黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

鹿島鉄道線 #05 鉾田駅跡

2012-02-05 12:47:19 | 鉄道遺産
2007年に1度アップした鹿島鉄道線
その時は夕方の訪問で、鉾田駅しか見学出来ませんでしたが、
それから3年後の2010年の暮、
ワンダーJAPAN誌のムック『廃線跡の記録2』の取材で、
再び訪れる機会がやってきました。
ムックには掲載出来なかった画像を含めて、
シリーズでお送りしようと思います。

鹿島鉄道は上野からわずか1時間、
常磐線の石岡駅から東へ約27km走っていた鉄道です。
東京からの距離のわりに、その沿線は極めて長閑で、
ほっこりしたローカル線の風情を満喫出来る、
貴重な路線だったのですが、
残念ながら2007年に廃止になってしまいました。

鹿島鉄道線路線図
鹿島鉄道線路線図

路線図の右端にある新鉾田駅は、
水戸駅と鹿島サッカースタジアムを南北に結ぶ、
鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の駅ですが、
ご覧のように、なぜか鹿島鉄道の鉾田駅と離れています。
鹿島臨海鉄道は、大洗マリンセンターや鹿島スタジアムの利用客を中心に、
現役で運行中の路線なので、鉾田駅と新鉾田駅を連結すれば、
鹿島鉄道の利便性も向上されたかもしれないと思いますが、
なぜ連結しなかったかわ、わかりません。

また後年は旅客収益だけでは経営がままならず、
路線図のほぼ中央にある航空自衛隊百里基地への、
燃料輸送による収入に頼っていたそうですが、
輸送用パイプラインの老朽化にともなう輸送打ち切りで、
深刻な経営難を迎えてしまったと言う話は、
石岡から鉾田へ移動中のバスの運転手さんに聞きました。

石岡から鉾田迄、ほぼかつての路線に沿って、
路線バスが運行していますが、
駅によってはわざわざ街道からそれて駅ターミナル跡へ寄るなど、
かつての路線駅が現在でも十分生きているのがわかります。

というわけで、前回の記事が鉾田駅で終わっているので、
今回も一旦終点の鉾田駅までバスで移動し、
そこから石岡へ向かって上るかたちで見て行こうと思います。

鹿島鉄道鉾田駅跡
鹿島鉄道鉾田駅跡

2007年の時には数台の車輛か停まっていましたが、
2010年の暮れには、もう1輛もありませんでした。
ホームと途切れた線路だけが、
かつての終着駅だった事を物語るだけです。
かつての鉾田駅は関東の駅百選のも選ばれた、
趣のある木造駅舎だったので、
せめて駅舎だけでも残してもらいたかったものです。





鹿島鉄道鉾田駅跡
鹿島鉄道鉾田駅跡

構内には幾つかの転轍機が残っていますが、
風前の灯火の感は否めません。

路線バスの運転手さんは、元鹿島鉄道の職員さんで、
鉾田駅の駅名看板を譲り受ける予定だったのに、
廃止になったとたん、すぐに駅名看板は盗まれ、
結局貰えずじまいだったそうです…





鹿島鉄道鉾田駅跡
鹿島鉄道鉾田駅跡

以前の記事でもアップした、駅前のガソリンスタンド。
2007年の時は、建物の前面に大きな木が育ち、
とてもいい雰囲気を醸し出していたのですが、
木は伐採され、建物が剥き出しになっていました。





鹿島鉄道鉾田駅跡
鹿島鉄道鉾田駅跡

ガソリンスタンドの横に設置された、
修理用のリフトスペースと言うんでしょうか。
全然関係ない話ですが、
自動車とか電車の車輛の修理用の溝が、
気になります。





鹿島鉄道鉾田駅跡
鹿島鉄道鉾田駅跡

まもなく解体されるのかも知れませんが、
3年前の状態と比べると、
とてもゆっくりした時の流れを感じます。





鹿島鉄道鉾田駅跡
鹿島鉄道鉾田駅跡

駅前のタクシー会社。
幼少の頃、鉾田駅から親戚の家へ行く時は、
決まって乗ったタクシー。
2階は既に使われていないようです。





鹿島鉄道鉾田駅町<
鹿島鉄道鉾田町

鉾田駅の周辺を少し散策。
これはかつてのスナックでしょうか。
昭和レトロ感を濃厚に漂わせる建物ですが、
これ以外はそれほど目につく建物はなかった印象です。


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★ 廃線跡の記録 2 ★

  

KLO@廃墟徒然草による鹿島鉄道線のリポート掲載。
その他、鉄道ファンとはひと味違う、
ワンダーJAPANならではの廃線跡の記録が満載。


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