
京葉工業地帯の真ん中を貫通する鶴見線から分岐する、
多くの支線のなかのひとつ<廃線・石油支線>の特集です。
米軍の貯油場を過ぎてまもなくすると線路は単線になり、
以降暫くは単線が続きます。
ひとけのない埋立地を線路づたいに進むと、
やがて安善町の埋立地を真ん中で分断する運河を渡る安善橋へでます。

昭和7年(1932)には、この付近に安善橋駅が造られますが
昭和18年(1943)の鶴見線国鉄化の時に廃止されています。
あたりには駅だったと思われる遺構は、もはやなにも残っていません。
ところでこの特集の当初から登場する<安善>という言葉ですが、
なんとも変な表記のこの駅名は、
浅野総一郎氏の事業を資金的バックアップで支えた、
安田財閥の創始者<安田善次郎>氏の名に因んで付けられたものです。
鶴見線の駅名には、浅野駅や安善駅の他にも、
日本鋼管社長白石元治郎氏の名に因んだ<武蔵白石>や、
王子製紙社長大川平三郎氏の名に因んだ<大川>と、
京浜埋立地の功労者の名前を付けた駅があり、
また株主会社の名前を付けた<昭和>、
浅野家の家紋から名付けられた<扇町>と、
まさに「浅野とその仲間達」を全面にアピールした路線です。
安善橋付近であたりを見回すと、
右にも左にも海方向にも、沢山の石油貯油タンクが見えます。

まさに石油支線の名の通り、
この埋立地は全て貯油場として使われる、
いわば動かない巨大タンカーの様な島です。
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■シリーズ:鶴見線石油支線■
・#01 鶴見駅・本山駅
・#02 鶴見線・安善駅
・#03 安善駅踏切・浅野総一郎
・#04 米軍油槽基地
・#06 車止め・昭和10年の沿線案内
・#07 踏切・戦後の鶴見線
・#08 ヤード跡・安善町の石油会社
・#09 石油埋立地の意味
・#10 浜安善駅・京浜の発展と衰退
・#11 鶴見線と京浜の未来
・#12 最終回
”鶴見線物語”を見ながら 当時の様子 想像を掻き立てられます
浅野氏に縁深い名前を付けた駅名 まさに 私鉄時代の名残ですね
そんな こんなで色々調べてみると 単に地味な路線とは言えなくなって来ました
もし 浅野氏が 今のこの地帯を築かなかったら 安善さんがいなかったら 景色はどうなっていたのだろうか
『鶴見線物語』のご紹介、ありがとうございました!
さっそく購入して読み進みながらアップしております。(^.^)
どうやらこの本は10年くらい前に出版されたものの改訂版みたいですね。
鶴見線というよりは京浜工業地帯の歴史と、
聞き込みによる各時代の様子の克明な記録といった内容で、
そこからは一私鉄の発展というより、
近代工業都市の発達史が浮き彫りになるような内容なので、
興味深く読み進めています。
私もそれほど期待はしていませんでしたが、
想像を遥かに越えて、
日本近代史が大きく眠っている場所だと思いました。
浅野氏、安善氏がいなかったら・・・
そうですね・・・
TDRが出来ていたでしょうか?
船の科学館が出来ていたでしょうか?