goo blog サービス終了のお知らせ 

中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

おじいさん

2010-05-29 09:16:01 | 身辺雑記
 麗江の旅に同行してくれた広州中国青年旅行社の伍海珠は、旅行中に私を「おじいさん」と呼んでくれるようになった。

 西安やウルムチ、上海の友人達は前から私を「爺爺イエイエ」とか「おじいちゃん」、「おじいさん」などと呼んでくれているし、東京の旅行社に勤めている施路敏は「じいちゃん」と言う。私は中国の友人達にこのように呼ばれるのがとても好きだ。皆、孫と言うにはだいぶ大きいが、それでもたとえば、西安の謝俊麗に電話するといつもまず、「爺爺嗎イエイエマ?(おじいちゃん?)」と言うので、本当に孫娘と話しているような気持ちになる。

 日本の知人達は皆もう若くないから、私を「おじいさん」と呼ぶことなどはないし、街などでそのように呼びかけられることも少ない。記憶しているだけでこの10年間に3、4回あったくらいだ。と言って、若く見られているということでは勿論ない。一度だけ5年ほど前に中国の農村部のある学校を訪れた時に、階段ですれ違った女生徒に「叔叔好シュウシュウハオ(小父さんこんにちは)」と挨拶されて「叔叔か・・・・」とまんざらでもない気持ちになったことはあった。日本では「おじさん」と呼ばれることなどは期待もしないし、もし呼ばれたら、むしろくすぐったいような落ち着かない感じを覚えるだろう。やはり「おじいさん」、「おじいちゃん」がいい。

 もっとも日本では「おじいさん」とか「おばあさん」と呼ばれると不機嫌になる年寄りはあるらしい。そう呼ばれて「私はあんたのおじいさんではない」とか「あなたにおばあさんと呼ばれることはありません」などと決め付けたということを聞いたことがある。そういう応対は何か可愛げがない。

http://blog.goo.ne.jp/ryoyokota200608/e/ae4933674d52d55855a1aa546545fcf5

 麗江の少数民族の納西(ナシ)族は老人のことをオーローと呼ぶようだが、これは60歳や70歳の人に使ってはいけないと、現地ガイドの張金娥さんが教えてくれた。ナシ族では80歳以上になると老人なのだそうだ。そうすると私もまだ老人ではないことになる。日本では老人、年寄りと言うのを憚って高齢者と言うことが多いが、何か堅苦しい感じがするし、行政用語の「後期高齢者」などは感じが悪く、「後期」があるのなら、その後は「末期」かと突っ込みを入れたくなる。

 私の父は76歳で膵臓癌で死んだが、入院中に若いナースから「おじいちゃん、・・・・しようか」と言われて機嫌を悪くし、「キミは言葉遣いが悪い」と叱ったそうだ。父は気難しい性格ではなかったが、少々堅苦しいところがあったからこのような物言いをしたのだろうが、今その父の年齢になっている私がそのように言われたら、その若いナースを孫娘のように可愛く思うのではないだろうか。もっとも病院では患者を「おじいちゃん」などと呼ぶことは禁じているかも知れない。

 年寄りは年寄りらしく・・・・と言っても、何も卑屈になったり、引っ込み思案したりすることはない。長い年月、それなりの人生を生きてきた気概と誇りをもって、「おじいちゃん」、「おばあちゃん」という呼びかけを鷹揚に受け止めればいいと思う。

     
     (日曜日はブログを休みます)