黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

軍艦島:防空壕トンネル1

2017-09-14 04:01:14 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の防空壕トンネルの全貌もその一つ。

防空壕トンネルとは、
軍艦島の中央に聳える元々の岩礁の中を、
ほぼ縦断するように造られたトンネルで、
一直線のトンネルを中心に、
左右に様々なトンネルが造られています。

軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

中央の白いラインが防空壕トンネルの概略。
マスクした部分の拡大を下に。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

左寄りの30号棟付近が複雑な構造になっているのは、
進入を困難にするするのと爆風の回避が目的だと思います。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Aの位置。
防空壕トンネルは、すべて手掘りのまま。
せまくて湿度も高く、居心地はよくありません。
迷路状態の部分には、鉄管や軌道など、
使わなくなった資材をまとめて置いてある場所がいくつかあります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Bの位置。
複雑な迷路を進むと、
やがてコンクリートを四角くくり抜いた、
ボタ棄てトンネルの出入口へ到達します。
この造りから見て、防空壕トンネルが先行、
その後にボタ棄てトンネルが造られたことがわかります。






軍艦島:ボタ棄てトンネル
軍艦島:ボタ棄てトンネル

上図Cの位置
防空壕トンネルに交差するように、
後から造られたボタ棄てトンネルの跡。
軍艦島の石炭は
外部の炭鉱からボタを取り寄せていたほど、
殆どボタがありませんでした。
後年、別の採掘エリアへ移って、
はじめてボタを棄てる必要に迫られます。





軍艦島:ボタ棄てトンネル
軍艦島:ボタ棄てトンネル

上図Dの位置。
正確な用途はわかりませんが、
その位置から、おそらく浮選機とかから出たボタを、
メインのボタ棄て坑道へ合流させるトンネルではないでしょうか。





軍艦島:ボタ棄てトンネル
軍艦島:ボタ棄てトンネル

上図Eの位置
上記2つのボタ棄てトンネルは、
ちょうど第一見学所から見える、
2つの穴を塞いだ跡の内部です。
一つ前が右の、二つ前が左の閉塞の奥。

左のボタ棄てトンネルの入口は、
コンクリートで巻かれてそれなりに造られていますが、
右のトンネルの入口は、なんの巻立てもなく、
擁壁をくり抜いただけの簡素な造り。
原料産業の費用対効果主義の現れだと思います。

シリーズ:あまり知られていない軍艦島 INDEX

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

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