

 

 ところがこのたび開発されたトリニダード・スコーピオン・ブッチTのスコヴィル値は1463700というから、その辛さがいかに強烈なものか想像される。これまでの世界一辛い唐辛子は、英国産のナガパイパーで、138万だそうだ。開発グループの1人は、生のトリニダードを食べた時の状況について「幻覚に襲われ、横にならなければならなかった。20分も歩けなかった」と言ったそうだ。しかし彼は、トリニダードは非常に美味でその良さは「第一に味、第二に辛さ」にあり、「燃えているフルーツサラダを食べるようなもの」と評したと言うが、どんなものなのだろう。私に限らず、唐辛子の辛さにはあまり強くない日本人にはあまり歓迎されないのではないか。これでもかというような激辛はどうにもいただけない。

 

 2002年にマレーシアのペナンに住む妹を訪れた時、一夜妹の姑も一緒に食事をした。そのときにセンチ足らずの緑色の唐辛子が食卓に出たが、少し齧ってみると強烈な辛さなので食べることはしなかった。しかし姑は絶えず手を出して 美味しそうに齧っていた。一般に暑い地域の人たちは辛いものをよく食べるようで、本場インドのカレーなどはとても辛いと聞いた。妹がマレーシアに行った頃、小さな調味料の缶詰を送ってきたが、黄色い中身をちょっと舐めてみたが、頭がくらつくほどの辛さで、カレーに少し加えただけで、舌が焼ける思いがした。超激辛というものだった。

 

中国の寧夏回族自治区の固原という所で、現地の教育局の人たちと昼食を食べる機会があったが、そのときに瓶に入った長い緑色の唐辛子が出て、中国人達はがりがりと齧っていたが、いかにも辛そうなので敬遠した。中国人もかなり辛いものを好むようで、有名な四川の麻婆豆腐などはすごく辛くて、日本人には食べられないようだ。成都のレストランで食べたことがあるが、ガイドが気を利かして少し辛さの程度の低いものを注文してくれたが、それでもかなり辛いものだった。中国語で唐辛子の辛さを辣(la)と言うが、四川料理はこれに、山椒の舌を痺れさせるような味である麻(ma)が加わって独特の辛さがあり、唐辛子の辛さには慣れている韓国人の観光客も敬遠すると聞いた。

 

唐辛子は今でこそ世界中で使われているが、元来はコロンブスが西インド諸島で発見し、1493年にスペインに持ち帰ったものだが忘れられた。その後ブラジルで再発見したポルトガル人によって伝えられたのが伝播し、各地の食文化に大きな影響を与えたと言われている。日本には16世紀の半ば頃に伝来したらしい。南米以外では比較的新しいものなのだが、急速に伝播した。よほど多くの民族の嗜好に合ったのだろうが、最近の若者のように激辛カレーなどを好む者はともかくとして、一般には日本人はわさびや生姜、蓼(やなぎたで)、芽じそ、山椒のように食材の味を引き立てる薬味程度の温和な辛さを好む。

  

 

  中国西安の副食市場で。


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